REVIEW
CBC「ハートフルワールド」第22話「東京・新宿二丁目編」がなかなかよかったです
CBCの「ハートフルワールド」という番組が8月3日、二丁目編を放送しました。アイソの前にいた渦潮つば子さんやギャビーギャビーさんがインタビューに答えていたほか、仲通りを歩いていたゲイカップルや女性カップル、二丁目で働くトランス女性の方などにも密着し、いまのLGBTQのリアルが捉えられていました

名古屋のテレビ局CBCの「ハートフルワールド」は、ディレクターが単独でディープな場所を取材し、そこにあるハートフルな部分にスポットを当てる番組です。放送文化基金賞エンターテインメント部門で最優秀賞、ギャラクシー賞で優秀賞を獲得しています。例えば大阪の西成だったり、岐阜の金津園だったり、名古屋の女子大小路だったり、いろんな街で取材をしてきましたが、今回、ぼくらの二丁目が取り上げられました。わざわざ名古屋から二丁目に2ヵ月間通い詰めたんだそうです。
ディープな場所を選んで取材するという番組の趣旨からすると、二丁目は別に、ただ多様なセクシュアリティの方が集まって楽しんだり自分を解放したり仲間を見つけたりする街であって、ハートフルではあるけれども、別にディープな場所ではないので、そもそも番組の趣旨に合わないのでは…とか、(ちょっと前まで二丁目がテレビで取り上げられる際に“禁断の”というワードが枕詞のようにつけられていたように)わざとディープに見せようとするテレビっぽいいやらしさが透けて見えるような番組になるのでは…という一抹の不安もあったのですが、実際に見てみると、淡々と、二丁目のいろんな人たちに取材し、その声をそのまま映し出すような作りになっていて、(一部あちゃーというシーンもありましたが)全体として、予想以上にハートフルでした。
AiSOTOPE LOUNGEの前にいたギャビーギャビーさんが「ハートフルだから、この街は。助けられましたよ、私はこの街に」と語るくだり、グッときました。30代のゲイカップルが、交際をきっかけにカミングアウトを決意し、お互いをお互いの家族に紹介しあった、意外にも親戚とかもみんなふつうに受け容れてくれてうれしかったというお話。40代で性別移行を決意し、二丁目にやってきて、お店のママが面倒を見てくれて、今は幸せだと語るトランス女性の方。そして、最後に登場するのがレズビアンとパンセクシュアル女性のカップルだったのですが、本当に素敵な二人で、幸せそうで、最高でした。
TP前夜の人があふれる二丁目の光景、そして二丁目に集う今のLGBTQのリアルが映し出されていました。
TVerでご覧になれますので、もし興味がある方は、ご覧になってみてください。
CBC「ハートフルワールド」第22話「東京・新宿二丁目編」
https://tver.jp/episodes/eprp7kzx9q


この番組の過去の放送はNetflixなどでも配信されています。エピソード2が「名古屋女子大小路編」で、この回でもゲイの方がフィーチャーされていたので、ご紹介します。女子大小路はふだんはホストとかフィリピンパブとかが集まる街で、池田公園とかもNLGR+の時とは全く違う雰囲気ですし、知らなかったことがたくさんあって興味深かったのですが、そんな女子大小路でハートフルを探していたディレクターが、深夜にラーメンを食べていたら、なんと、そのラーメン屋の店主さんが「このビルの5階にあるTOY SOLDIERってゲイバーがハートフルだよ」と教えてくれて、お店を訪ねることに。そこにいたミセコのゆんとさん(30歳)は、ゲイに理解のない(と思っていた)親のもとで暮らすのがつらくて23歳で家を飛び出し、ゲイバーで働いて7年、親元には一度も帰っていない、という方だったのですが、番組への出演を機に、親へのカミングアウトを決意するのです。やらせ一切なし。親からひどい言葉をぶつけられる可能性も…。緊張が走ります。どんな結果になったのか、ぜひ(ハンカチを用意して)ご覧になってみてください。
Netflix「ハートフルワールド」
https://www.netflix.com/title/81775895
INDEX
- 韓国のベアコミュニティが作ったドラマ「Cheers 짠하면알수있어」
- 安堂ホセさんの芥川賞ノミネート第2作『迷彩色の男』
- リュック・ベッソンがドラァグクイーンのダーク・ヒーローを生み出し、ベネチアで大絶賛された映画『DOGMAN ドッグマン』
- マジョリティの贖罪意識を満たすためのステレオタイプに「FxxK」と言っちゃうコメディ映画『アメリカン・フィクション』
- クィアでブラックなミュージカル・コメディ・アニメドラマ『ハズビン・ホテルへようこそ』
- 涙、涙…の劇団フライングステージ『こころ、心、ココロ -日本のゲイシーンをめぐる100年と少しの物語-』第二部
- 心からの拍手を贈りたい! 劇団フライングステージ 『こころ、心、ココロ -日本のゲイシーンをめぐる100年と少しの物語-』第一部
- 40代で性別移行を決意した人のリアリティを描く映画『鏡をのぞけば〜押された背中〜』
- エストニアの同性婚実現の原動力になった美しくも切ない映画『Firebirdファイアバード』
- ゲイの愛と性、HIV/エイズ、コミュニティをめぐる壮大な物語を通じて次世代へと希望をつなぐ、感動の舞台『インヘリタンス-継承-』
- 愛と感動と「ステキ!」が詰まったドラァグ・ムービー『ジャンプ、ダーリン』
- なぜ二丁目がゲイにとって大切な街かということを書ききった金字塔的名著が復刊:『二丁目からウロコ 増補改訂版--新宿ゲイ街スクラップブック』
- 『シッツ・クリーク』ダン・レヴィの初監督長編映画『ため息に乾杯』はゲイテイストにグリーフワークを描いた素敵な作品でした
- 差別野郎だったおっさんがゲイ友のおかげで生まれ変わっていく様を描いた名作ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』
- 春田と牧のラブラブな同棲生活がスタート! 『おっさんずラブ-リターンズ-』
- レビュー:大島岳『HIVとともに生きる 傷つきとレジリエンスのライフヒストリー研究』
- アート展レポート:キース・へリング展 アートをストリートへ
- レナード・バーンスタインの音楽とその私生活の真実を描いた映画『マエストロ:その音楽と愛と』
- 中国で実際にあったエイズにまつわる悲劇を舞台化:俳優座『閻魔の王宮』
- 性的嗜好におけるマイノリティの生きづらさを描いた映画『正欲』






