REVIEW
『痛快!明石家電視台』ドラァグクイーン大集合SP
2月11日(土)にMBSで放送された『痛快!明石家電視台』ラァグクイーン大集合SP、面白くて、平和で、とてもよかったです。
![『痛快!明石家電視台』ドラァグクイーン大集合SP 『痛快!明石家電視台』ドラァグクイーン大集合SP](assets/images/review/TV/Drag/DQ_akashiya.jpg)
関西のMBS毎日放送で明石家さんまさんがMCを務める人気番組『痛快!明石家電視台』で、東西のドラァグクイーンが大集合するスペシャル番組がが2月11日(土)15時から放送されました。
ちょっと心配だった、ゲイであることやドラァグ(女装)することを茶化したりバカにしたりするようなところもほとんどなく、ふつうにめっちゃ面白かったですし、身内の話だと思ってたドラァグクイーン業界の話題がそのまんま番組になってテレビで放送されてることの感慨もありました。
コロナ禍の間にロビンさんのものまねメイクの凄さに感嘆した方も多いと思うのですが、その驚愕のビフォーアフターが紹介されたり、「do with cafe」が紹介されたり(その際もロビンさんがとあるタレントの顔まねでスタジオを沸かせていました)、OZさんが昨年イケメントランス男性とご結婚されたり(みなさん祝福してくれていました)という、身近なゲイの世界のことがそのままテレビで流れていて、なんだか「女装紅白」とかEXPLOSIONのイベントを観ているような感覚に。
でもそこはテレビなので、ギャップがすごい人、料理が上手い人、恋愛の達人(HOSSYさん&リルさんもフィーチャー)、そしてショータイムという4つのテーマでそれぞれ競い合う感じのつくりになっていて、エンタメ感もちゃんとあり、芸能人の方々のコメントもあって、もちろんさんまさんの司会もあって。
最後のショータイムは、ゲブ美さんやニクヨさんやホモ恵さんという20年以上も二丁目(をはじめとするゲイタウン)のゲイイベントでショーをやってきた日本を代表する「宝」的な存在の方々がショーを披露し、これがテレビで流れるなんて…っていう感慨。感動すら覚えました。
とてもよい番組でした。
90年代に上岡龍太郎さんの番組でMr.レディー50人とか、ゲイ50人っていう番組があって、かなり世間的に話題になったと思うのですが(Mr.レディーはスペシャルも放送されたはず)、やはりどこかノンケさんに媚びるような番組だったという印象でした(当時の時代状況を考えると仕方ないですけどね…ショーパブの方とかはお商売ですし)。しかし、時代はめぐり、世の中も変わり、うちらの世界の人気者であるドラァグクイーンが登場し、ノンケさんに媚びずにふだんと同じようなノリでしゃべり(番組サイドがそれを尊重し)、それがエンタメとして成立するという、ルポールのドラァグレースの日本版みたいな状況になっていたことに感慨を覚えました。
いい時代になったなぁと思います。素晴らしいです。
TVerで今週末までご覧いただけますので、ぜひ。
痛快!明石家電視台
#1502「さんちゃん芸人牧場 イチバンは誰だ ドラァグクイーン大集合SP!」
https://tver.jp/episodes/epqlsyrkrl
INDEX
- 中国で男娼として生きる主人公やその周囲の若者たちの群像をせつなく美しく描いた映画『マネーボーイズ』
- 50代以上のゲイの方たちの食事会の様子を通じて人生を映し出した映画『変わるまで、生きる』
- これまで見捨てられがちだった人々をも包み込んで慈しむような素晴らしいゲイ映画『老ナルキソス』
- 驚くべき魂を持った人間の崇高な最期を描いた映画『ザ・ホエール』
- ゲイと女性2人の美大同級生たちの人生模様を料理とともに描くドラマ『かしましめし』
- ゲイである父、娘たち、元彼の人間模様を描き、人間の「尊厳」や「愛」を問う映画『すべてうまくいきますように』
- レビュー:リン・モンホワン『同棲時間』公演記録映像上映+アフタートーク
- レビュー:リン・モンホワン『赤い風船』『アメリカ時間』
- 大興奮!大傑作!本当に面白いクィアSFアクションムービー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
- 実にポップでインテレクチュアルでエモーショナルで画期的な『極私的梅毒展』@akta
- 女性と同性愛者を抑圧し、ペストで死ぬ人々を見殺しにする腐敗した権力者への叛逆を描いた映画『ベネデッタ』
- トランスジェンダーへの偏見や差別に立ち向かうために読んでおきたい本:『トランスジェンダー問題: 議論は正義のために』
- 『痛快!明石家電視台』ドラァグクイーン大集合SP
- 殺伐とした世界に心を痛めるすべての人に観てほしいドラマ『THE LAST OF US』第3話
- 3人のドラァグクイーンのひと夏の旅を描いたハートフル・コメディ映画『ひみつのなっちゃん。』
- 40歳のゲイの方が養護施設で育った複雑な生い立ちの20歳の男の子を養子に迎え入れ、新しい家族としての生活を始める姿をとらえたドキュメンタリー映画『二十歳の息子』
- 貧しい家庭で妹の面倒を見る10歳のゲイの男の子が新しい世界を切り開こうともがき、成長していく様を描いた映画『揺れるとき』
- ゲイコミュニティへのリスペクトにあふれ、あらゆる意味で素晴らしい、驚異的な名作『エゴイスト』
- ドラァグクイーンの夢のようなロマンスを描いたフランス発の短編映画『パロマ』
- 文藝賞受賞、芥川賞候補の注目作――ブラックミックスのゲイたちによる復讐を描いた小説『ジャクソンひとり』
SCHEDULE
- 01.13「褌男児!和漢祭」vol.4