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トランスジェンダーへの性感染症検査推進と感染予防啓発の取組みが「セクシュアル・ヘルス次世代基金」を受賞

2023年07月07日

 bda ORGANICが運営する「セクシュアル・ヘルス次世代基金」受賞者が決定し、Transgender Japanが行なう性感染症検査推進と感染予防啓発の取組みに贈られることになりました。トランスジェンダーのための性感染症予防啓発がこうした基金に選ばれるのは初めてではないでしょうか。


 bda ORGANICは、アライとして唯一、グッド・エイジング・エールズで活動してきた鈴木美樹さんという方が立ち上げた、オーガニックでできたセックスケアブランドです。ローション(潤滑剤)をはじめ、多数の商品を展開し、ゲイナイトでもサンプルを配ってくださったりしています。
 bda ORGANICは2019年から「セクシュアル・ヘルス次世代基金」を立ち上げ、売上の⼀部をHIVなどの性感染症の予防や性教育など次世代につながるセクシュアル・ヘルスの活動に関わる団体の取組みを支援してきました。第2回の受賞団体はカラフル@はーとで、海外で制作されたPrEPについての⽂献や映像作品の⽇本語翻訳、簡易ガイドブックの制作・配布に助成⾦が活⽤されました。
 そして今回、Transgender Japanの「トランスジェンダーに対する性感染症検査推進と感染予防啓発を目的とした取組み」が第5回「セクシュアル・ヘルス次世代基金」に選ばれました。

 
 世界中で推定2,500万人のトランスジェンダーの成人がおり、トランスジェンダー女性のHIV感染率は全世界で19%にも上り、全平均の49倍も高くなっています(Practice Updates HIV感染症治療戦略「HIV予防の研究におけるトランスジェンダーおよびジェンダー・ダイバースの人についての課題」より)。ドラマ『POSE』(や、先日映画祭で上映された『ココモ・シティ』)をご覧になった方は、米国のトランス女性の苦境、リアリティをひしひしと感じられたことと思います。特に有色人種のトランス女性は家を追い出されてホームレス化したり、雇用差別にも直面するため、セックスワークへの従事を余儀なくされる方が多く、しかし、コンドームを持ち歩くと警察に売春容疑で逮捕される不安があるため用心して持ち歩かない、結果、HIVに感染してしまう方も多い…といった複雑な事情もあるそうです(詳細はこちら
 
 日本では、HIV予防啓発や検査推進のキャンペーンはLGBTQコミュニティのなかでもゲイ・バイセクシュアル男性に集中していて、あまりトランスジェンダーのセクシュアル・ヘルスに光が当てられる機会は多くなかったと思います。そういう意味で、今回のTransgender Japanの取組みは非常に重要な意義を持つものになりそうです。「セクシュアル・ヘルス次世代基金」がそれを後押ししてくださったことも素晴らしいです。
 

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