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石川大我議員の質問に対し、小泉龍司法相が同性婚を認めれば「幸せの量は間違いなく増える」と述べました

2024年05月23日

 先週の日本人の女性カップルがカナダで難民認定というニュースや、3月の札幌高裁の判決なども踏まえ、23日の参院法務委員会で石川大我参院議員が小泉龍司法相に同性婚の法制化について質問し、「多くの国民が理解した上で同性婚が認められれば、間違いなく幸せの量は増えると思う」との回答を引き出しました。
 
 参議院インターネット中継(5月23日&石川大我で検索すると法務委員会の動画を視聴できます)でもご覧いただけますし、あーさんという方がX(Twitter)で文字起こししてくださっていますが、この日の石川議員の質問と小泉法相の答弁には、このようなやりとりがありました。
 石川大我議員が「カナダ政府の移民難民委員会が決定したことは極めて重い。この点について法務大臣として発言を」と問うと、小泉法相は「同性婚に関する様々な動きを我々はしっかりと注視していこうと思っている。そういった諸外国での難民認定も、我々が注視すべき大きな事象の一つ」「諸外国で起こっている事象も国民の目に映り、また国民がそれにどう反応するのか、よく見極めていきたい。受け身ではなく、委員が指摘した事象も含めて、より積極的な姿勢で様々な情報に我々も触れていく、国民の考え方にも触れていく、そういう心構えで対応していく」と答えました。
 石川議員が「同性婚を認めると幸せになる人が増えると思うが、いかがか」と問うと、小泉法相は「多くの国民が理解したうえで同性婚が認められたら間違いなく幸せの量は増える。しかしそれを受け入れる過程の部分に我々はいるので、国民の側からすると親族関係に影響が出る」「同性婚では、扶養の義務とか相続とか縁戚関係に、マイナスかどうかは別として、影響を受ける。国民の側の対応力、心理的にどう受け止めるかどうかも含め基本法制として考えなければいけない。幸福になる人が増えるというのは正しいが、過程を踏んでいくことも重要な課題」と答えました。
 そのあと、憲法24条第1項でも違憲だとした札幌高裁判決を踏まえ、「現行の婚姻制度の中に同性カップルを組み入れていくこと」が可能かどうか、法務省はどう受け止めているのか、について問われました(「想定していない」の一点張りでした)。最後に、ともに「家族の根幹」にかかわる共同親権と同性婚について、石川議員が「共同親権は強引に進められた。政府のやるかやらないかの意志だ。同性婚は絶対やっちゃいけないんだという意思を感じる」と追及、小泉法相は「特段そういう意思は感じていないし、法務省としても予断をもって決めているわけではない」「そういった動きに対して、もっと積極的に情報に触れて、動きを把握して、一緒に考えていこう、そういう気持ちを持っていて、我々なりに一生懸命この問題について深まった部分の議論を内部でしている。日々注視をしながら積極的に動きに触れていくことをやっている」と答えました。
 
 これまで国会では同性婚の法制化について、“家族のありようの根幹にかかわる”などの理由で「慎重な議論を要する」「注視していく」と突っぱねられることが繰り返されてきました(小泉法相も3月の札幌高裁判決の直後は「国民的コンセンサスと理解が必要」との答弁でした)が、今回、「間違いなく幸せの量は増えると思う」との前向きな言葉が出てきたことは一歩前進と言えるでしょう。
 しかし、世論調査で同性婚支持率も7割くらいになっており、「結婚の自由をすべての人に」訴訟で全国5地裁で違憲判決が、高裁でも違憲判決が出て、いずれも国会での速やかな議論を、と要請されている極めて異例の事態となっているにもかかわらず、また、日本で同性カップルが被っている不平等や困難が海外で「迫害」だと見なされたりもしているなか、まだ実質的な検討や議論を始めず(有識者を含めた審議会などは設置されていません)、「様々な情報に触れる」レベルに留めているというのは、やはり、まだまだなのではないでしょうか…。
 東京新聞が報じたニュースについてX(Twitter)では、「いいことを言っているようだが、前段は『多くの国民が理解したうえで』となっている。これは人権問題なんだから、多くの国民の理解は関係なく即座に同性婚を可能にしてくれ」「言うだけでなく、具体的な行動を」「気持ちとか、内部で議論とか、そういう段階ではないだろう」「分かってるなら早く進めればいいのに」「じゃあ、同性婚法制化を誰が止めてるのですか?」といった厳しいコメントが上がっています。
 
 
 同じ東京新聞の「<考える広場>同性婚 社会はどう変わる?」という記事で、元最高裁判事・山浦善樹さんは、札幌高裁判決に同意しながら、「人類は進歩しており、21世紀は相互理解と共存共栄の文化でなければなりません。差別に気付かないことが罪。自戒も込めて、そう言いたい。日本社会が差別を克服し同性婚が可能になった時、個人の人生の選択肢が広がり、誰もが本物の自分の人生を生きられる未来への道筋となるでしょう」と語っています。
 



参考記事:
小泉龍司法相、同性婚を認めれば「幸せの量は間違いなく増える」 省内で議論していることを国会で説明(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/328967

<考える広場>同性婚 社会はどう変わる?(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/328612

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