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都内の梅毒感染者数が2400人を超え、過去最多だった昨年に迫る勢いで増加しています

2024年09月10日

 東京都内の梅毒の感染者数は今年に入って9月1日までに2460件(速報値)に上り、過去最多だった昨年に迫る勢いです。感染者の内訳をみると、7割が男性で年代は20~50代、女性は20代で増加が目立っています。
 東京都医師会の川上理事は9月10日、定例記者会見で注意を呼びかけましたが「(感染者が増加している理由は)はっきりはわからない」そうです。「性風俗産業に従事している人に限られているわけでもなく、ごく一般の家庭の主婦の方たちにも広がってきている。東京都としても無料検査を実施するなど、いろいろと考えられる対策は取っているけれども抑えられていない」「「梅毒の場合はきちんと診断して、治ったことを確認できるまで医師の指示通りお薬を使えば治る病気」「恥ずかしがらずに病院を受診してほしい」

 NHKの感染状況MAPを見ると、都道府県別の感染報告数もわかります(国立感染症研究所の感染症発生動向調査のデータに基づいています)。いま現在表示されている8月26日~9月1日のデータでは、東京都が46人で突出して多く、次いで大阪府と愛知県が21人などとなっています(新宿などのHIV検査・相談室には周辺の県にお住まいの方も来られるため、東京都での報告が多くなるのはやむをえないのでは?)


 日刊ゲンダイの記事によると、全国の感染報告数も累計(1月1日〜8月26日)で9138件に上り、昨年の同時期より660件減少しているものの、ほぼ同じ水準で推移しています。
 地域で見ると、減少が目立つのは北海道(マイナス156件)、広島(同114件)、大阪(同97件)、東京(同75件)、愛知(68件)で、逆に増加が目立つのは神奈川(プラス55件)、岡山(同39件)などです。梅毒の大都市圏での減少と地方での増加について「プライベートケアクリニック東京」新宿院の尾上泰彦院長は「北海道では梅毒の新規感染の年間累計報告件数が2020年の122人から、2023年には681人に急増しました。今回の数値はあくまでも速報データであり、確定値ではありませんし、それがトレンドになるかはまだ判断できません。ただ、転換点を迎えたとすれば官民が感染症対策に力を入れた結果でしょう」などとコメントしています。

 梅毒の流行は日本に限らず世界的なもので、米国の2022年の梅毒感染者数は21万人でした。今は韓国でも急増していて、今年8月までの累計の患者報告数は、昨年の4倍となる1881人に上っているそうです。
 
 梅毒に限らず性感染症を防ぐうえでコンドームは重要なツールですが、WHO欧州地域事務局によると、欧州全土の青少年の間でコンドームの使用が大幅に減少しているそうで、事務局長であるハンス・ヘンリ・P・クルージ博士は「年齢相応の包括的な性教育は多くの国で軽視され続けており、近年は“性行動を助長する”という誤った認識から非難の的となっています」と指摘したうえで「若い人たちに正しい知識を適切な時期に与えることが、責任ある行動と選択につながり、最良の健康結果をもたらすのです」と語っています。
 性的同意から避妊、性感染症予防までを網羅するような包括的性教育の必要性が叫ばれる昨今ですが、欧州ですらなかなか実現していないようです…(いわんや日本をや、ですよね)
 
 コラム「2024年6月のHIV検査キャンペーン」でもお伝えしましたが、梅毒は決して侮れない病気で、性器どうしの接触、皮膚や粘膜の接触、ケツ舐め、(唇に傷があれば)キスやフェラでも感染しますし、一度治っても何度でも感染しますし、感染力が強く、また、「偽装の達人」と呼ばれるくらい、症状を見逃しやすい病気です。ですから、みんなで定期的に検査を受けて、感染がわかったらすぐ治療する、というふうにしていくことが大切です。
 都内のHIV検査所では梅毒も一緒に検査してくれますので(今は6月や12月に比べてそれほど混んでいないと思われますので)ぜひこの機会に検査を受けましょう。東京都では24時間予約可能なHIV等検査予約サイトも開設しています。
 
 梅毒の基本的な情報については、aktaの特設サイト「梅毒にご用心」をご覧ください。

 

参考記事:
東京の梅毒感染者2400人超で過去最多ペースで増加…内訳は男性7割女性3割 無料・匿名の検査相談室を新宿や多摩地域に設置(FNN)
https://www.fnn.jp/articles/-/755894

東京都内の梅毒感染者数、過去最多の去年に迫る 医師会“恥ずかしがらず受診を”(日テレ)
https://news.ntv.co.jp/category/society/740eeaf9f4634d0a90bf05500f01fd7f

東京都内で梅毒感染者が2400人超 過去最多の昨年に迫る勢い「近年は増加傾向」(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20240909-2TL32FI5NZMXZKCNAGAQ3LKVPU/

梅毒は全国的には頭打ち傾向も…なぜ北海道は減少し、神奈川や岡山で増加しているのか?(日刊ゲンダイ)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/health/360240

東京都内の梅毒感染者2400人超「女性20~30代、男性20~50代まで幅広く広がっている」(TOKYO HEADLINE)
https://www.tokyoheadline.com/769135/

米国・日本で大騒ぎの梅毒…韓国でも患者が4倍増(中央日報)
https://japanese.joins.com/JArticle/323565

ヨーロッパの青少年の間でコンドームの使用が減少。性感染症などのリスクが高まるとWHOが警告(Harper's BAZAAR)
https://www.harpersbazaar.com/jp/lifestyle/daily-life/a62037372/decreased-use-of-condoms-and-contraceptives-240903-lift2/

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