REVIEW
アニメ映画『同級生』
しょせんBLでしょ?などと侮ることなかれ。男子高校生たちの純な姿に胸を打たれ、「恋ってこういうものだよね」と、かつてウブだった頃の自分を思い出して感涙すること間違いナシ。「BLはリアルなゲイじゃない」という色眼鏡をパリンと小気味よく打ち砕いてくれるような名作です。

中学とか高校のとき、同級生の男の子に恋した経験を持つ方は少なくないと思います。平成生まれの男の子たちは(特に男子校だったりすると)男どうしだからどうとかあまり関係なく、そんなことを気にするひまもなく(光の速さで)恋に落ち、お前が好きだ!と真っ直ぐに(でも不器用に)突き進むかもしれません。
『同級生』は、そんなイマドキの男子高校生たちの純粋で真っ直ぐすぎる恋を描いています。






平凡な男子校に合唱祭の季節がやってきた。バンド活動をしていて女子にも人気の高い草壁は、クラス一の秀才・佐条が、合唱の練習のときに歌っていないことに気づき、勉強命で歌なんてどうでもいいんだろうな、と思う。が、放課後、ひそかに佐条が歌の練習をしているのを見て(ただ音痴で周りに迷惑をかけたくなかっただけなんだと知り)、歌の練習を手伝おうかと申し出る。夏の日の放課後、二人で声を合わせ、歌を響かせる日々。ふとしたきっかけで草壁は、佐条の唇を奪い、二人のもどかしい恋が始まる…。
恋ってこういうものだよなぁ…と(今の自分からはかけ離れた)ピュアな男子高校生たちの姿に心が洗われるような思いがします。ゲイなのかどうかなんてどっちでもよくて、ただ彼が好きで、どうしようもなく好きで、お互いのこと心配したり、ずっと一緒にいようとしたり、照れたり、怒ったり、泣いたり、嫉妬したりっていう純情。男女の恋とひとつも変わらない、もどかしくて真っ直ぐで全力な恋。応援したくなります。高校時代の自分の同級生への片思いと重ね合わせて、こんなふうにつきあうことができていたらどんなに幸せだっただろう…って思います。
世の中には何十億円もかけて制作された(毒にも薬にもならない)くだらない映画が腐るほどありますが、『同級生』は腐ってるという色眼鏡をパリンと小気味よく割って、名作ゲイ映画の地平にたどり着いていると思います。もしこれがゲイのアニメ映画として、世界の映画祭に持って行かれたとしたら、きっと絶賛されると思います。そういう普遍性を持っています。
二人の恋は、二人だけの世界で完結するのではなく、原センと呼ばれる教師がそれとなく二人の恋を応援しているところが面白いです(ちょっと三角関係っぽくなりそうだったりもするのですが…)
草壁は、いちばん大事なバンドの仲間に、佐条とつきあってることを堂々と言い(信頼関係があればこそ、です)、公衆の面前で(知ってる人が見てるかもしれない場所で)キスしたりもして、もう、これがゲイリブでなくて何なのか?という感じです。愛が世界を変える、ですよ。素晴らしいです。
『同級生』はもともと中村明日美子さんという方の漫画が原作なのですが(アニメ映画は極力、そのタッチを変えずに作られています)、学校を卒業した二人のその後を描いた続編や、原センをフィーチャーしたスピンオフ作品などもあるそうで、うわ、読みたい!って思ってしまいました。
特別料金1500円(割引は適用外)という、通常の映画よりも安い価格になっています(ただ、上映時間も短いです。1時間で終わります)。興味のある方はぜひ、ご覧ください。
『同級生』
2016年/日本/原作:中村明日美子/監督:中村章子/声の出演:野島健児、神谷浩史、石川英郎ほか/全国で公開中
(C)中村明日美子/茜新社・アニプレックス
INDEX
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- 束の間結ばれ、燃え上がる女性たちの真実の恋を描ききった、美しくも切ないレズビアン映画の傑作『燃ゆる女の肖像』
- 東京レインボープライドの杉山文野さんが苦労だらけの半生を語りつくした本『元女子高生、パパになる』
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- ゲイが堂々と生きていくことが困難だった時代に天才作家として社交界を席巻した「恐るべき子ども」の素顔…映画『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』
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- 台湾で婚姻平権を求めた3組の同性カップルの姿を映し出した感動のドキュメンタリー『愛で家族に〜同性婚への道のり』
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- 映画やドラマでトランスジェンダーがどのように描かれてきたかが本当によくわかるドキュメンタリー『Disclosure トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そして』
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