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ゲイの羊から採取したウールを活用したブランドに注目が集まっています

2026年01月13日

 雄羊の約8%は雄どうしで交尾する「ゲイの羊」ですが、その多くは“繁殖の役割を果たせない”などとして殺されてしまう…という現状に鑑み、こうしたゲイの羊からとれた羊毛を製品化することで不用な虐殺から羊を救おうとする団体「Rainbow Wool」が立ち上がり、このたび、ニューヨークで「I Wool Survive」と題したファッションショーも開かれました。

  
 動物界における同性間の性行動は全く珍しくなく、約1500種で観察されています。ベルン自然史博物館で開催された「Queer – Diversity is in our nature」という展覧会でキュレーターを務めた生物学者のクリスチャン・クロプフ氏は「社会性のある脊椎動物の恐らく全てに存在する」と語っています。
 例えばバンドウイルカの多くはバイセクシュアルで、なかには同性のイルカと長期的なパートナーシップを築くイルカもいます。雄としか交尾しない雄羊の存在もよく知られていて、「選択肢があっても、メスには興味がない。オスの羊は激しく接触し、性器をなめ合い、アナルセックスをする」とクロプフ氏は語ります。
 2020年に発表された研究論文によると、そのようなゲイの羊の割合は約8%に上ります。
 
 BuzzFeedによると、そのようなゲイの羊たちは、一般的な農場では“繁殖の役割を果たせない”と認識され、間引かれたり、ときには屠殺場送りにされてきましたが、ドイツで農場を経営するミハエル・シュトゥッケ氏は、こうしたゲイの羊からとれた羊毛を使うことで虐殺をなくそうとする非営利団体「Rainbow Wool」を立ち上げました(ドイツには、第二次対戦中、ナチスによって同性愛者が虐殺された歴史があります)
 自身もゲイであるミハエル・シュトゥッケ氏は、牛や豚を飼育する農場で育ち、家庭を築き、家業を継いでほしいという周囲の期待を背負って育った一方、幼い頃から家畜を屠殺する現場も目にしてきたといいます。24歳で両親にカムアウトし、家業の農場を離れ、製紙工場に転職し、その後、環境保護への関心から自身の農場を持ったそうです。現在、500頭以上の羊を育てており、そのうち35頭がゲイの羊なんだそう。雌羊は妊娠すると毛が生えなくなりますが、雄羊の毛は生え続けるという特性に目をつけ、シュトゥッケ氏は2001年、ナディア・レイテス氏とともに「Rainbow Wool」を立ち上げました。しかし、この団体のことはなかなか認知されませんでした。
 2024年8月、レイテス氏が世界的なゲイカンパニーでマーケティングを手がけるトリスタン・ピネイロ氏にSNSで連絡をとったところ、すぐに興味を示し、「ゲイのショーを開催できるデザイナー」としてビヨンセやレディー・ガガなどを手がけるマイケル・シュミットを招きました。約2ヵ月かけて700ポンド(約320キロ)の羊毛から37着の衣装が作られました。
 
 そうして11月13日、マンハッタンのイベント会場「The Altman Building」でマイケル・シュミットによるファッションショー「I Wool Survive」が開催されました(永遠のゲイ・アンセム、グロリア・ゲイナーの「I Will Survive」をもじったタイトルですね)。モデルたちはさまざまなウール製のゲイテイストな衣装に身を包み(競パンとかケツワレとかシングレットとかレザーとか。最後にはパピーも登場しました)、ランウェイを楽しそうに歩きました。このショーの様子は『ニューヨーク・タイムズ』紙や『ワシントン・ポスト』紙などでも報じられたそうです。(ショーの動画はこちら

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 シュミット氏は「同性への興味関心を示す動物への虐待は、世界中のLGBTQコミュニティにいまもなお続く偏見を痛烈に思い起こさせるものです」「動物界全体に同性愛が存在することを示すことで、『同性愛は選択である』という有害で間違った考えを払拭する一助となれば幸いです」と語ります。
 ピネイロ氏も「Rainbow Woolのストーリーは、多くのLGBTQの人々が“異質な存在”として疎外されながらも、LGBTQコミュニティを通して成長してきた経験を反映しています」「それとともに、繋がりが排除を祝福の表現に変えることができると、私たちは証明しています」「今回のコラボレーションは、世界中で同性愛者がどう扱われているかのメタファーでもある」「ゲイの羊は捨てられ、忘れ去られ、価値がないと見なされます」「しかし、ゲイの羊を通して、本来出会うはずのなかった2人、ドイツの羊農家とロサンゼルスのデザイナーが繋がり、ともに素晴らしいものを生み出したのです」と語っています。

 Rainbow Woolの公式サイトでは、ゲイの羊たちからとれた羊毛でできたアイテムを実際に購入することができます(現在は全てSOLD OUT。第2弾が近日公開予定)。また、お気に入りの羊のスポンサーになれる制度もあるそうです。

 

 

参考記事:
羊にも"ゲイ"がいる!?通常なら殺されてしまう個体からウールを採取、新たなブランドに脚光(BuzzFeed)
https://www.buzzfeed.com/jp/kaitotakashima/i-wool-survive

自然界ではクィアは当たり前 展示会で見る性の多様性(swissinfo.ch)
https://www.swissinfo.ch/jpn/business/%E8%87%AA%E7%84%B6%E7%95%8C-%E3%82%AF%E3%82%A3%E3%82%A2-%E5%BD%93%E3%81%9F%E3%82%8A%E5%89%8D-%E6%80%A7-%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7-%E7%94%9F%E7%89%A9-%E5%90%8C%E6%80%A7%E5%A9%9A-%E5%8B%95%E7%89%A9-%E7%94%9F%E6%85%8B%E5%AD%A6/47258750


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