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映画『スプリング・フィーバー』チン・ハオ&チェン・スーチョンへのインタビュー

映画『スプリング・フィーバー』に主演した中国の俳優、チン・ハオさんとチェン・スーチョンさんへのインタビューをお届けします。

映画『スプリング・フィーバー』チン・ハオ&チェン・スーチョンへのインタビュー
映画『スプリング・フィーバー』に出演した俳優のチン・ハオさんとチェン・スーチョンさんに、7月の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で来日していた際にインタビューすることができました。時間も限られており、他のメディアの方と合同のインタビューだったため、あれもこれもたくさんお聞きするというわけにはいかなかったのですが、質問に対して真剣に答えながらも、ときどきはにかんだり、笑顔がこぼれたり、とてもかわいらしいお二人の素顔に接することができました。有名な監督の作品だからゲイの役も我慢しよう、とかではなく、脚本の素晴らしさに共感し、ゲイの人を勇気づけるようないい作品を作るためにがんばろうという、確固とした熱い思いで撮影に臨んだことが伝わってきました。(後藤純一)
 

——この役を演じることになったきっかけや動機を教えてください。

チン:ロウ・イエ監督の『天安門、恋人たち』がカンヌで上映されたことは聞いていました。その後、『青紅』のワン・シャオシュアイ監督のパーティに行ったとき、ロウ・イエ監督に会ったんです。帽子を目深にかぶっていたので最初はわからなかったのですが。それから1年後にこの役のオファーを受けました。5時間話しました。脚本を読んで、別に問題ないと思い、受けることにしたんです。

チェン:僕はロウ・イエ監督には会ったことはありませんでした。仕事で広州にいたとき、助監督の方からオファーをいただきました。僕が出ていたTVドラマを観て、気に入ってくれたようでした。脚本を読んで、素晴らしい作品だと思いました。中国のこれまでの映画の中で、最も素晴らしい、と。それからロウ・イエ監督の作品を全部観て、ぜひ出させてください、とお返事しました。

——ゲイの役を演じるにあたり、何か準備したことはありましたか?

チン:監督から同性愛に関する映像資料や本をもらって準備はしましたが、実は必要なかったかもしれません。異性愛者か同性愛者かということは関係なく、俳優として観る人を感動させるような演技を心がけました。ロウ・イエ監督が「きっとこの映画が完成すれば、いろんな人が感謝してくれると思う。強い意志をもってやり遂げよう。多様な生に敬意を払おう」と言っていて、とても意義を感じました。

チェン:やはり本や映画を観たりして準備をしました。それと南京でいろんなゲイの方と実際に会って、お話を聞いたりしました。奥さんも子どももいるけど、偶然のきっかけで目覚めた方とか、恋人がゲイになった女性の方とか。クラブにも行きましたし、女装したホステスがいるお店にも行きました。そういう中で、男か女かだけじゃなく、グレーゾーンなんだなとわかりました。ゲイの方は、感受性に富んでいて、理知的でもあると感じました。

——演技で難しかったところは?

チン:3人を愛する役。女装のシーンもあって。あとは、男どうしのベッドシーンがあったので、性愛のテクニックみたいなところが難しかったです。俳優として言えば、どんな役もそれなりに難しいんです。今回も同じこと。そう言えば、ベッドシーンの撮影のとき、僕らが裸でいると恥ずかしがると思ったのか、監督が「他のスタッフも脱いだほうがいいか?」と聞いてきました(笑)。大丈夫です、と言いましたけど。

チェン:2人の愛の間で揺れ動く役でした。自分はストレートなので、やはりゲイの演技は少し難しかったかもしれません。

——多くの人たちが観る作品だと思いますが、特にゲイの方へ向けて、何かメッセージをお願いします。

チン:中国では、同性愛は禁じられているわけではありません。もっと広めようというのでもありません。あまり公にもなりません。ストレートの人にとって、愛することに障害はありませんが、ゲイはそうではない。僕は、男だろうと女だろうと、自由に恋愛していいんだよ、と言いたいですね。

チェン:中国でも世界でも、ゲイの人権はまだ確立してないと思います。別に自然な行為なんだし、様々なライフスタイルが認められるべきですよね。おたがいに尊敬しあうこと、自由に生きること、それは基本的なことだと思います。生き方はたくさんあるはずです。アン・リー監督が「誰でもみんな『ブロークバック・マウンテン』のような気持ちがある」と言っていたことを思い出します。

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