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性的少数者の性暴力被害の実態と支援のあり方をまとめた国内初のガイドブックが作られました

2026年01月23日

 東奥日報によると、性的少数者への暴力の根絶を目指す青森市の一般社団法人Broken Rainbow-japan(BRj)が、このたび性的少数者の性暴力被害の実態と支援のあり方をまとめた国内初のガイドブックを発行しました。性暴力に関する刑法が改正された後も十分とはいえない現場での対応や、「支援ができている」と自己評価するサポート側と実態との乖離を明らかにし、被害者のサポートに関わる人たちが共有すべき基礎的な情報をまとめたものです。
 

 2017年、110年ぶりの刑法改正により、被害者は女性のみとされていた従来の強姦罪が改められ、男性も被害対象に含む「強制性交等罪」となり、また、性的少数者や男性の性暴力被害者について「偏見に基づく不当な取り扱いをしない」との付帯決議がなされました。「この法律をより良いものにしたい。一人でも多くのサバイバーにとって、使いやすいものにしたい。そんな思いから、LGBTIQA+の性暴力に関してより明確に発信し、今後の政策提言等につなげたい」との趣旨でBRjが発足しました。その活動のおかげもあって、2023年の刑法改正では「不同意性交等罪」が成立し、多様な性被害の実態を反映し、手指や物の挿入も対象となるとともに、男性を前提としてきた加害者の性別は実質問われなくなりました。
 一方、BRjが2021年に全国の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」を対象に行なった調査では、回答した16組織のうち「研修を実施している」と答えたのは約半数で、内容も15分程度の情報共有から8時間以上の研修まで開きがありました。性的少数者の性暴力被害に特化した具体的研修を行なった機関は2~3割にとどまったそうです。
 BRjは長年、警察庁などの公的機関や全国の自治体で研修を行なってきましたが、より広く情報を行き届かせたいとの思いから今回、ガイドブックの制作に取りかかりました(公益財団法人みらいRITAの助成で実現したそうです)。本書は、なぜ性的少数者の性暴力を扱う必要があるのか?という問いかけから始まり、被害に優劣や順位はないこと、社会に根強く残る差別構造が性暴力を生み出していることが述べられ、続く章では「性とは何か」について整理し、そのうえで性的少数者が置かれている現状を具体的なデータとともに示しています。若年層からの被害率の高さ、性的指向や性自認の暴露(アウティング)のリスクなど、性的少数者に対する差別を利用した加害の事例にも触れています。また、アセクシュアルの被害実態にも光を当て、性愛感情を抱かないことが暴力の口実にされてしまったり、「治る」「変えられる」といった誤った理解が被害を深めてしまう構造を指摘しています。
 BRjの岡田実穂代表は「誰もが助けを求めれば得られる社会をつくっていきたいし、そうした取組みが増えてほしいと願っている」と語りました。

 BRjのFacebookによると、今後、全国のワンストップ支援センターや警察等に順次発送する予定ですが、個人等でこの冊子を入手したい方はこちらのフォームからご注文ください(会員さんは無料、会員さん以外の方はカンパをお願いします)とのことです。


LGBTIQA+と性暴力
制作:一般社団法人Broken Rainbow-japan
A4判/52ページ
ーーーーー<目次>ーーーーー
はじめに
第1章 なぜ「LGBTIQA+に向けた支援体制の構築」が望まれるのか
第2章 性のありようについて
コラム 「性と人権」 東 優子
第3章 LGBTIQA+の性暴力被害の実態
コラム 見過ごされがちLGBTQ+の性暴力やいじめ被害の現状をデータで読み解く 日高 庸晴
― 国内最大規模の調査から ―
第4章 性暴力被害とは
第5章 サバイバーに向き合う人に伝えたいこと
第6章 性暴力についての刑法の規定
第7章 「語りにくさ」のなかにある理由
第8章 アンチ・バイアス社会で、サバイバーが生きる/語る可能性
第9章 LGBTIQA+性暴力サバイバー向けの支援拡充に向けて
おわりに 今日を生き抜く/サバイブする
付録 ワンストップセンターにおけるLGBTIQA対応状況  


参考記事:
国内初 性的少数者ガイド本発行 性暴力被害根絶を/青森市「BRj」(東奥日報)
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/2196522

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