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厚労省が昨年の新規HIV感染者数(確定値)と、今年の第1・第2四半期の新規HIV感染者数を発表しました

2024年09月03日

 今年3月に昨年の新規HIV感染は960名、前年より微増とのニュースをお伝えしていましたが(速報値)、厚生労働省は3日、2023年に判明したHIV新規感染者とエイズ患者(発症してわかった方)の報告数の確定値を発表し、3月と変わらず計960名だったと発表しました。
 HIV感染者は前年比37名増の669名、エイズ患者は同39名増の291名で、過去最少だった前年の884名から76名増え、7年ぶりに増加したかたちです。
 厚労省は、新型コロナウイルスの流行で減少していた検査件数が回復してきたことが影響した可能性があると指摘しています。検査件数は106,137件で、昨年よりも33,033件も増加しています。
 感染経路では同性間の性的接触が最も多く、HIV感染者で476名(全体の約71%)、エイズ患者で157名(全体の54%)でした。
 エイズ動向委員会の委員長コメントとして、「新規エイズ患者報告数の増加は、新型コロナウイルス感染症の流行以降、保健所等での検査件数が減少していたことが影響している可能性が否定できない点に留意し、今後の状況を注視していく必要がある」「新規報告数全体に占めるエイズ患者報告数の割合は、依然として約3割のまま推移している。エイズ発症防止のためにはHIV感染後の早期発見が重要である」「梅毒などの性感染症を含め、保健所等での無料・匿名の検査・相談や医療機関による検査を積極的にご利用いただきたい」といったコメントが上がっていました(こちらに掲載されています。※PDFです)

  
 3日には、ほかにも今年の第1四半期(1月〜3月)、第2四半期(4月〜6月)の新規感染者数が報告されました(こちらに掲載されています。※PDFです)
 第1四半期の新規HIV感染は合計158名(昨年の同じ時期より1名増)で、うち同性間の性的接触が94名(59.5%)、エイズ患者が合計82名(昨年の同じ時期より3名減)で、うち同性間性的接触が43名(52.4%)となりました。
 第2四半期の新規HIV感染は合計166名(昨年の同じ時期より8名減)で、うち同性間の性的接触が94名(56.6%)、エイズ患者が合計92名(昨年の同じ時期より9名増)で、うち同性間性的接触が53名(57.6%)となりました。
 全体の件数は昨年とほぼ同数なのですが、注目すべきは、新規HIV感染の中の同性間の性的接触の割合です。これまでずっと、70%という割合を下回ることがなかったのですが、50%台にまで下がっています(初めて見ました)。検査件数が前年より増えているにもかかわらず(昨年の同時期49839件だったのが、51741件に増えています)同性間の新規HIV感染が減っているというのは、やはり、PrEPの効果が上がっているからではないでしょうか。
(なお、エイズ患者の中の同性間の性的接触の割合は下がっていませんが、on PrEPの方は検査で陰性であることを確認したうえで服用を始め、感染を防いでいるので、エイズ患者の数字にはほとんど反映されないため、割合がほぼ同じということでしょう)
 2030年までのHIV流行の終結を本気で目指すのであれば、やはりPrEPの普及がキーになるのだろうと思われます。(ツルバダを安くしたり、多くの人が利用しやすくなるような体制を整えていただきたいですね)

 

参考記事:
HIV報告、960人 7年ぶり増加 厚労省(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024090300922

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