REVIEW
恋愛・セックス・結婚についての先入観を取り払い、同性どうしの結婚を祝福するオンライン演劇「スーパーフラットライフ」
恋愛・セックス・結婚についての思い込みをぜーんぶ取り払ってフラットに考えてみようよ、同性どうしで結婚するってそんなに変なこと?と問いかけるオンライン演劇です。主演は秋元才加さんです!
4月初め、俳優の秋元才加さんが主演し、恋愛・セックス・結婚についての思い込みをぜーんぶ取り払ってフラットに考えてみようよ、同性どうしで結婚するってそんなに変なこと?と問いかけるオンライン演劇「スーパーフラットライフ」が上演されました。このGWにアンコール配信があります。
<あらすじ>
5年付き合った彼氏に突然の別れを告げられた棚橋エリ(秋元才加)は、まもなく30歳を迎えるため、結婚を焦っていて、オンライン結婚相談所「スーパーフラットライフ」にアクセスする。パッと見で性別がわからないマネージャーのアキラ(中山咲月)は、エリに次々に理想の結婚相手を紹介してくれるが、その相手は、ストレートながら同性どうしの結婚を望んでいる女性であったり、別居婚や契約結婚を望む人であったり、エリが抱く「普通」の結婚観を根底から覆す人たちばかりだった…。
恋愛・セックス・結婚についての「普通」を徹底的に疑うような、思考実験?社会実験?的な趣のある、たいへん面白い演劇でした。
私たちが当事者として同性婚について語るとき、どうしても同性愛者(やパートナーが戸籍上同性であるトランスジェンダーの方など)にも異性愛者と同等の権利を!結婚の平等を実現しよう!という人権の観点から語りがちです。この演劇では、もっと根本的なところで、そもそも結婚って性的に惹かれる(性的指向が向く)人とじゃないと成立しないの? 同性の親友と家族になるという結婚の形もアリじゃないの?という視点で物語が進んでいき、男性も含めたストレートの視聴者が「そういえばそうだよね」と納得する(コメント欄に同意のコメントが上がっていく)というところが新しく、興味深かったです。
同性婚のことだけでなく、ロマンチックラブイデオロギー(恋愛して好きになった人と結婚して子どもをもうけ、一生添い遂げることが幸せであるという価値観)とかモノガミー(恋愛は1対1でするものであるというスタンス)をも疑っているところが斬新です。劇中、ある人物が、恋愛・セックス・結婚が全部たった一人の異性で完結するのって理想かもしれないけど、実はそれって本当に狭き門で奇跡みたいなものだよね、それを「普通」だと思い込んで頑張ってみても、多くの人は幸せを掴めないんじゃない? だったら、結婚とセックスを分ける(オープンリレーションシップ)というやり方もアリなんじゃない?と、生き生きと語るシーンが、とても小気味よいです。
同性どうしで結婚するのは同性愛者だけじゃなくて、異性愛者どうしでもありえるし、あっていいよね?という提案にもなっていて、ちょっと目からウロコでした(同性婚は同性愛者である私たちの専売特許、みたいについ思ってしまいがちですが、実はそんなことなくて、もっと誰にでも開かれたものであっていいはずですよね)
トランスジェンダー、トランスヴェスタイト、レズビアン、ゲイ、いろんな方たちが登場します。性的指向と性自認のことがごっちゃになっていたり、細かいところでツッコミどころはいろいろあるのですが、性の多様性へのリスペクトの気持ちは伝わってきました。
そして、劇中に挿入されるレインボーファミリー的な映像が、本当に素敵でした…秋元才加さんはじめプロの役者さんたちだからこそのクオリティだと思いました。
コメントが2000もついたそうですが、何万人も視聴したメジャーな演劇でこの内容って、画期的なことじゃないでしょうか。
4/30〜5/5にアンコール配信があるので、もし興味がある方はご覧になってみてください。
オンライン演劇「スーパーフラットライフ」アンコール配信
日時:2021年4月30日(金)19:50~5月5日(水祝)23:59
出演:俳優/秋元才加、モデル・俳優/中山咲月、俳優/平田薫、お笑い芸人/池田直人(レインボー)
視聴方法:LINE LIVE-VIEWING
チケット価格:2,020円(税込・サービス料含む)
購入方法:LINE LIVE-VIEWINGにて購入
※備考:オンライン演劇の最新情報につきましては、Harumari TOKYOの公式LINEアカウントをフォローし、チェックしてください。
INDEX
- かけがえのない命、かけがえのない愛――映画『スーパーノヴァ』
- プライド月間にふさわしい観劇体験をぜひ――劇団フライングステージ『PINK ピンク』『お茶と同情』
- 同性と結婚するパパが許せない娘や息子の葛藤を描いた傑作ラブコメ映画『泣いたり笑ったり』
- 家族的な愛がホモフォビアの呪縛を解き放っていく様を描いたヒューマンドラマ: 映画『フランクおじさん』
- 古橋悌二さんがゲイであること、HIV+であることをOUTしながら全世界に届けた壮大な「LOVE SONG」のような作品:ダムタイプ『S/N』
- 恋愛・セックス・結婚についての先入観を取り払い、同性どうしの結婚を祝福するオンライン演劇「スーパーフラットライフ」
- 『ゴッズ・オウン・カントリー』の監督が手がけた女性どうしの愛の物語:映画『アンモナイトの目覚め』
- 笑いと感動と夢と魔法が詰まった奇跡のような本当の話『ホモ漫画家、ストリッパーになる』
- ラグビーの名門校でホモフォビアに立ち向かうゲイの姿を描いた感動作:映画『ぼくたちのチーム』
- 笑いあり涙ありのドラァグクイーン映画の名作が誕生! その名は『ステージ・マザー』
- 好きな人に好きって伝えてもいいんだ、この街で生きていってもいいんだ、と思える勇気をくれる珠玉の名作:野原くろ『キミのセナカ』
- 同性婚実現への思いをイタリアらしいラブコメにした映画『天空の結婚式』
- 女性にトランスした父親と息子の涙と歌:映画『ソレ・ミオ ~ 私の太陽』(マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル)
- 女性差別と果敢に闘ったおばあちゃんと、ホモフォビアと闘ったゲイの僕との交流の記録:映画『マダム』(マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル)
- 小さな村のドラァグクイーンvsノンケのラッパー:映画『ビューティー・ボーイズ』(マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル)
- 世界エイズデーシアター『Rights,Light ライツライト』
- 『逃げ恥』新春SPが素晴らしかった!
- 決して同性愛が許されなかった時代に、激しくひたむきに愛し合った高校生たちの愛しくも切ない恋−−台湾が世界に放つゲイ映画『君の心に刻んだ名前』
- 束の間結ばれ、燃え上がる女性たちの真実の恋を描ききった、美しくも切ないレズビアン映画の傑作『燃ゆる女の肖像』
- 東京レインボープライドの杉山文野さんが苦労だらけの半生を語りつくした本『元女子高生、パパになる』
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