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【同性パートナーシップ証明制度】岩手県花巻市が東北で初めての条例制定へ、青森県弘前市はファミリーシップ制度へ拡充

2024年12月06日

 岩手県花巻市が、東北で初めて、条例によって「市パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を導入する方針を明らかにしました。

 岩手県ではこれまで盛岡市、一関市、宮古市、矢巾町、久慈市と陸前高田市、北上市の7市町で「パートナーシップ宣誓制度」が導入されていますが、いずれも要綱で定めたものです。
 花巻市は、議会で丁寧に合意形成を図り、制度を明確に位置付けて多様な性の理解や生きづらさの解消につなげるとして、条例案を6日開会の市議会12月定例会に提案し、来年4月の施行を目指すそうです。実現すれば東北初です。
 また、同性カップルにパートナーシップ証明書を発行するだけでなく、その子や親との家族関係も証明するファミリーシップ制度として制度を創設するそうです。
 
 花巻といえば宮沢賢治です。宮沢賢治は大学時代の後輩・保阪嘉内を生涯をかけて愛したと伝えられています。故郷の花巻市がこうして同性カップルを承認してくれたことを、きっと賢治も天国で喜んでいることでしょう。

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 同じ東北で、初めて「パートナーシップ宣誓制度」を導入した青森県弘前市が、今月10日から制度を「ファミリーシップ制度」へと拡充することがわかりました。
 これまでは法律上の婚姻関係にない同性カップルがパートナーシップを宣誓しても、相手の親や子どもまでは家族と認められませんでしたが、法律上の親子関係を証明すれば、家族として認定されることになります。これにより、認定された家族が保険金の受取人になれる場合があるほか、本人に代わって病院で病状や治療方針などの説明を受けられることなどが期待されます。
 弘前市は「家族の形は多様化が進んでいるので、制度の拡充で市民の意識が高まることや、民間のサービスが広がることなどを期待したい」としています。
(今年11月のやまがたカラフルパレードで弘前市の成田市議にお会いした際、「ファミリーシップ制度」への拡充の意欲を語っていらしたので、きっと市議の働きかけのおかげで実現したのだと思います。成田さんはご家族に当事者の方がいたこともあり、「パートナーシップ宣誓制度」の早期実現に尽力した方です。東北アライ議員ネットワークの一員としても活動しています)

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 (生まれ育った故郷なので実感がありますが)東北、特に北東北は男尊女卑的なジェンダー観や性別役割が根強く残っている地域で(震災のときの避難所でもそのことが問題視されていました)、10年前までは同性カップルを公的に承認してくれるなどということは考えられませんでした。2014年に初めて青森市の宇佐美翔子さん&岡田実穂さんカップルがレインボーフラッグを持ってパレードをやったり市役所に婚姻届を提出したときの風当たりの強さから考えると、本当にこの10年で、東北が大きく変わったと思います。パレードは東北六県(全県)で開催されるようになりました。青森、秋田、山形、福島では県全体で「パートナーシップ宣誓制度」が認められています。
 それは、白い目で見られながら(なかには差別的な言葉を浴びせる人も…)胸を張って陽の当たる大通りを行進してきた勇気ある方たちのおかげですし、性的マイノリティがどのように世間で差別されたり困難に直面したり生きづらさを抱えているかということを身近で見てきた方がアライとして立ち上がり、市や市議会を説得し、制度を創設したりという成田市議のような方の尽力のおかげでもあります。
 今月からは仙台でもいよいよ制度がスタートします。
 翔子さんが掲げた「故郷を帰れる街に」というスローガンは、まだまだ掲げ続ける必要はあるでしょうが、10年でここまで変わったのは本当に素晴らしいことです。東北で頑張っているみなさんに拍手を贈りたい気持ちです。
 
(後藤純一)




参考記事:
「パートナーシップ・ファミリーシップ」花巻市、東北初の条例化へ(岩手日報)
https://www.iwate-np.co.jp/article/2024/12/6/175201

弘前市「ファミリーシップ」導入で同性カップル認定制度拡充(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20241206/6080024256.html

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