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マイケル・ユーリーはトランプ政権の政策に胸を痛め、彼と彼の妹がカムアウトしたとき両親がどんなに支えてくれたかを語り、クィアの子どもたちを支援するすべての人への感謝を捧げました

2025年02月13日

 2月7日のクリティクス・チョイス・アワードで、ドラマ部門コメディシリーズの助演俳優賞を受賞したクィアの俳優、マイケル・ユーリーとハンナ・アインビンダーがトランプ政権のLGBTQ弾圧に対して「Trans Lives Matter(トランスジェンダーの命も大切だ)」と宣言し、マイケル・ユーリーは彼と彼の妹がカムアウトしたとき両親がどんなに支えてくれたかを語り、クィアの子どもたちを支援するすべての人への感謝を捧げる感動的なスピーチを行ないました。


 クリティクス・チョイス・アワード(旧放送映画批評家協会賞)はアカデミー賞の前哨戦の一つとして注目される映画賞で、ベテランの批評家だけでなく一部の若い映画系ユーチューバーも投票権を持っていることもあり、評論家の賞のわりには大衆寄りで、マニアックな結果にならないのが特徴。ほぼ同時期のゴールデングローブ賞と同様、映画部門とドラマ部門のアワードとなっていますが、ゴールデングローブよりもアカデミー賞への影響は大きく、例えば2023年のエブエブ旋風の時にも、この映画の凄さを知らしめたのはクリティクス・チョイス・アワードだといいます。
 LAの山火事の影響で延期となっていた第30回クリティクス・チョイス・アワードは2月7日(現地時間)の夜にサンタモニカのバーカー・ハンガーで開催されました。
 
 最初の賞の発表はドラマ部門コメディシリーズの助演男優賞&助演女優賞の発表で、『シュリンキング:悩めるセラピスト』のマイケル・ユーリーと『Hacks』のハンナ・アインビンダーが受賞し、いっしょに登壇しました。ともにクィアである二人はトランプ政権によるトランスジェンダーへの弾圧に抗して「Trans Lives Matter(トランスジェンダーの命も大切だ)」と宣言しました。『アグリー・ベティ』でもゲイの役を演じていたマイケル・ユーリーは、彼と彼の妹がカミングアウトした際に両親がどのように彼を支えてくれたかということを語り、クィアの子どもたちを支援するすべての人々に感謝していると述べました。「僕らはテキサス出身です。彼女は僕の最初のセラピストでした…僕らは二人ともクィアで」「アウティングしてごめん、君がセラピストだって!」「僕らの両親は素晴らしかった。だから二人ともカムアウトしたとき、両親はどんなふうに僕らを愛し、育てるか理解していました。両親は恐れず、背を向けたりもしなかった。自分らしく生きさせてくれました。だから、両親には本当に感謝しています。クィアの子どもたちをサポートするすべての人にも」

 クリティクス・チョイス・アワードのドラマ部門では、二人のほかにも、『私のトナカイちゃん』がリミテッドシリーズ作品賞、テレビ映画/リミテッドシリーズ助演女優賞(ジェシカ・ガニング)を受賞しています。ジェシカ・ガニングはオープンリー・レズビアンの俳優です。
 映画部門では『エミリア・ぺレス』が助演女優賞(ゾーイ・サルダナ)、外国語映画賞、歌曲賞(「Mi Camino」)を、『ウィキッド ふたりの魔女』が監督賞(ジョン・M・チュウ)と美術賞(ネイサン・クロウリー、リー・サンデルズ)、衣装デザイン賞(ポール・タゼウェル)を、『野生の島のロズ』がアニメ映画賞を受賞しています(『野生の島のロズ』はアニー賞で最多9冠に輝いています。7日から公開されています)
 なお、『エミリア・ぺレス』はゴールデングローブで作品賞を受賞し、アカデミー賞でも最多12部門13ノミネートを果たしていますが、クリティクス・チョイス・アワードでは作品賞も主演女優賞も獲れませんでした。主演のカルラ・ソフィア・ガスコンは1月末、過去にSNSへ数々の差別発言を投稿していたことが発覚し、問題視されており、そのことが選定にも影響していると思われます。歴史的なトランス俳優初のノミネーションであり、初のオスカーもありえるのではないかと思われましたが、残念ながら彼女の受賞は期待できなさそうです…。

 

参考記事:
第30回クリティクス・チョイス・アワード:受賞一覧(The Hollywood Reporter Japan)
https://hollywoodreporter.jp/news/92608/
 
Michael Urie and Hannah Einbinder Amplify Queerness at Critics Choice Awards: “Trans Lives Matter”(glaad)
https://glaad.org/michael-urie-and-hannah-einbinder-amplify-queerness-at-critics-choice-awards-trans-lives-matter/

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