REVIEW
アート展レポート:Manbo Key「Under a void|空隙之下」
「恵比寿 地下 味の飲食街」で写真家のマンボウ・キーによる特別展示「Under a Void|空隙之下」が開催中。昭和な趣の小さな飲食街におよそ似つかわしくないかもしれないドラァグクイーンの写真がズラリと並んでいる様のおかしみと素敵さをぜひ堪能してください

一昨年は『父親的錄影帶|Father’s Videotapes』、昨年は『Home Pleasure|居家娛樂』と題した個展を開催した台湾の美術家、マンボウ・キー。LGBTQ先進国らしくゲイであることや性的なことへの後ろめたさが微塵も感じられず、まっすぐにセクシュアリティを表現した作品をたくさん発表しているところが快く、ファッション・フォトと並んでドラァグクイーンやGOGO BOYなどのポートレートもたくさん撮っています。
そんなマンボウ・キーのドラァグクイーンの写真が、恵比寿映像祭2026「あなたの音に|日花聲音|Polyphonic Voices Bathed in Sunlight」の地域連携プログラムの一つに抜擢され、「恵比寿 地下 味の飲食街」で展示されています。
「地下という匿名性と多声性を内包した空間を舞台に展開される本展示は、「多様な声音が響き合う」という恵比寿映像祭2026の総合テーマと深く共鳴する企画。マンボウは本企画において、2019年から現在にかけて制作された作品の中から、台湾のクィア・コミュニティで相互扶助や連帯の関係を育んできたドラァグクイーンに焦点を当てた作品群を紹介します」(公式サイトより)
というわけで、行ってみました。恵比寿の西口のほうはあまり行ったことがなく、「味の飲食街」などという地下街があったことも知らなかったのですが、Google Mapを頼りに行ってみました。JRで行かれる場合は、恵比寿駅のガーデンプレイス側じゃない1階のロータリーがあるほうの出口(西口)を出て、商店街を抜けてもいいですし、とにかく西に歩きましょう(日比谷線であれば5番出口です)。すると、割と大きな道路(目黒三田通りというそうです)にぶつかり、スーパーのピーコックが見えてきます。その左隣に「味の飲食街」の看板が見えます。
とても狭い階段を降りると、今回の特別展示「Under a Void|空隙之下」の案内が出ていました。そこから飲食街の通路をしばらく道なりに歩くと、今回のポスターにもなっている巨大な写真が見えてきて、その前の廊下のところに、『ル・ポールのドラァグ・レース』で優勝を果たしたニンフィア・ウィンドをはじめ、台湾のドラァグ・カルチャーを描いた短編映画で主人公を務めたMarianなど、台湾のいろんなドラァグクイーンを撮りおろした写真たちが並んでいました。まじまじと見ていると、これらの写真がすべて、八百屋だったり、ガスボンベを積んだバイクだったり、藝閣(イーグ)という台湾の伝統的なお祭りに出る車だったり、いかにも台湾らしい風景のなかで撮られていることに気づきました。あえてクラブとかオシャレな場所じゃない「ベタ」な風景にド派手なドラァグクイーンを置くことで「異化作用」を生んでいて、逆にオシャレだし、素敵でした。
「味の飲食街」の昭和でレトロな空間に、そのような台湾のドラァグクイーンの写真がドーンと展示されていることの面白さをぜひ味わってみてください。23日までです。



Manbo Key「Under a void|空隙之下」
会期:2026年2月6日(金)〜23日(月祝)
会場:恵比寿 地下 味の飲食街(東京都渋谷区恵比寿南 2-3-3 第一恵比寿マンション B1F)
24時間営業
休日:なし
無料
INDEX
- ぜひ観てください:『ザ・ノンフィクション』30周年特別企画『キャンディさんの人生』最期の日々
- こういう人がいたということをみんなに話したくなる映画『ブライアン・エプスタイン 世界最高のバンドを育てた男』
- アート展レポート:NUDE 礼賛ーおとこのからだ IN Praise of Nudity - Male Bodies Ⅱ
- 『FEEL YOUNG』で新連載がスタートしたクィアの学生を主人公とした作品『道端葉のいる世界』がとてもよいです
- クィアでメランコリックなスリラー映画『テレビの中に入りたい』
- それはいつかの僕らだったかもしれない――全力で応援し、抱きしめたくなる短編映画『サラバ、さらんへ、サラバ』
- 愛と知恵と勇気があればドラゴンとも共生できる――ゲイが作った名作映画『ヒックとドラゴン』
- アート展レポート:TORAJIRO 個展「NO DEAD END」
- ジャン=ポール・ゴルチエの自伝的ミュージカル『ファッションフリークショー』プレミア公演レポート
- 転落死から10年、あの痛ましい事件を風化させず、悲劇を繰り返さないために――との願いで編まれた本『一橋大学アウティング事件がつむいだ変化と希望 一〇年の軌跡」
- とんでもなくクィアで痛快でマッチョでハードなロマンス・スリラー映画『愛はステロイド』
- 日本で子育てをしていたり、子どもを授かりたいと望む4組の同性カップルのリアリティを映し出した感動のドキュメンタリー映画『ふたりのまま』
- 手に汗握る迫真のドキュメンタリー『ジャシー・スモレットの不可解な真実』
- 休日課長さんがゲイ役をつとめたドラマ『FOGDOG』第4話「泣きっ面に熊」
- 長年のパートナーががんを患っていることがわかり…涙なしに観ることができない、実話に基づくゲイのラブコメ映画『スポイラー・アラート 君と過ごした13年と最後の11か月』
- 驚愕のクオリティ、全編泣ける究極のゲイドラマ『Ours』
- 女子はスラックスOKで男子はスカート禁止の“ジェンダーレス制服”をめぐるすったもんだが興味深いドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』
- 恋愛指向の人がマイノリティである世界を描いた社会実験的ドラマ「もしも世界に 『レンアイ』がなかったら」
- 田亀源五郎さんの新連載『雪はともえに』
- 世界が認めたシスター・バイオレンス・アクション小説:王谷晶『ババヤガの夜』
SCHEDULE
記事はありません。







