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同性婚実現後初! 約20万人で盛り上がった台湾同志遊行(Taipe LGBT Pride) 

2019年10月26日、同性婚実現以降初となる台湾同志遊行(Taipe LGBT Pride)が台北で盛大に開催され、全世界から集まった約20万人もの方たちが楽しく行進しました。

レポート:台湾同志遊行(Taipe LGBT Pride)2019

こちらのニュースでもお伝えしましたが、2019年10月26日、同性婚実現以降初となる台湾同志遊行(Taipe LGBT Pride)が台北で開催され、同性婚実現おめでとう!という気持ちで全世界から約20万人もの方たちが駆けつけ、市役所前広場から忠孝東路(目抜き通り)、総統府前まで行進しました。晴れやかで、自由で、楽しかったパレードの様子をレポートします。(後藤純一)

 
 台湾では今年5月、アジアで初めて同性婚が実現し、歴史的な年となりました(9月末までに2155組の同性カップルが結婚したそうです)。しかし、養子縁組についてはカップルのどちらかに血縁関係がある子どもに限る(双方の親戚と親族関係が生じない)、台湾人どうしまたは台湾人と母国で同性婚が認められている国の人の同性婚でなければ国際結婚が認められないなど、異性婚と平等ではない部分が残り、課題となっていました。今回のパレードでは「愛に国境はない」と声を上げる方たちの姿もありました。
 それと同時に、ストーンウォール50周年のニューヨークがそうであったように「おめでとう」という祝福の雰囲気で、パレードもいつもとは違う特別なコースで行進し(いつもよりずっと長くて、19時くらいまでかかりました)、出発地の台北市政府前広場では「レインボーマーケット」も開催されていましたし、アジア系だけじゃない、いろんな国の人たち(それこそニューヨークから来られてる方なども)が台北に集まり、過去最高となる約20万人もの方たちが晴れやかでお祭り感のあるパレードを楽しみました。
 僕は大雨の影響でフライトが3時間遅れたため、取材できなかったのですが、25日(金)夜、初めて「台灣跨性別遊行(Taiwan Trans March)」も開催されました。これも新しい動きでした。同性婚が実現した、次はトランスジェンダー支援だ、というのはアメリカなどと同じ流れですよね。





 さて、それでは、10月26日(土)のパレードの様子をレポートします。
 日本で見た直前の天気予報は雨だったのに、この日は本当に暑くて、日焼け止め持って来ればよかった…と後悔するくらいでした。
 西門からMRT(メトロ)に乗ったのですが、今年はパレードは西門を通らないのに、フロートの準備をしている方たちなどもいて、例年通りカラフルでにぎやかでした。MRTもパレードに行くんだなぁとわかるレインボーを身につけた人がたくさんいました。市政府前駅に着くと、さらに大勢のパレード参加者だらけで、そこから会場までは、お揃いの格好をしてたり、手をつないで歩いてるカップルもいたりして、素敵でした。
 台北のランドマークである超高層ビル「台北101」が見えてきて、それから台北市役所の大きな建物が見えてきて、その市役所の向かいの広場が、今年のパレード会場でした。市役所の向かいの目立つところに東京レインボープライド(TRP)フロートの車があって、「公式Tシャツをみんなで手分けして運ぼう」ボランティアに参加していたので、東京から持ってきたTシャツをお渡ししました(今回の公式Tシャツには「台灣平權 日本跟進」というメッセージが書かれていました。台湾で達成された婚姻の平等、日本もフォローしますという意味でした)
 それから、出発まで会場を見て回ろうと思って、「レインボーマーケット」のブースが並んでる方に行ってみると、TRP以上の大混雑で、ブースもよく見えないし、身動きとれないしで、大変でした。そんな中でも頑張って見た中では、LGBTの方たちがレインボーのアクセサリーやポストカード、Tシャツなどを売っているグッズ系のブースと、アンダーウェア系のブースが目立っていました。プラス、M・A・Cなどの一般企業も工夫を凝らした(お金のかかった)ブースを出していて、だんだん東京に似てきたなぁと感じました。







 広場では、出発前の集会が開催されていて(集会の冒頭で司会の方が日本語で「台湾では今年、同性婚が認められました。日本のみなさんも、勇気を持っていきましょう! 頑張るよ〜」とエールを送ってくれていて、胸熱…。こちらに動画が上がっています)、また、会場の一角で、同性カップルとこどもたちが遊んだりしている「レインボーファミリーフェスティバル」をやっていたり(さすがは同性婚が認められた台湾。進んでますね)。また、市役所の前になぜか太めの方がものすごくたくさん集まっていたり、その辺でセーラームーンとかのコスプレをしたゲイの集団が突然ファッションショーを始めたり、自由でいいなぁと思いました。パンイチとかレザーの方とか、ふつうにたくさんいました。







 そうこうしているうちに、パレード出発の時間になり…「あれ、でもTRPフロートとか全然動く気配ないし…」と思っていたら、実は広場の反対側の方から出発していることに気づき、慌てて走りました。で、偶然、日本から毎年参加しているレザー兄貴たちの集団に遭遇して、しばらく一緒に歩いたり。パレードの一行は、広場から出発して北側に歩き、市内の目抜き通りの一つ、忠孝東路で左に曲がるということがわかったので、ちょっと早足で忠孝東路の交差点を渡り、フロートが忠孝東路に入る地点で待ち構えて写真を撮ることにしました。
 韓国の方たちや、香港の方たち、ピカチュウのコスプレの集団、おしゃれ和装の集団、女装の方など、いろんな方が参加していました。とにかく人が多くて、一斉に人の波がわーっと押し寄せてくる感じで、圧倒されました。フロートは、GAPなどの企業だったり、9モンやいくつかのゲイカンパニーが合同で出してたり、いろいろでしたが、今回、赤、オレンジ、黄色…という大きなブロックの中の、青(藍色)の先頭がTRPフロートということで(もう7年も出しているので、感謝の気持ちで、ということもあるし、同性婚、次は日本でぜひ、という応援の気持ちもあったと思います)、待っていました。1時間後くらいに、TRPフロートがやってきました。ドラァグクイーンの牛子さんとインガ・ペルセフォネーさんが乗り、DJさんがクラブミュージックで盛り上げ、お揃いのTシャツを着た方たちや、6色のレインボーカラーの羽織袴姿の方たちなど、いろんな方が参加し、東京をアピールしていました。しばらくTRPフロートで歩き、東京から来たたくさんの人たちと挨拶したり(レインボーアクセサリーでおなじみのレズビアンカップルは、同性婚実現を祝うために、愛猫をキャットシッターに預けて駆けつけた、一緒に旅行したのは十数年ぶりよ!と言ってました)、一緒にパレードを楽しみました。そのあと、TRPフロートを見送り、いちばん最後のフロートまで見届けて、凱達格蘭大道(総統府前広場)へと向かいました。























 
 パレード帰着地点の凱達格蘭大道(総統府前広場)は、いつものようにアフターの集会が開催されていて、ブースも少し出ていました。
 帰着するパレードの一行を出迎えつつ、写真を撮っていると、日が暮れてきました。次の予定があって18時過ぎには離れてしまったのですが、最後の方たちが到着したのは19時過ぎだったようです。ニューヨークほどではないですが、いつにも増して長い長いパレードになったようです。
 日本から来てるのはSNSで見てわかってるのにパレードで一度も会えなかったという友人・知人もたくさんいたくらい(僕がどうやら先頭の方のフロートを見逃していたらしいということもあるし、歩く人たちの人波の幅がすごくて見えなかったということも…)、本当にたくさんの人が歩いてました。










 
 シドニーのマルディグラ、バルセロナプライド、ニューヨークプライドなど、いろんなパレードを見てきましたが、台北は(ド派手なフロートはそんなに多くないものの)やっぱり、自由で、笑顔が多くて、みんな楽しそうでいいなぁと思いました。好きな格好で歩けるし、登録とかしなくても入ったり出たりできるし、疲れたら途中で離脱して休んだり、MRTに乗っちゃったりしてもいいし。
 忠孝東路に合流する地点で、警察官の方々に混じって一生懸命交通整理をやっていたボランティアスタッフの男の子が、なぜかパンイチだったのですが、そこにこだわりというか強い意志というかプライドのようなものを感じて、勝手に感動してました。
 あと、ラグビーの日本チームのシャツを着てる方がちらほらいたのが今年らしいなぁと思いました。中には、野球のユニフォームを着たパピー(犬のマスク)の方とコラボして写真撮影してる方もいて、素敵でした。マレフィセントとかジョーカーのコスプレも目立ちました(旬のネタですね)
 それから、よく巨大なレインボーフラッグを大勢で持って歩いている、あれのトランスジェンダー、パンセクシュアル、アセクシュアル、インターセックスのバージョンの大きなフラッグがあったのは、ちょっと感動しました。たぶん世界的に見ても珍しいのではないかと思います。
 
 個人的には、市政府の建物(市役所)や台北101を望むロケーションが素敵だったのと(市役所のトイレを利用できるのも便利でした)、みんな同じルートを歩くので写真が撮りやすくてよかったです。いろいろ大変なのかもしれませんが、来年以降もこのルートだといいなぁと思いました。
 
 
★台湾同志遊行(Taipe LGBT Pride)2019のフォトアルバムはこちら

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