REVIEW
歌川たいじ『ゲイです、ほぼ夫婦です』
歌川たいじさんの新刊が出ました。自身のブログと同じタイトルの単行本は、これまでの傑作選+新たなエピソードを新たに描き下ろしたコミックエッセイ。幸せに生きるためのヒントが満載で、きっと元気をもらえます。一家に一冊、ぜひお買い求めください。

blog「♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です」や『じりラブ』『ツレちゃんに逢いたい』『ブレイクスルー』といった単行本でツレちゃんとのほのぼのした日常(パートナーシップ)をラブリーに描き、大人気ブロガーとなった歌川たいじさん。漫画だけでなく小説も世に送り出し(『やせる石鹸』とかぜひ映画化してほしいです)、昨年には著書『母さんがどんなに僕を嫌いでも』が映画化され、今や立派な作家となった感がありますが、そういえばなんで漫画描くことになったんだっけ?というところから振り返り、あらためて、スーパー天然なツレちゃんの「源泉かけ流しのような愛情」や、ゲイの友達たちの話、家族同然だった猫の話など、よりすぐりの素敵エピソードを、CDで言うとベスト盤的に盛り込んだ一冊です(でも、すべてこの本のためにあらためて描き下ろされていて、おかげで、見やすく、美しくなっています)
歌川さんの本は全く初めてという方にも読みやすい一冊ですし、2010年の単行本デビュー以来、すべての本を読んできた方でも、初期の頃の代表的なエピソードとともに新しいストーリーにも出会える(まさにベストアルバムのように手元に置いておきたい)保存版的な一冊になっています。
本の帯にも描かれてますし、無限に採掘できる鉱山のように10年も描き続けられるくらいエピソード豊富なツレちゃんのスーパー天然っぷりには、だれもがきっとほっこりさせられることでしょう(ツレちゃんは何度か二丁目などのイベントにも出演してますが、キレッキレなダンスとゆるゆるなトークの対照が面白い(Perfumeっぽいかも)、素敵な方です)。家族同然だった猫ちゃんがなくなったときのツレちゃんのエピソードにも泣かされます。歌川さんとツレちゃん、本当にいい「ほぼ夫婦」だなぁ〜って思うと思います。
そもそも歌川さんがブロガーになったのは、2008年にリーマンショックのあおりで勤めていた会社が倒産したからですが、会社勤め時代のエピソードが非常にリアルで、まだ日本で企業がLGBT支援のことなんて全く意識してなかった頃なので、優秀でグングン実績を挙げてる歌川さんを「おかまちゃん」などと言って排除しようとする上司とか(あるあるですね…早く絶滅してほしいですが)、そんなパワハラ・セクハラ上司をどうやっていなしていったかといったあたりの痛快エピソードは、(みんながそういうふうに強く、賢くなるのは無理だし、こうしなさいというわけではないのですが)ある種のバイブルとして読めると思います。
それから、ユウキくんとトンちゃんというゲイの友達カップルのエピソードが描かれていますが、二人の関係性よりも今回はユウキくんのお母さんが素敵!と感じました(以前にも読んでいたかもしれませんが、あらためて)
今は世間ではLGBTの支援者を「アライ」と言ったりしますが、ユウキくんのお母さんは「アライ」というレベルじゃなくてゲイと同じ目線、同じ立場で行動してる感じがして、面白いし、大好きです。
ほかにも、悪友キミツさんの部下で頑張り屋のツィン子さんの感動エピソードなど、いい話が満載です。ゲイ(に限らず人間)が幸せになるにはどうしたらよいのか?ということのヒントがこれでもかと盛り込まれている、元気が出る、自分を信じて明日から頑張れる、そんな一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
ゲイです、ほぼ夫婦です
歌川たいじ/扶桑社
INDEX
- 同性へのあけすけな欲望と、性愛が命を救う様を描いた映画『ミゼリコルディア』
- アート展レポート:CAMP
- アート展レポート:能村 solo exhibition「Melancholic City」
- 今までになかったゲイのクライム・スリラー映画『FEMME フェム』
- 悩めるマイノリティの救済こそが宗教の本義だと思い出させてくれる名作映画『教皇選挙』
- こんな映画観たことない!エブエブ以来の新鮮な映画体験をもたらすクィア映画『エミリア・ペレス』
- アート展レポート:大塚隆史個展「柔らかい天使たち」
- ベトナムから届いたなかなかに稀有なクィア映画『その花は夜に咲く』
- また一つ、永遠に愛されるミュージカル映画の傑作が誕生しました…『ウィキッド ふたりの魔女』
- ようやく観れます!最高に笑えて泣けるゲイのラブコメ映画『ブラザーズ・ラブ』
- 号泣必至!全人類が観るべき映画『野生の島のロズ』
- トランス女性の生きづらさを描いているにもかかわらず、幸せで優しい気持ちになれる素晴らしいドキュメンタリー映画『ウィル&ハーパー』
- 「すべての愛は気色悪い」下ネタ満載の抱腹絶倒ゲイ映画『ディックス!! ザ・ミュージカル』
- 『ボーイフレンド』のダイ(中井大)さんが出演した『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』第2話
- 安堂ホセさんの芥川賞受賞作品『DTOPIA』
- これまでにないクオリティの王道ゲイドラマ『あのときの僕らはまだ。』
- まるでゲイカップルのようだと評判と感動を呼んでいる映画『ロボット・ドリームズ』
- 多様な人たちが助け合って暮らす団地を描き、世の中捨てたもんじゃないと思えるほのぼのドラマ『団地のふたり』
- 夜の街に生きる女性たちへの讃歌であり、しっかりクィア映画でもある短編映画『Colors Under the Streetlights』
- シンディ・ローパーがなぜあんなに熱心にゲイを支援してきたかということがよくわかる胸熱ドキュメンタリー映画『シンディ・ローパー:レット・ザ・カナリア・シング』
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