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映画『沼影市民プール』の制作チームがホモフォビア発言に毅然と対抗する声明を発表しました

2026年09月18日

 9月16日、男性同性愛を描いた映画『沼影市民プール』上映後のトークイベントの質疑応答(だけでなくインターネット上)で出てきたホモフォビックな発言に対して、制作チームが「自由に議論するということと、特定の属性を持つ人々に対する差別的・侮蔑的な表現を許容することは、同じではない」として毅然とゲイ・バイセクシュアル男性を擁護する声明をXで発表しました。

 
 こちらのレビューに書いたように、映画『沼影市民プール』は、かつてゲイ・バイセクシュアル男性の間で「沼プー」と呼ばれ、ハッテン場になっていた事実を真っ直ぐに見つめ、公共の場でやるのは憚られる行為について批判的な目線で描くとともに、そこに集っていた当事者たちのリアリティを掘り下げ、よくプールに通っていたガチムチのおじさんの生活に密着しつつ(役者さんを起用したドラマ仕立てで)プールで出会った巨漢の青年を実家に連れて帰ってお母さんと食卓を囲むシーンも描いたということで話題になり、海外からも注目されています(台北での上映では、そのゲイの出会いのシーンを演じた俳優の荒岡龍星さんとToshi Douglasさんがゲストで呼ばれています)
 しかし、実際に映画館で観た市民の方たちのなかには、男性同性愛に関する描写に嫌悪感を抱く方もいたようで、あからさまに差別的な、ホモフォビックな発言が出てきているようです。上記のXの投稿では、上映後のトークイベントの質疑応答で「本作に登場する性的マイノリティの方について、蔑称が繰り返し使用され、さらに揶揄するような質問・発言」があったとされています。ネット上でもひどいコメントが散見されます(二次被害につながるといけないので具体的な言葉はここでは書きません。知りたい方はこちらの監督さんの投稿をご覧ください) 
 監督さんをはじめ制作チームの方々が素晴らしいのは、「だから男性同性愛を描くのはやめておけばよかったんだ」ではなく、「年齢や職業、立場、性的指向などの違いによって誰かの存在や記憶が排除されたり、異質なものとして扱われたりすることを望んでいない」「自由に議論することと、特定の属性を持つ人々に対する差別的・侮辱的な表現を許容することは同じではない」として、毅然と当事者を擁護する声明を発表したことです。
 スポニチアネックスによると、太田監督は「映画について議論することと、そこに登場する人々を侮蔑的な呼称で呼んだり、属性そのものを揶揄したりすることは、まったく別のことです。映画館も、異なる人たちが同じ暗闇に集まり、自分とは違う人生や価値観に触れられる場所であってほしい。そのために、制作チームとして今回の声明を出しました」と語っています(素晴らしい)
 Yahoo!でエンタメライター/編集者の田幸和歌子さんが書いた記事では、そもそも太田監督がなぜ男性同性愛を描くことにしたのかということや、ドラマ仕立てにしたのは「声をかけた人の9割以上に断られ、応じた人も実際の話を隠したがったから」だということが紹介され、今回の声明と差別事案について、「なぜゲイの人たちを登場させたのかを問う投稿もあったと監督は明かしている。後者は、公共空間の記録から特定の人たちを消そうとする発想につながる。そこにいた人々の存在まで否定する言葉は、作品への批評にあたらない」と述べられています。  

 日本の映画界というのは、男性同性愛は異質で嫌悪感をもよおすものだという前提で映画作りもしてきたし(つい最近まで、ゲイといえば、服だけ女装してたり、明け方に髭がのびてきたり、過剰なオネエで笑わせたり、どこかかわいそうだったり、悲劇的な末路をたどったり、といったゲイ像がふつうに見られました)、配給・宣伝においても、ゲイを前面に出すと売れないという発想から「普遍的な愛」と言ってみたり、「性別を超えた」というトンチンカンなコピーをつけたり、ゲイカップルを写したポスターから一人を消してゲイに見えなくしたりという、本当にひどいところでした。ゲイを正面から描きます、と好意的な顔で二丁目に入ってきて、結果はひどい扱いだった、ということもザラでした(『his』や『エゴイスト』が出てきてようやく安心できた感があります)
 そんななか、太田監督はじめ制作チームの方が、世間の男性同性愛に対する侮蔑的な視線やホモフォビアに与することなく、このような対応をしてくださったことは、賞賛に値します。

 
 なお、24日、なぜ声明を出すことになったのか、当事者である出演者たちが今回の出来事やその後に寄せられたさまざまな声をどう受け止めているのか、といったことを語るオンラインイベント「ルポ・ハッテン場としてのプール」が開催されるそうです(ツイキャスですが、差別、侮辱、ヘイトスピーチなどは許容せず、削除対応を行なうそうです)。太田監督や、Toshi Douglasさんらが出演します(詳細はこちら
 
 

参考記事:
映画「沼影市民プール」が声明 登場人物に対する差別・侮辱的な投稿相次ぎ「望んでいない」(スポニチアネックス)
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2026/09/16/articles/20260916s00041000380000c.html

市民プールの記録映画めぐり差別発言 なぜ監督はゲイの男性たちを映したのか #エキスパートトピ
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8d467fb0d3f0633285e7fc8edb18f252c8f3d1e1




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