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LGBTQコミュニティへの愛が詰まったビヨンセのアルバム『ルネッサンス(Renaissance)』

ビヨンセがリリースしたアルバム『ルネッサンス(Renaissance)』が、LGBTQコミュニティへの愛が詰まった名作であると称えられています。MVはまだなのですが、リリックビデオがYouTubeに上がっていますので、ご紹介します。

LGBTQコミュニティへの愛が詰まったビヨンセのアルバム『ルネッサンス(Renaissance)』

 こちらのニュースでお伝えしたように、ビヨンセがリリースしたアルバム『ルネッサンス(Renaissance)』が、80年代〜90年代のゲイクラブを彷彿させるクラシックなハウスが多用され、たくさんのゲイアンセムや、クィア・アーティストの楽曲がサンプリングされ、ゲイだったビヨンセの亡き叔父・ジョニーに捧げる楽曲なども盛り込まれた、LGBTQコミュニティへの愛が詰まった名作であると称えられています。いわゆるミュージックビデオはまだリリースされていないのですが、全曲のリリックビデオがYouTubeに上がっています。ここでは、特に聴いていただきたい楽曲をピックアップしてご紹介します。

 
 まず、アルバム『RENAISSANCE』の予告編的な動画です。


 唯一リリースされている新曲「Break My Soul」は、クラシックな4つ打ちハウスビートに乗せて「あなたに私の魂は壊せない」「怒りも、心も、仕事も解き放って」「愛を解き放って。残りのことは忘れて」と歌う心地よい楽曲。ハウスミュージックを率いる黒人およびクィアコミュニティへの賛歌となっています。


 8/6にリリースされた「Break My Soul(The Queens Remix)」は、マドンナの「Vogue」の引用…と言うよりは、ほとんど「Vogue」とのマッシュアップになっていて(ビヨンセとマドンナが楽曲でコラボするのはこれが初)、オリジナルで「グレイス・ケリー、ハーロウ・ジーン…」と往年のハリウッドスターの名前を挙げていく部分で、アレサ、ダイアナ、ジャネット、ホイットニーなど偉大な黒人女性アーティストたちの名前が次々と挙げられ、そして、ハウス・オヴ・ニンジャをはじめボールルームシーン(すなわち本家のVogue)のレジェンドの名前も挙げられています。マドンナがフィーチャーしたVogue(ボールルーム)のもともとの担い手である黒人クィアたちを、アメリカのブラックカルチャーにおける女性&クィアアーティストという文脈で捉え返し(ある意味、取り戻し)、包摂し、称賛しているのだと思います。素晴らしすぎます。感動です。


 アルバムの2曲目は、ディープなアンダーグラウンド・ハウスであり、「まるで1980~90年代のゲイクラブに迷い込んだかのようで、ゲイダンサーたちがボールダンスやヴォーギングしている様子が脳裏に浮かぶ」と評されている「Cosy」。その「あなたは神、あなたはヒーロー」「あなたはすべてを乗り越えてきた」という歌詞は、まるでクイーンの「We are the champions」のよう。「街にはレインボーのジェラート」というフレーズもあります。


 「ALIEN SUPERSTAR」はDanube Danceのゲイアンセム「Unique」のフレーズがフィーチャーされ、ビヨンセが「あなたはユニークな存在よ」と励ましの言葉を送っています。「ユニコーンはあなたの制服。あなたが踊ると目が釘付け」「カテゴリーはセクシー・ビッチ」といったリリックもクィアコミュニティへの愛が感じられます。ライト・セッド・フレッドの大ヒット曲「I’m Too Sexy」も引用されています。


 「Heated」は、ゲイだったビヨンセの亡き叔父、ジョニーに捧げる楽曲です。曲は後半、ビヨンセによるボールルームのチャントに変わりますが、その最後がジョニーおじさんのことをリアルに綴ったリリックになっていて…涙を誘います。


 「PURE/HONEY」は、Moi Renee「Miss Honey」やケヴィン・アヴィアンス「Cunty」といったゲイクラブのアンセムがサンプリングされたアンダーグラウンド・ハウスです。


「SUMMER RENAISSANCE」もクラシックな4つ打ちハウスで、永遠のゲイアンセム、ドナ・サマーの「I Feel Love」をフィーチャー。ビヨンセがあの「Oooh, It's so good, It's so good, It's so good」というフレーズを艶めかしく歌い上げるところは鳥肌モノで、ゲイクラブカルチャーへのオマージュが感じられます。


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