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今年のエミー賞のクィア的名場面

2024年01月16日

 大規模なストの影響で4ヶ月遅れとなりましたが、現地時間1月15日、米エンターテイメント界の最高峰である「プライムタイム・エミー賞」の授賞式が盛大に開催されました。
 多くのLGBTQのスターが登場したレッドカーペットや、胸を打つ受賞スピーチ、LGBTQのスターやアライの受賞など、今回もクィア的な見どころが多数ありました。
 先にお伝えしたエルトン・ジョンのEGOT達成ル・ポールのパワフルなスピーチ以外の名場面を以下にご紹介します。


 まず、レッドカーペットです。
 『The Last of Us』に主演したペドロ・パスカルが、そのトランスジェンダーの妹、ラックス・パスカルを伴ってレッドカーペットに登場しました。きょうだい愛と言えばそれまでですが、彼のトランスコミュニティへのサポートの気持ちは、きっと長く記憶されることになるでしょう。
 昨年のインタビューでペドロ・パスカルは「ラックスは自分の知る限り最もパワフルな人だよ」と述べています。 

 それから、レッドカーペットを『ル・ポールのドラァグ・レース』のクイーンたちがsashay(モデル歩き)した際、ゴージャスなクイーンに混ざって1人、緑色のゴブリンが登場し、観客の度肝を抜き、SNSで話題になりました。あとでわかったのは、これはシーズン15の2週目で脱落したプリンセス・ポピーでした。彼女はドラァグを引退したと報じられていたのですが、そのカオスなルックは人々に強烈なインパクトを与えたので、きっとカムバックするに違いないとささやかれています。
 ある人はSNSで「プリンセス・ポピーは、クィアピープルがもっとたくさんアワードに登場するべきだということを雄弁に証明しているね」とコメントしました。
 
 続いて受賞の様子の名場面です。
 クィア・シンガーのジェシカ・ベッツと結婚しているニーシー・ナッシュ・ベッツは、ライアン・マーフィの『ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語』シリーズでジェフリー・ダーマーの隣人グレンダ・クリーブランドを演じ(グレンダはジェフの行動を怪しみ何度も警察に通報するが、黒人であるがゆえに誰も取り合ってくれない…という役どころです)、リミテッドシリーズ・アンソロジーシリーズ・映画部門助演女優賞を受賞しました。彼女は受賞スピーチで、ライアン・マーフィと共演者のエヴァン・ピータース、妻に感謝し、そして「自分を信じ、みんなができやしないと言ったことをやった」と自分自身を祝福しました。「やるのよ、ガールズ。ダメな自分でいい。やりなさい!」。そして、「警察に無視され、過剰な取締りを受けるすべてのブラックとブラウンの女性、グレンダやサンドラ・ブランドブリオナ・テイラーのような女性に代わって」受賞すると述べ、涙を誘いました。「アーティストとして、私の仕事は真実を語ること。死ぬまでやり続けるわ」
 
 Huluのコメディ『一流シェフのファミリーレストラン』はコメディシリーズ部門作品賞の6回目の受賞となりましたが、キャストたちがステージに上がり、マティ・マシソンがスピーチしようとしたとき、エボン・モス=バクラックが熱烈なキスをして、観客を沸かせました。
 『一流シェフのファミリーレストラン』はまた、ネットでクィア・アイコンと称されているアヨ・エデビリがめでたく同部門の助演女優賞を受賞しました。ゴールデングローブ、クリティクス・チョイス・アワードに続く受賞です。 


 コメディ・レジェンドのジェニファー・クーリッジが、『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』のタニヤ役でドラマシリーズ部門助演女優賞を受賞しました。
 彼女のファンはどんな面白いコメントをするかと待ち構えていましたが、期待を裏切りませんでした。
「クリエイターのマイク・ホワイト、ありがとう…こんな信じられないキャラクターを演じる機会をくれて」
「すべての邪悪なゲイに感謝しなくちゃね」(ネットで爆発的に話題となったジェニファー・クーリッジが「お願い助けて! ゲイたちが私を殺しにかかってる」と懇願するミームを踏まえて)
「最後に。私は小さな町で小さな夢を持っていた。みんな実現不可能だって言ったわ。でも、結局夢が叶った。だからみんな、夢をあきらめないで」

 GLAADが「ガバナーズ賞」を受賞しました(ガバナーズ賞とは、エミー賞を主催する米国テレビ芸術科学アカデミーの理事(ガバナー)が決定するもので、通常のエミー賞の範疇いかんにかかわらず、TV界に多大な貢献をした番組、人物などに与えられる賞です)。GLAADはテレビや映画などのメディアにおけるLGBTQのリプレゼンテーションを最も確かなものにした功績を称えられ、今回の受賞となりました。
 サラ・ケイト・エリスCEOは「GLAADのみんなにとって、この仕事は自分自身に関わることです。なぜなら世界がテレビで観ることはダイレクトに影響力を持つからです。どんなふうにお互いを扱うか、リビングで、学校で、会社で、投票箱でどう振る舞うかを決定づけるのです」と語りました。
「トランスジェンダーについての物語を文化的に変革することが急務です。多くの人たちが、実在のトランスではなくゴーストを見せられていると語っています」
「どんな人かを知らないと、容易に彼らを悪魔化してしまいます。可視化は理解と機会均等につながります。それは命を救うことなのです」
 

参考記事:
The nine queerest moments from the Emmy Awards 2024, from kisses to ‘evil gays’(Pink News)
https://www.thepinknews.com/2024/01/16/9-queerest-moments-2024-emmy-awards-niecy-nash-rupaul-elton-ayo-edebiri/


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