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国際男性デーに合わせ、神奈川のNPO法人SHIPが男性や性的少数者を対象にした電話相談を開設しました

2025年11月19日

 神奈川県で性的マイノリティの人たちが安心して自由に集える居場所を作ったり、相談事業やHIV検査なども行なってきたNPO法人SHIPが、国際男性デーに当たる11月19日に合わせて「男性やLGBTQのためのDV・性暴力・虐待被害電話相談」を開設しました。SHIPの星野慎二代表は「自分の被害が何なのかわからず相談しづらいと思うが、生きづらさを感じているならば気軽に電話してほしい」と話しています。


 SHIPのプレスリリースによると、近年、配偶者などパートナーからの暴力(IPV)が社会問題となっていますが、被害者のうち男性の割合はこの15年間で1.8%から29.5%に増加しています(2023年、警視庁)。また、性的マイノリティの調査で、過去にレイプやセクハラなどの性被害を受けた経験がある方が約38%にも上っています(2019年、宝塚大学日高庸晴教授)
「男性もDVや性暴力の被害に遭うことがありますが、「男は強くあるべき」「男は一家の大黒柱」といった固定的なジェンダー規範があることにより、周囲に相談ができず一人で抱え込んでしまうことがあります。また、LGBTQなど性的マイノリティは、レイプやセクハラなどの性被害を受けることがありますが、ハラスメントやアウティング(暴露)を恐れて相談できないことがあります。男性の生きづらさ、親密な関係におけるパートナーからの暴力(IPV)や親からの暴力で悩む人が安心して相談できる電話相談を令和7年11月18日から開始します」

男性やLGBTQのためのDV・性暴力・虐待被害電話相談
電話番号:045-620-7711
日時:毎週火曜日 19:00-21:00(年末年始・祝日は除く)


 神奈川県によると、所管する配偶者暴力相談支援センターに相談があったDV被害者は多くが女性を占め、男性は1割前後で推移していますが、担当者は「国の調査ではDV被害者数で男女間の大きな開きはない。相談したいと悩んでいる男性はもっといるはずだ」と語っています。

 こちらの記事によると、2024年、男性から寄せられたDV被害の相談件数は2万8,214件で、全体の約3割を占めます。5年間で1.5倍になっているそうです。
 なぜ男性の被害が見えにくいのかについて、京都大学の伊藤公雄名誉教授(ジェンダー社会学)は、「潜在化していた被害が表面化し始めている。男性もDV被害に遭うことが報道などを通じて社会に浸透し、被害を訴えやすくなったのだろう」と述べています。
 SNSでは「多くの人が、男女関係なく被害にあった男性を笑うんです。私も昔からそれに気づいていました」「男性へのDVは警察もどこも助けてくれないからなぁ。表に出ないだけでたくさんあるよね」といった声が上がっているそうです。
 DVシェルターは女性向けが中心で男性が逃げ込める場所が圧倒的に少ないという現状や、反撃すれば「男性の暴力」とみなされるなど法的に不利なことも影響しているといいます。
 こうした話は、主に女性から男性へのDV、IPVが想定されていますが、同性間でも起こりえますし、その場合、性的マイノリティであるがゆえに被害届を出しづらく、事実が表面化しづらい状況にもつながっているのではないかと推測されます。
  
 一方、国際男性デーにからめたこちらの記事によると、50代後半男性の孤立死の割合が女性や他年代の男性よりも高いことが明らかになっています。内閣府が今年4月に初めて公表した「孤立死」の推計をもとに専門家が分析したところ、昨年の孤立死者数(自殺を含む)は男性が約8割を占め、55~59歳男性が7.6%と他の属性より高いことがわかりました。男性の「相談が苦手」な傾向や、「弱みを見せたくない」男性ジェンダー規範が背景にあるといいます。(もちろん、その数字の中にも性的マイノリティ男性が含まれていることでしょう)
 
 「男は強くあるべき」「弱音を吐くなんてみっともない」「暴力を受けたなんて恥ずかしくて言えない」といった男の“沽券”(男性ジェンダー規範)に捉われがちであることが、DV被害(だけでなくさまざまな困難)について周囲に相談できず、独りで抱え込んでしまうことにつながっていると言えそうです。それは異性愛男性に限らず、ゲイ・バイセクシュアル男性のあいだにも同様にある傾向なのではないでしょうか。
  
 もしこれを読んでいる方(やその周囲の方)のなかに、DVやIPV、性被害、虐待などに遭ってつらい思いをしているけれども誰にも言えない…という方がいらしたら、SHIPの電話相談を利用してみてはいかがでしょうか。同じ性的マイノリティ男性の相談員の方が相談に乗ってくれるので、親身になって話を聞いてくれると思います。

 
 
参考記事:
DV被害、気軽に電話を 神奈川のNPO法人が男性・性的少数者を対象に相談窓口 「国際男性デー」合わせ開始(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-1225091.html

「男のくせに」「情けない」男性のDV被害者が戦っているものとは?(emogram)
https://emogram.sankei.com/49642

「孤立死」割合高い50代後半男性 相談相手不在がリスク 稼ぎ手の重圧も(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20251119-KCYILFCS4JJC3GKPHSW5BFESZ4/


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