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LGBT法連合会が政党・候補者アンケートの結果を公表中

2024年10月21日

 LGBT法連合会がLGBT(SOGI)をめぐる課題に関する各党の政策と考え方についての調査結果を公表しました。
 衆院選特集でもお伝えしたように、テレビや新聞の政党・候補者アンケートでは(たくさんのジェネラルなイシューの中で)同性婚への賛否を尋ねてはいるものの、それ以外のイシューについては触れられておらず、(問題含みの理解増進法ではなく)改めてLGBT差別解消法の制定を求めていくことや、性同一性障害特例法の改正などについて各党や候補者がどう考えているのか、気になっていたところでした。
 多くのLGBTQ団体が連携し、国会議員への政策提言なども10年近く行なってきて、当事者の直面する困難や社会的課題についてもよくわかっているLGBT法連合会が今回、このようにきめ細かな調査を行なってくれたのは、さすがと言うべきですし、みなさんにもぜひご活用いただきたいです。
 すでに期日前投票を済ませてしまった方も多いかとは思いますが、もしこれから投票する方は、ご参考になさってください。

政党
https://lgbtetc.jp/news/3139/

候補者
https://lgbtetc.jp/news/3137/


<質問項目>
問1. 党のマニュフェスト・公約に性的指向・性自認に関する人権を保障する施策について記載はありますか

問2. 性的指向及び性自認に関する困難を解消するための以下の施策の中から貴党の中で優先度の高いものを2つ以内で選択してください
1.困難の実態の調査・研究が重要だ
2.相談窓口の設置等、当事者支援が重要だ
3.合理的配慮を義務化することが重要だ ※下記に補足します
4.性的指向及び性自認に関するハラスメントや差別を禁止することが重要だ
5.同性カップルに関する法整備や、相続など同性パートナーが配偶者として扱われないことで生じる困難を解消することが重要だ
6.性的指向及び性自認だけではなく、様々な差別を包括的に禁止することが重要だ
7.特に施策が必要だとは思わない
8.その他

問3. 理解増進法の施行から1年が経ちましたが、8条1項(基本計画を策定しなければならないとの規定)で定められた基本計画がまだ策定されていません。
1.できるだけ早期に基本計画を策定すべきだ
2.時間をかけて基本計画を策定すべきだ
3.8条1項を遵守する必要はない

問4.岸田前首相は、3月15日の参議院予算委員会において「いわゆるトランスジェンダーの方に対する誤解に基づく誹謗中傷など、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別や偏見は許されないもの」「合理的な理由なくジェンダーアイデンティティを理由に特定の方々の行動を一律に制限する、こういったことはあってはならない」「トランスジェンダーの方に対する誤解に基づく誹謗中傷など、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別や偏見、これはあってはならず、関係省庁においてしっかりと対応していかなければならないものであると認識をいたします」と答弁しています。
1.同意する
2.同意しない
3.その他

問5. 性同一性障害特例法について、昨年10月、最高裁は4号要件(不妊化要件)を違憲と判断し、うち3人の裁判官は5号要件(外観要件)についても違憲だと個別意見をつけました。また、WHOの国際疾病分類での性同一性障害の概念の廃止を受けて、新たに「性別不合」を採用することが厚労省の専門部会で了承済みです。特例法の法改正についてのお考えを。
1.4号はもとより、3号(子なし要件)や5号や法律の名称変更と関連概念の整理等、残る懸案も含めて改正する必要がある。
2.早急に法4号を改正する必要がある。残る懸案は慎重な議論が必要である。
3.4号の改正をする必要はあるが、慎重な議論が必要である。
4.改正する必要はない
5.その他

問6. 以下の各分野の課題についての考えを教えてください。
A 教育分野
(1)学習指導要領に盛り込み義務教育の中で性的指向・性自認の多様性について子ども達に教育すべきだ。
(2)大学生間の性的指向や性自認に関するいじめ(アウティングやハラスメント)を法律で禁止すべきだ。
(3)学校現場において性自認に沿った制服、部活動への参加やトイレの利用などについて対応(環境調整、合理的配慮)すべきだ。
B 就労分野
(1)採用時及び雇用期間中の性的指向・性自認に基づく不利益・不均等な取扱について法律で防止・禁止すべきだ。
(2)企業等は性自認に基づいて働くことができるように対応を進めるべきだ。
(3)性的指向・性自認に関する職場の取り組みについて、国が広くガイドラインを策定するなど、企業等の取り組みを積極的に支援すべきだ。
C 福祉・医療分野
(1)自治体の福祉窓口等において、窓口担当者による性的指向・性自認に関する差別や偏見に基づく対応によって、利用忌避や相談したことによる二次被害が起きることのないよう、国が実態を調査し、窓口対応等の指針を示すべきだ。
(2)感染症の拡大下にあっても、HIV抗体検査の積極的な実施など健康維持に必要な検査へのアクセスを、保障すべきだ
D その他
(1)社会保障等において、同性パートナーが配偶者や事実婚として扱われないことで生じる不利益を、解消すべきだ。
(2)合理的な必要性のない性別欄は各種の書類や申請書、証明書から削除すべきだ。(合理的な必要性の例:男女共同参画、医療・保険上の問題など)
(3)性的指向・性自認に関わらずスポーツに参加できるよう、(公財)スポーツ協会のガイドラインなどを踏まえて環境を整えるべきだ。



 各政党の回答を見ると、これまでの傾向から大きく変わったり、わかりやすくダイナミックなバラツキが出ている項目はそんなに多くはありません。
 特筆すべきは、問5の性同一性障害特例法の改正について「慎重な議論が必要だ」と回答している政党と、「非婚要件を削除し、同性婚を法制化すべき」という素晴らしい回答をした政党の対比が際立っていることです。

 それから、たぶん多くの方がその意味を図りかねているのではないのではないかと思われる箇所について補足すると、問2の選択肢3の「合理的配慮の義務化が重要だ」というのは、今年4月から事業者による障害のある人への合理的配慮の提供(障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という意思が示された場合、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、バリアを取り除くために必要かつ合理的な対応をすること)が義務化されたことを受けて、明示はされていませんが、これを現行の性同一性障害特例法に当てはめてみると、性同一性障害者も生活の様々な場面でバリア(障壁)を感じているわけで、同じように合理的配慮の提供が義務化されてしかるべきではないか、という意味だと思われます。(性同一性障害の概念が性別不合に置き換えられ、特例法が改正されればオールOKということではなく、ノンバイナリーの方や様々な当事者の方たちが日常生活で直面する困難について、その都度、現場で話し合って解消していけるような筋道が法的に後押しされることも重要だという考え方です)
 
 質問項目を読んでみて、例えばHIVについては、コロナ禍出会っても検査へのアクセスを保障してほしいという項目が挙げられていますけれども、今HIVに関して重要なイシューはPrEPを安価に、安心して利用できるような仕組みづくりでは?と思ったり、もっとこういうことを聞くべきじゃないかと思った方もいらっしゃるかと思います。LGBT法連合会はLGBTQコミュニティの課題を集約・一本化して国会議員などに政策提言を行なう団体ですから、来夏の参院選の際のアンケートに生かしていただけるよう、意見を送ってみてもよいのではないでしょうか。
 
 

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