REVIEW
実にポップでインテレクチュアルでエモーショナルで画期的な『極私的梅毒展』@akta
二丁目のコミュニティセンターaktaで開催中の「極私的梅毒展」。梅毒のことが本当によくわかるし、実際にかかった方のリアルな声も届けられ、しかも遊び心満点のポップな展覧会で、実に素晴らしいです。ぜひご覧ください!

「極私的梅毒展」は、エディトリアルデザイナーであるコケ丸さんという方が、東京と大阪の二人の親友が梅毒に感染し、大変な思いをしたことから、梅毒のリアリティをみなさんに知ってほしいという思いで企画したものです。実際に友人が気付くキッカケになった陰茎のちいさな変化を生写真?で比較して確認できる「秘密ののぞき箱」など多彩なアイデアを駆使して、ポップに見せています。性感染症のプロの方のアドバイスももらい、信頼度の高い情報が得られたり(来場者の質問にさらに答えてくださったりというインタラクティブな試みも)、大阪で入院治療をした親友の方が詳しく語る「1年後のふりかえり」という特別付録が短冊のようにぶら下がっていたり(持って帰ることができます)、正しい知識と、リアルでエモーショナルな語りの両方を受け取ることができ、とても素晴らしいです。
梅毒ってこんなにいろんな症状があるの!?とか、お医者さんですら見抜けないケースがあるくらい、梅毒は「偽装の達人」なんだ?とか、以前は薬を1ヵ月くらい飲まなければいけなかったけど今は筋肉注射で1回で治るんだね!とか、知らなかったことだらけですし、驚きの連続です。(昔MASH大阪でダイアナ・エクストラバガンザさんが梅干しの瓶を持って「梅毒、侮りがたし…」とつぶやいている斬新なフライヤーを配布していましたが)本当に侮れないって思います。定期的に検査受けなきゃって実感できます。




そして今回、梅毒展以外にも、「DIAGRAM PORN」というインフォグラフィック作品も展示されていて、コロナ禍における東京・日本・東アジアのハッテン場の栄枯盛衰調査や、ウリ専ボーイ200人の履いてるアンダーウェアに見るブランドイメージとセクシュアリティ大調査、さよなら腹上死(SEX時の救急救命法)など、実に面白いコンテンツになっています。こちらもぜひご覧ください。

本当に面白い、素晴らしい展覧会なので、全国のコミュニティセンターに巡回されたら素敵だなと思ったりしました。
会期中、来場者の意見や情報を取り入れて少しずつ「増改築」が行なわれてきたという「極私的梅毒展」も、3月5日(日)で終了です。すでに観たという方も、さらに新しい情報が加わったりしているので、もう一度ご覧になってもよいのでは? というわけで、ぜひ今週末は、aktaにお出かけください。
極私的梅毒展
会期:2月17日(金)〜3月5日(日)
会場:コミュニティセンターakta
無料
開館時間:木曜〜日曜 15:00-21:00
INDEX
- おじさん好きなゲイにはとても気になるであろう映画『ベ・ラ・ミ 気になるあなた』
- 韓国から届いた、ひたひたと感動が押し寄せる名作ゲイ映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』
- 心ふるえる凄まじい傑作! 史実に基づいたクィア映画『ブルーボーイ事件』
- 当事者の真実の物語とアライによる丁寧な解説が心に沁み込むような本:「トランスジェンダー、クィア、アライ、仲間たちの声」
- ぜひ観てください:『ザ・ノンフィクション』30周年特別企画『キャンディさんの人生』最期の日々
- こういう人がいたということをみんなに話したくなる映画『ブライアン・エプスタイン 世界最高のバンドを育てた男』
- アート展レポート:NUDE 礼賛ーおとこのからだ IN Praise of Nudity - Male Bodies Ⅱ
- 『FEEL YOUNG』で新連載がスタートしたクィアの学生を主人公とした作品『道端葉のいる世界』がとてもよいです
- クィアでメランコリックなスリラー映画『テレビの中に入りたい』
- それはいつかの僕らだったかもしれない――全力で応援し、抱きしめたくなる短編映画『サラバ、さらんへ、サラバ』
- 愛と知恵と勇気があればドラゴンとも共生できる――ゲイが作った名作映画『ヒックとドラゴン』
- アート展レポート:TORAJIRO 個展「NO DEAD END」
- ジャン=ポール・ゴルチエの自伝的ミュージカル『ファッションフリークショー』プレミア公演レポート
- 転落死から10年、あの痛ましい事件を風化させず、悲劇を繰り返さないために――との願いで編まれた本『一橋大学アウティング事件がつむいだ変化と希望 一〇年の軌跡」
- とんでもなくクィアで痛快でマッチョでハードなロマンス・スリラー映画『愛はステロイド』
- 日本で子育てをしていたり、子どもを授かりたいと望む4組の同性カップルのリアリティを映し出した感動のドキュメンタリー映画『ふたりのまま』
- 手に汗握る迫真のドキュメンタリー『ジャシー・スモレットの不可解な真実』
- 休日課長さんがゲイ役をつとめたドラマ『FOGDOG』第4話「泣きっ面に熊」
- 長年のパートナーががんを患っていることがわかり…涙なしに観ることができない、実話に基づくゲイのラブコメ映画『スポイラー・アラート 君と過ごした13年と最後の11か月』
- 驚愕のクオリティ、全編泣ける究極のゲイドラマ『Ours』








