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3月1日はエイズ差別ゼロの日、国連合同エイズ計画がコミュニティと連帯を強調する声明を発表

2025年03月01日

 3月1日は「Zero Discrimination Day(エイズ差別ゼロの日)」です。
 2013年12月1日、オーストラリアのメルボルンで開かれた世界エイズデーの式典で、国連合同エイズ計画(UNAIDS)が「Zero Discrimination Day」を制定することが発表され、翌2014年3月1日に第1回が実施されました。
「残念ながら、HIV/エイズに対する正しい知識・理解がないことから、いまだに偏見や差別が根強く残る国や地域も数多くあります。偏見や差別を恐れて検査を拒み、その結果として保健サービスや治療を受けられない事例、そして感染がさらに拡大する実態も報告されています。この国際デーはエイズによる差別をなくすための日であり、そのための啓発活動などが行なわれます。
 UNAIDSは、エイズ対策の国際的な調整を目的として1996年1月に発足した国連機関。本部はスイスのジュネーブに置かれ、世界70ヵ国以上に事務局を持ち、主に発展途上国のエイズ対策の強化支援を行なっています。「偏見や差別のない世界を目指すかどうかは、選択の問題ではありません。義務なのです」と、UNAIDSミシェル・シディベ事務局長は訴えます。(日本赤十字社「「差別ゼロの日」に寄せて ~アジア地域赤十字・赤新月HIV/エイズ対策ネットワーク会議に参加して~」より)

 エイズ予防財団が運営するAPI-Netは2月28日、「UNAIDS 2025年差別ゼロデー」と題した記事を掲載し、差別ゼロデー(3月1日)を前にUNAIDSが声明を発したことを紹介しています。今年のテーマは『We Stand Together(コミュニティとともに立ち上がる)』です。
 拙い訳かもしれませんが、UNAIDSの声明の日本語訳をお伝えします。トランプ米政権の援助凍結によって630万人が亡くなり、薬剤耐性のHIVが増加するおそれも…とのニュースでお伝えしたような、米国政府の資金援助停止に伴う危機に強い懸念を表明し、コミュニティとの協働(連帯)の重要性をあらためて強調するものです。

「UNAIDSはコミュニティとともに立ち上がる

 3月1日は、全ての人が尊厳をもって十全に生産的な人生を生きる権利が祝福されている。人々がどのように情報を提供されうるかと、インクルージョン、思いやり、平和を推進し、とりわけポジティブな変化への動きを強調するものだ。

 今年の差別ゼロデーに、UNAIDSはコミュニティと連帯する。
 コミュニティはHIV対策の持続と地球規模の健康への努力の拡大に必要不可欠だ。彼らはそのHIV陽性者やHIVに影響を受ける全ての人が必要なサービスにアクセスし、尊厳と敬意をもって扱われるようにするための堅固なコミットメントの活動のために資金提供され、支援されなければならない。

「エイズを終わらせる唯一の道は、コミュニティとの協働だ。彼らは信頼を築き、従来のヘルスケアの機関がリーチできない人々にも届けることができる――最も周縁化され、スティグマや差別に直面しているような人々に」と、UNAIDSの副エグゼクティブディレクター、Christine Steglingは語る。「2030年までにエイズの流行を終わらせるために、コミュニティ主導の対策を支援し続けることが重要だ」
 
 コミュニティのヘルスケアとサポート提供者は、あまりにも頻繁にハードルに直面している――スティグマ、差別、犯罪化、資金援助の打ち切り、そして政治的なバックラッシュだ――ヘルスケアへのサービスを最も脆弱な人々を含めた全ての人々に届けるという彼らの基本的な役割にも関わらず。

 加えて、米国政府による援助資金提供のあり方を大きく転換しようとする動きが招いた現在の危機は、数多くのコミュニティ組織に深刻な不安と苦痛をもたらしている。コミュニティ主導のサービス提供が大きな成果をもたらしていることには明確なエビデンスが示されているのに、命を救うコミュニティ主導のHIV予防、治療、ケア、および支援のプログラムは存続の危機にさらされているのだ」


 米政府の資金援助が今後どうなるのか、日本のHIV/エイズ関連の活動にどのような影響があるのか、まだわかりませんが、いまHIV予防啓発や陽性者支援に携わっている私たちのコミュニティもまた、危機感を持ち、これまで以上に連帯を強め、やがて訪れることが予想される困難に立ち向かっていく決意を固めましょう。


【追記】2025.3.1
 上記の声明を発する直前の2月27日、UNAIDSは米国政府から資金援助打切りの通告を受け取っていました。これは深刻です…。日本語訳をお伝えします(もし誤訳があれば、教えてください)(全文はこちら

・2025年2月27日、UNAIDSは米国政府/USAIDから、UNAIDSとの合意(契約)を直ちに終了するとの通告を受け取った
・この展開は深刻だ。HIV陽性者やHIVの影響を受けている人たち、市民社会、我々のパートナーの命を救うHIVサービスの継続を含むHIV対策全体に影響が及ぶ
・米国政府/USAIDは通告の中で「追って詳細な指示がある」と述べている。UNAIDSはより詳しい情報を得るため、米国政府に正式な通信を試みている

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