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ゲイ用語の基礎知識
LGBTQツーリズム
ツーリズムとは一般に観光業、旅行業、または観光旅行といった意味で使われる言葉ですが、LGBTQツーリズムは単にLGBTQ向けにツアーや旅行商品を売ったりすることではなく、LGBTQ旅行客が利用する飛行機、行き先の観光地、泊まるホテルなどで差別されたり侮辱されたりせず、安心して気持ちよく過ごしていただるようにするための施策が基本になります。
これは2010年代半ばですが、海外から京都を訪れたゲイカップルが、ホテルでおすすめされた市内のアメリカンスタイルのバーに行って、恋人どうしで(腰に手を回したりしながら)踊っていたら、そのバーのマスターに止められたということがあったそうです。
世界的に温泉地として有名な別府のおみやげ屋さんに、おそらくお客さんを楽しませようとする意図で、ひげを青く塗った“オネエ”のイラストを描いたポップが置かれていたこともありました。
地方ではあからさまにゲイカップルを断るホテルもあると聞きます。
男性二人がダブルのお部屋を予約すると、「間違いじゃないですか?」と聞かれたり、勝手にツインに変えられたりということも、以前はよくありました。
これらは、海外からの旅行客だけでなく、日本の僕らにとっても不快で、差別的だと感じる事例です。
せっかく素晴らしい観光資源を持っているのに、LGBTQに理解がない、差別的な国だと認識され、来る人が減ってしまうのはもったいないし、少しでもホテルや観光地がLGBTQフレンドリーになり、LGBTQのお客さんが気持ちよく旅行できるような接客・応対ができるように変わっていくといいですよね、という話なのです。
そうしてOUT JAPAN(株式会社アウト・ジャパン)が2015年頃から企業・団体へのLGBTQツーリズム研修を行なったり、大阪観光局へのコンサルティングを行なったりして、また、ちょうどその頃、渋谷区の同性パートナーシップ証明制度導入をきっかけに、世の中が急速にLGBTQ支援の方向に変わり、理解が進んでいったこともあり、日本のLGBTQツーリズムが本格的に動きはじめました。
東京や大阪のプライドイベントにLGBTQツーリズム関連のブースが出展されたり、沖縄ではパームロイヤルやカフーリゾートなどのLGBTQフレンドリーホテルの方がピンクドット沖縄の運営に携わるようになったり、裏磐梯でレインボースキーツアーが開催されるようになったり。IGLTAに加盟するLGBTQフレンドリーホテルも各地に増えていきました。
特に大阪観光局は、市内の観光事業者に呼びかけ、LGBTQ研修を実施したり、プライド月間のキャンペーンに参加してもらったりということを何年も続け、LGBTQ旅行客が安心して楽しめる街づくりを意識的に行ない、W大阪やアロフト大阪堂島などの高級ホテルも次々にこの輪に加わるようになりました。そうして大阪は、アジア初のIGLTA総会の開催を実現しました。
一朝一夕には変わらないでしょうが、LGBTQツーリズムを推進することで、観光事業者の意識が変わり、差別的な言動をとらないようになり、ウエルカムな雰囲気が醸成されていきます。海外ではプライド月間に空港や街中のホテルやレストランなどがレインボーフラッグを掲げ、LGBTQ旅行客を歓迎するのがふつうになっていますが(NYも、メルボルンも、バンコクも)、大阪も今回、IGLTA総会に合わせて関西国際空港、南海電鉄、高島屋、なんばの商店街などにレインボーフラッグが掲げられることになっています。それはLGBTQツーリズムの取組みの成果なのです。
文:後藤純一
2024.9.21
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