REVIEW
ゲイと女性2人の美大同級生たちの人生模様を料理とともに描くドラマ『かしましめし』
テレ東で4月10日から始まった『かしましめし』は、ゲイと女性2人の美大同級生3人の人生模様を、食卓を囲むシーンをフィーチャーしながら描くドラマです。

テレ東で4月10日から始まったドラマ『かしましめし』は、美大を卒業後、同級生の自死をきっかけに再会したアラサー男女3人が、それぞれの人生に悩みながら「おうちごはん」を囲むなかで、やがて一緒に暮らしていくようになるという物語で、3人のうちの1人がゲイ、そしてごはんのシーンがめっちゃ美味しそう!作ってみたい!と思わせるあたり、『きのう何食べた』を彷彿させます。
<あらすじ>
上司のパワハラで心が折れ、仕事を辞めた千春(前田敦子)。婚約破棄されたばかりのナカムラ(成海璃子)。恋人との関係がうまくいかないゲイの英治(塩野瑛久)。同級生の死をきっかけに再会したアラサーの3人は、それから定期的に集まっては一緒にご飯を食べるようになり…。
原作は『FEEL YOUNG』好評連載中、おかざき真里さんの漫画『かしましめし』で、たぶん漫画を読んできた方はイメージ通り!って納得するのでは?と思われる前田敦子さん、成海璃子さん、塩野瑛久さんの3人が出演しています。
しょっぱなから驚かされたのですが(本当に最初に出てくるエピソードなので言ってしまいますが)、3人の同級生であるラガーマンのトミオは千春とも英治ともつきあっていたという事実がお葬式で明らかになり(英治との関係は秘密にしてましたが、彼はバイセクシュアルだったのです)、それでも千春は嫌な顔ひとつせず、むしろナカムラの「隠密?」というツッコミに笑い転げ、その後、何事もなかったかのように英治と仲良く友達づきあいしていくという受容度の高さ。英治の今カレの話も2人ともごくふつうに聞くし、親へのカミングアウトの話も(そこにも驚愕のエピソードが混じっているのですが)ふつうに聞くしで、ゲイであることが本当に自然。ごく当たり前なこととして描かれていました。
(『きのう何食べた』に勝るとも劣らないゲイ度の濃さかもしれません)
一方、千春もナカムラも仕事で悩みを抱え(千春はパワハラでうつ状態になるシリアスさ)、英治の悩みよりもよほど辛そうです…。そんな3人が食卓を囲み、美味しいごはんを一緒に食べることで回復していく姿が描かれている、意外とシリアスで、だからこそジーンとくるものがあるドラマです。包まない餃子とか、闇の包み焼きとか、わーこれいい!作ってみたい!と思わせるメニューも素敵です。
昨今、いろんなドラマにLGBTQのキャラクターが登場していますが、なかには「ちょっとLGBTQのキャラクターを入れてみました」とか、描き方が微妙な作品もあると思います。でも、このドラマは、英治がゲイだからこそ3人で共同生活することに不安がないし、男女の恋愛に発展することなく、3人が(ある意味SATCのように)ずっと何でも話せて支え合えるような友達関係を続けていられるという、ゲイである必然性が感じられます。美大の同級生っていうところも(ありがちですが)リアルじゃないでしょうか。関西弁である塩野さんの演技は、『きのう何食べた』のケンジ(内野さん)のようなオネエではなく、ナチュラル感あります。イマドキのゲイはこんな感じよね、みたいな。
なかなかいいドラマでした。
毎週観ようかな、と思えます。
かしましめし
毎週月曜23:06~
テレビ東京にて放送中
第1話をTVerで配信中(今週末まで)
https://tver.jp/episodes/epmq2ibxi2
INDEX
- 驚くべき魂を持った人間の崇高な最期を描いた映画『ザ・ホエール』
- ゲイと女性2人の美大同級生たちの人生模様を料理とともに描くドラマ『かしましめし』
- ゲイである父、娘たち、元彼の人間模様を描き、人間の「尊厳」や「愛」を問う映画『すべてうまくいきますように』
- レビュー:リン・モンホワン『同棲時間』公演記録映像上映+アフタートーク
- レビュー:リン・モンホワン『赤い風船』『アメリカ時間』
- 大興奮!大傑作!本当に面白いクィアSFアクションムービー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
- 実にポップでインテレクチュアルでエモーショナルで画期的な『極私的梅毒展』@akta
- 女性と同性愛者を抑圧し、ペストで死ぬ人々を見殺しにする腐敗した権力者への叛逆を描いた映画『ベネデッタ』
- トランスジェンダーへの偏見や差別に立ち向かうために読んでおきたい本:『トランスジェンダー問題: 議論は正義のために』
- 『痛快!明石家電視台』ドラァグクイーン大集合SP
- 殺伐とした世界に心を痛めるすべての人に観てほしいドラマ『THE LAST OF US』第3話
- 3人のドラァグクイーンのひと夏の旅を描いたハートフル・コメディ映画『ひみつのなっちゃん。』
- 40歳のゲイの方が養護施設で育った複雑な生い立ちの20歳の男の子を養子に迎え入れ、新しい家族としての生活を始める姿をとらえたドキュメンタリー映画『二十歳の息子』
- 貧しい家庭で妹の面倒を見る10歳のゲイの男の子が新しい世界を切り開こうともがき、成長していく様を描いた映画『揺れるとき』
- ゲイコミュニティへのリスペクトにあふれ、あらゆる意味で素晴らしい、驚異的な名作『エゴイスト』
- ドラァグクイーンの夢のようなロマンスを描いたフランス発の短編映画『パロマ』
- 文藝賞受賞、芥川賞候補の注目作――ブラックミックスのゲイたちによる復讐を描いた小説『ジャクソンひとり』
- ドラァグクイーンによる朗読劇『QUEEN's HOUSE〜あなたの知らないもうひとつの話〜TOKYO』
- 伝説のゲイ・アーティストの大回顧展『アンディ・ウォーホル・キョウト』
- 謎めいたゲイ・アーティストの素顔に迫るドキュメンタリー映画『アンディ・ウォーホル:アートのある生活』
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