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ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(3)「CAMP」展とNYCGMC
ストーンウォール50周年(WORLD PRIDE)の記念すべきニューヨーク・プライドを体験する旅。3日目(6/27木曜)は、メトロポリタン美術館の「CAMP」展と、カーネギーホールのNew York City Gay Men's Chorusのコンサートを堪能しました。
ストーンウォール50周年を記念して初めてワールド・プライド(世界的なLGBTの祭典)として開催されたニューヨーク・プライド。この機会を逃すときっと後悔する、行くなら今だ!という思いで、半年以上前から準備をして、約1週間ほどニューヨークに行って来ました。3日目(6/27水曜)は、メトロポリタン美術館の「CAMP」展や、カーネギーホールのNew York City Gay Men's Chorusのコンサートを堪能したお話です。(後藤純一)
CAMP展@メトロポリタン美術館
この日は午前中、ホテルの部屋で仕事をしてました(部屋が本当に狭くて、ベッドの上しか居場所がなく、ノートPCを膝に乗せて、でしたが、なかなかつらいものがありました)
昼過ぎに、ようやくおでかけしました。かなりお腹が空いてたので、前日ホテルにチェックインしたときに気になっていた、入口横のカフェに入ってみました。ちゃんとしたメニュー名は忘れてしまったのですが、ベーコンとチーズと野菜のサンドイッチ(結構ボリュームある)とコーヒーを注文。普通に美味しかったです(でもこれで15ドルくらい…高いです)
今年5月、レディー・ガガが四変化し、ビリー・ポーターがクレオパトラに扮し、ケイティ・ペリーがシャンデリア・ドレスで…と奇抜な衣装のオンパレードとなった「MET GALA」のニュースをご覧になった方も多いと思います。あれはメトロポリタン美術館(the MET)のコスチューム・インスティチュートの展覧会「Camp: Notes on Fashion」のオープニングイベントで、そういう意味で、テーマが「CAMP」だったのです。今年の展覧会やMET GALAがCAMPをフィーチャーしてたのは、どう考えてもストーンウォール50周年だからで、ドラァグクィーンみたいな衣装がたくさんあるに違いないと思い、観に行こうと思いました。
まず、14丁目駅で、Eラインの地下鉄に乗って五番街に行くつもりだったのですが、間違ってAだかCだか(同じホーム)の急行に乗ってしまい、気づけば125丁目とかとんでもなく遠いところまで連れて行かれ…慌てて引き返し、五番街53丁目駅で降りて、ようやく五番街に着きました。地図を見たら、MOMA(ニューヨーク近代美術館)が近い!と気づいて、先にMOMAに行ってみたのですが、なんとリニューアルで閉館中でした…。ここでさっさとメトロポリタン美術館へ移動すればよかったのですが、五番街ってステキ…と、ウットリして写真を撮ったりしてるうちに、HOLLISTERのショップを見つけてしまい、ふらふらと入って買い物してしまったのでした(当たり前のように店内にレインボーのディスプレイがあるし、バッグもレインボーでした)。この時点で結構ゴキゲンでした。
しかし、ここからメトロポリタン美術館へ行くのがひと苦労でした。スマホで行き方を確認したら、マジソンアベニューを北上するバス(M1〜M4)に乗ればよい、とのお告げが出たのですが、バス停がどこなのかよくわからず、ここかな?と思って時間を見たら、あと25分後、とか表示されてて、そんなに待てない!と思って、ちょっと歩いたら、別のバス停でお目当てのバスがすぐ来ることがわかり、無事に乗り込み、でも、道も混んでるし、まあまあ時間がかかって、ようやく到着。美術館に着いたときには、16時近くなっていました。しかし、どうでしょう。由緒あるメトロポリタン美術館の入り口に、見たこともないくらい大きなレインボーフラッグが掲げられ、CAMP展の大きな看板?ポスター?が掲示されているではありませんか。これには感動しました。
中に入るのに荷物チェックがあり、自販機でチケットを買い(ランチをセットで買うとお得、のボタンがいちばん上にあったので、何も考えずにそれを買ってしまい…後の祭りでした)、クロークに荷物を預け、まっすぐ「CAMP展」へ。正面の大階段を昇って、2階の左手奥が会場でした。
最初に、ルイ14世とかのヘンテコなファッションの絵から始まって、ヴェルサイユ時代のフランスの貴族が靴に大きなリボンをつけていたという話や、オスカー・ワイルドのファッションや、19世紀に実在した女装の方の衣装、フェラガモの『オズの魔法使い』にインスパイアされたレインボーなヒール、ゴルチェ、トム・オブ・フィンランド、そしてスーザン・ソンタグのテキストと、歴史を追って「CAMPとは何か?」ということを追究した展示になっていました。
そして最後の大きな部屋が、現代のCAMPなファッションがズラリと並ぶ2階建ての展示になっていて、それはそれは壮観でした。ほぼほぼドラァグクイーン状態のドレスやウィッグがこれでもかと勢ぞろいしていて(全部、ちゃんとしたファッションブランドなんですよ。とりわけMOSCHINOさんがめっちゃCAMPな仕事してらっしゃるんだなぁと感心しました)、圧巻でした。実に見応えがありました。
気持ち的には図録も買いたいところでしたが、この重い本を持って帰るのか…と思うと気が重く、代わりにレインボーカラーのバンダナにしました。
閉館までまだ少し時間があるので、せっかくメトロポリタン美術館に来たのだから、と、セザンヌやモネやルノワールやゴッホやゴーギャンやピカソやマチスの絵を、常設なのでさして混雑もしていない部屋で悠々と観て、スゴい、これはスゴいよ…と心の中で静かに感動していました。
そんなこんなで閉館となり、余韻に浸りながら外に出ました。
「CAMP」展は9月までやってますので、もしニューヨークに行かれる方はぜひ、お出かけください。
Camp: Notes on Fashion
会期:2019年5月9日〜9月8日
会場:メトロポリタン美術館(1000 5th Ave, New York, NY 10028)
開館時間:10:00〜17:30(金土は21:00まで)
休館日:会期中無休
料金:一般25ドル、65歳以上17ドル、学生12ドル ※メトロポリタン美術館の入館料(3日間有効)です
New York City Gay Men's Chorus@カーネギーホール
この日のメイン・イベントは、由緒あるカーネギーホールで行われるNew York City Gay Men's Chorusの、ストーンウォール50周年を記念した特別なコンサートでした。20時開演でしたので、まだ時間もあって、またバスに乗って五番街を下る感じで行ってもよかったのですが、軽くバス恐怖症みたいになってたので、グリーンのラインの地下鉄に乗ろうと思い、レキシントン・アベニューというちょっと東側の通りに行きました。すると、コンビニ(というかスーパー)はあるわ、カフェはあるわで、ゆったり過ごすのにピッタリな感じだったので、目についたカフェに入りました。ガイドブックに「NY行ったらベーグル食べなきゃ」と書いてあったのを思い出して、ベーグルとコーヒーを注文。モチモチしてて意外とお腹がふくれました。
地下鉄のグリーン・ライン(4〜6)に乗って、レキシントン・アベニュー59丁目で降りて、またMOMAの方に歩いて行って、カーネギーホールに到着しました。
このNew York City Gay Men's Chorus(略称:NYCGMC)のコンサートに行こうと思った理由は2つあって、実は、元パートナーが「ニューヨークに行くならぜひ、メトロポリタン歌劇場やカーネギーホールで行われるオペラやコンサートに行くべき」と言っていて、スケジュールを調べたのですが、メトロポリタン歌劇場はこの時期、すでに夏休みに入っていて何もナシ、で、カーネギーホールの方は、かろうじてこのコンサートがあったのです。そして、NYCGMCのコンサートは世界に数あるゲイの合唱団の中でもスゴいと、なんとなく記憶していたので(Youtubeで観たかも)、聴いてみようと思ったのでした。タイトルも「Quiet No More: A Choral Celebration of Stonewall50」という、ストーンウォール50周年を記念した特別なコンサートであることを窺わせるものでしたので、ワールドプライドの今回でなければ聴けない内容に違いない、と思いました。
友達から「カーネギーホールの音響は世界最高峰なんだよ」と聞いていて、楽しみにしていたのですが、チケット代をケチっていちばん上の5階の席を取っていたので(それでも62ドルもしました)、階段を果てしなく昇って(息切れがしました)、天井に近い、ステージをはるか下に見下ろす席で、あまり音響の良さとか感じられないかもしれない…と思いました。でも、始まってみると、LAのゲイメンズコーラスの人たちをはじめ全米から集まった500人くらいが声を張り上げる場面ではものすごい大音量で響き、逆に、囁きのようなピアニシモの音も美しく聞こえて、いいホールだなぁと実感しました。
第一部は、お楽しみコンサート的な感じで、いろんな曲を歌ってくれました。僕が知ってたのは「From Now On」(映画『グレイテスト・ショーマン』より)くらいでしたが、鳥肌が立つような迫力で、ジーンときました。数名の方が前に出てきてダンスしたりする演目もあり、楽しませてくれました。「それではゲストのLAのみなさんの登場です」みたいな感じでだんだん人が増えていって、最終的にステージが人で埋め尽くされて…壮観でした。
休憩時間に、隣の席に座ってらしたアフリカ系の老婦人が、僕に話しかけてくれました。「さっきダンスをしてたあの中の一人が私の息子なんです」「本当に?」「カリフォルニアからわざわざ観に来たんです。ニューヨークにお住まい?」「日本から来ました」「(とても驚いて)あらそう? 私は日本に友達がいるんです。○○ってご存じ?」「いえ、知らないですね(苦笑)」「そりゃそうよね(笑)。観光で?」「僕はゲイライターをしていて、ストーンウォール50周年なので、ニューヨークプライドを見に来たんです」「まあ! 素晴らしいわね」みたいな感じでお話しました。うれしかったです。
第二部は、たぶんこれが「Quiet No More: A Choral Celebration of Stonewall50」だと思うのですが、ストーンウォール暴動の出来事を、劇やダンスなども交えて表現した組曲というかミュージカルというか、壮大な1時間くらいの演奏で、圧巻でした。割れんばかりの拍手、そしてスタンディングオベーション。本当に素晴らしかったです。最後にアンコールでまた「From Now On」を歌ってくれました。あの歌声は、きっとずっと忘れないと思います。
コンサートが終わって帰るときに、隣の老婦人が「お会いできてよかったです」と握手してくれました。いい思い出です。
会場の外に出ると、団員の方とそのお友達とでごった返していて、熱気にあふれていました。
本当は、その後、「Marquee」というクラブで「One World Pride NY」のオープニングパーティがあって、チケットも買っていたのですが、(ふだん履いてた靴がすごく汚れてて、ニューヨークに行くのにこれではだめだろうと思い、新しく買った)履きなれない靴でたくさん歩いたせいで、足にマメができ(失敗した…)、ちょっとこれはマズイ、日曜のパレードを歩けなくなったらどうしようと思い、まっすぐホテルに戻ることにしました…。でもお腹が空いたので、駅の近くのレインボーフラッグがかけてあったレストランでハンバーガーを食べました(お店の人たちもお客さんもストレートだと思われるお店でしたが、まあいいです。美味しかったです)
INDEX
- 日本初!? ドラァグクイーンをフィーチャーしたホテルが大阪に誕生
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- 今年も豪華リゾートホテルで開催! Rainbow Ski Weekend in Urabandai 2020
- ゲイ旅コラム:台北2019
- 台湾の同性婚実現おめでとう! 祝福ムードの台北プライドへ
- ゲイ旅コラム:沖縄・那覇
- 私がニューヨークに行けた理由 〜1年で5万マイルを貯める方法~
- ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(8)ニューヨークの旅を振り返って
- ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(7)ホイットニー美術館、グッゲンハイム美術館、ブロードウェイミュージカル『プロム』
- ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(6)プライドマーチ
- ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(5)タイムズスクエア、サンセットクルーズ、クラブパーティ
- ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(4)the MET、Central Park、A Very Naked Musical
- ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(3)「CAMP」展とNYCGMC
- ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(2)オープニングセレモニー
- ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(1)聖地巡礼
- ゲイ旅コラム:ソウル
- ワールドプライド・ニューヨークに行きたい方へオススメのツアー
- 世界がニューヨークにやって来る ーSTONEWALL50 WORLD PRIDE NYCー
- レポート:Rainbow Ski Weekend in Urabandai 2019
- 東北にゲイスキーツアーが帰ってくる! Rainbow Ski Weekend in Urabandai
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