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特集:2020年春のオススメ映画

今年も様々なゲイ映画やゲイ的にぜひ観ておきたい作品がいろいろ公開されそうです。まずは初春〜4月頃までに公開予定の作品をご紹介します。

特集:2020年春のオススメ映画

2020年も、日本映画としてはとてもひさしぶりに名作ゲイ映画と呼べそうな作品『his』がもうすぐ公開されるほか、ベトナム版『覇王別姫/さらば、わが愛』的な趣の『ソン・ランの響き』、厳密にはゲイ映画ではないものの(『シカゴ』や『ドリームガールズ』と同じような意味で)おすすめしたいゴールデングローブ受賞作品&アカデミー賞大本命とも目される『ジュディ 虹の彼方に』などが続々と公開予定です。今年も名作映画を楽しみましょう!というわけで、公開日付順にご紹介していきます。情報が入り次第、随時、追加していきます。



1月10日(金)〜
ダウントン・アビー

 英国の大邸宅に暮らす貴族・クローリー家と使用人たちの生活を描き、ゴールデングローブ賞、エミー賞などに輝いた英国の人気ドラマ『ダウントン・アビー』(2010〜2015)。NHKでも放送されたので、ご覧になっていた方もいらっしゃるかと思います。そのドラマ版の最終回から2年後の出来事を描く映画版『ダウントン・アビー』(2019)が、公開中です。昨年9月に全米で公開された際は初登場1位を記録するほど人気を博しました。この『ダウントン・アビー』には、執事になるバローというゲイの人物が登場します。腹黒くていろんな悪事をはたらいたりするのですが、(19世紀〜20世紀初頭のゲイとして生きることが困難だった時代ですので)ゲイであることに悩み続け、視聴者の共感を呼んできました。映画版では、その辺りについて、少し希望の光が見えるような展開があるとのことで、ひとつの注目ポイントと言えそうです。
<あらすじ>
1927年、英国貴族グランサム伯爵一家が暮らす邸宅「ダウントン・アビー」をロイヤルファミリーが訪問するとの報せが届く。一家も使用人たちも歓喜に沸く一方、壮大なパレードや豪勢な晩餐会の準備に人々は大わらわ。長女メアリーは難事を前に、引退していた元執事カーソンに助けを求める。しかし事前に下見に来た王室の従者たちは、国王夫妻の世話、料理、給仕をすべて自分たちで行うと告げ、ダウントン・アビーの使用人と対立。さらに一族の間でも新たな波乱が勃発する──。

ダウントン・アビー
原題:Downton Abbey
2019年/英米合作/監督:マイケル・エングラー/出演:ヒュー・ボネヴィル、ジム・カーター、ミシェル・ドッカリー、エリザベス・マクガヴァン、マギー・スミス、イメルダ・スタウントン、ペネロープ・ウィルトンほか/1月10日より全国でロードショー公開中




1月13日(月祝)上映
タンズ・アンタイド

 37歳で逝去した(エイズで亡くなった)ゲイの映像作家、マーロン・リグスが1989年に発表したドキュメンタリー。公開から30周年を記念して昨年全米で上映されました。劇中では詩人のエセックス・ヘンプヒルの詩やヴォーギングやラップのようなパフォーマンスを交え、アメリカで黒人のゲイとして生きる人々の複雑な経験を映し出します(『タンズ・アンタイド』とは「話しはじめた口」という意味です)。差別や憎悪に晒され続け、さらに降りかかるエイズ危機にも屈せず生きる彼らの苦悩。その只中で生み出されてきたユーモアや遊びの表現。張り詰めた緊張感をもって沈黙を破る彼らの声を、映画は実験的なドキュメンタリー/エッセイのスタイルで革命的に響かせます。『ムーンライト』の革新性を語るi-D USのレビューのなかで、この作品は黒人ゲイのアイデンティティを深く探った重要な先行作品として言及されています(「黒人ゲイ男性たちを写した実験ドキュメンタリー『タンズ・アンタイド』は何が革新的だったのか?」)。今回、この伝説的作品の日本での特別上映を、ノーマルスクリーンが実現してくれました。

タンズ・アンタイド
原題:Tongues Untied
1989年/アメリカ/監督:マーロン・リグス/出演:マーロン・リグス、マイケル・ベル、ケリガン・ブラックほか
1月13日(月祝)14:30〜、日比谷図書文化館日比谷コンベンションホールにて上映
料金:2,000円(資料込み)、22歳以下1,500円(資料込み)




1月18日(土)〜3月1日(日)
特別上映 ダムタイプ

 日本を代表するメディア・アーティスト・グループ「ダムタイプ」の大規模な個展「ダムタイプ|アクション+リフレクション」※が開催されているのに合わせて、そのパフォーマンス作品の記録映像がNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)で上映されます。初期の《Pleasure Life》から《pH》《S/N》《OR》《memorandum》、そして《Voyage》まで網羅されているのですが、特にご覧いただきたいのが《S/N》です。ゲイであること、HIV+であることを前面に打ち出したゆるいトークと、爆音のノイズや閃光が炸裂するハイパーメディアパフォーマンス、ドラァグクイーンのショー、そしてあまりにも人間的な、美しすぎるラストシーン。この《S/N》のワールドツアーの最中に、古橋悌二氏はエイズで亡くなっています。諸事情によりDVDなどの発売はなされない《S/N》にふれることができる貴重な機会です。Peatixによる事前予約制で、各回とも若干数、当日券も出るそうです。この機会にぜひ、ご覧ください。

※古橋悌二氏の遺作である《LOVERS》は1月19日までの展示となります。以降は新作インスタレーションを展示予定です。

特別上映 ダムタイプ
開催期間:2020年1月18日(土)─3月1日(日)(スケジュールの詳細はこちら
会場:ICC 4階 シアター
定員:27名(Peatixによる事前予約制。予約はこちら
入場無料
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
協力:ダムタイプオフィス

上映作品
《036-Pleasure Life》(1987/初演:1986),81分
《Pleasure Life》(1988/初演:1988),59分
《pH》(1992/初演:1990),66分
《S/N》(2005/初演:1994),86分
《OR》(1998/初演:1997),68分
《memorandum》(2000/初演:1999),75分
《Voyage》(2004/初演:2002),69分





1月24日(金)〜
his

 「宮沢氷魚さんが初主演! 来年公開のゲイ映画『his』」でもお伝えしたように、もともと昨年4月にメ~テレ(名古屋テレビ放送)が制作したTVドラマ作品『his』が宮沢氷魚さん主演で映画化されました。周囲の理解を得るために、同性カップルが奔走する姿を描くヒューマンドラマで、宮沢氷魚さんは「寡黙な青年の佇まいのなかに、元恋人との再会に揺れる想いや、その幼い娘と地域の人たちとの間に築かれる絆の温かさをも映し出して秀逸」と評されています(「ゲイを隠すも元カレが娘と現れ…宮沢氷魚主演作などおすすめ“映画”4選」)
<あらすじ>
春休みに江の島を訪れた男子高校生・井川迅と、湘南で高校に通う日比野渚。2人の間に芽生えた友情は、やがて愛へと発展し、お互いの気持ちを確かめ合っていく。しかし、迅の大学卒業を控えた頃、渚は「一緒にいても将来が見えない」と突如別れを告げる。出会いから13年後、迅は周囲にゲイだと知られることを恐れ、ひっそりと一人で田舎暮らしを送っていた。ある日、6歳の娘・空(そら)を連れた渚が迅の前に現れる。「しばらくの間、居候させてほしい」と言う渚に戸惑いを隠せない迅だったが、いつしか空も懐き、周囲の人々も3人を受け入れていく。そんな中、渚は妻と娘の親権を争っていることを伝え、「結婚して、子どもも生まれて、この生活を大事にしていこうって誓ったんだ。でも、無理だった。俺、迅がいないと生きていけない」と抑えきれない想いを迅に打ち明け…。 

his
2020年/日本/監督:今泉力哉/出演:宮沢氷魚、藤原季節、松本若菜ほか
1月24日(金)、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー公開




2月22日(土)〜
ソン・ランの響き

 ベトナムから『覇王別姫/さらば、わが愛』的な趣の「ボーイ・ミーツ・ボーイ」映画がやってきます。『覇王別姫』における京劇のように、この作品ではカイルオンというベトナム南部の伝統歌舞劇がフィーチャーされていて、この歌舞劇で女形をしているリンと、借金の取り立てをしているものの実は生家が歌舞劇団を運営していたというズンが、運命的な出会いを果たし、惹かれ合っていくという作品です。昨年東京国際映画祭でジャパンプレミア上映され、若手俳優2人の魅力に圧倒された方も多いようです。期待大です。
<あらすじ>
1980年代のサイゴン(現・ホーチミン市)。借金の取り立てをしているズンはその強引さで恐れられていたが、取り立てに入ったカイルオン(ベトナム南部の大衆歌舞劇)の貧しい劇団で、主演俳優のリン・フンと出会う。反目し衝突するふたり。しかし、実はズンはかつて同様の歌舞劇団を運営していた家の生まれでその道を志したこともあり、リン・フンと接するうちにその記憶がよみがえってくる。やがてふたりの間に友情が芽ばえるが、予期せぬ出来事が迫っていた…。

ソン・ランの響き
原題:The Tap Box[Song Lang]
2018年/ベトナム/監督:レオン・レ/出演:リエン・ビン・ファット、アイザック、スアン・ヒエップほか
新宿K's cinemaほか全国順次公開





3月6日(土)〜
ジュディ 虹の彼方に

 ジュディ・ガーランドといえば、『オズの魔法使』で知られるハリウッド黄金期のミュージカル女優であり、1969年6月、47歳の若さで急逝するや、「ジュディの死を悼んでるこんな日に!」とガサ入れに来た警察官にキレてストーンウォール暴動が始まったと長い間まことしやかに語られるほどのゲイアイコンであったわけですが(そういう意味で、世界中のパレードで『オズの魔法使』の劇中歌である『虹の彼方に』が歌われてきたのです)、ジュディ自身もバイセクシュアルであったことはあまり知られていないかもしれません。この映画は、ジュディが亡くなる半年前の1968年冬に行われたロンドン公演の日々を鮮烈に描いた伝記ドラマです。『シカゴ』『ブリジット・ジョーンズの日記』のレニー・ゼルウィガーが、ジュディの奔放な、愛すべき姿と、その圧倒的なカリスマ性で人々を惹きつける姿を見事に演じきり、見事、ゴールデングローブ主演女優賞に輝き、オスカーも本命視されています。
<あらすじ>
1968年。かつてミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨したジュディは、度重なる遅刻や無断欠勤によって映画出演のオファーが途絶え、巡業ショーで生計を立てる日々を送っていた。住む家もなく借金も膨らむばかりの彼女は、幼い娘や息子との幸せな生活のため、起死回生をかけてロンドン公演へと旅立つ…。

ジュディ 虹の彼方に
原題:Judy
2018年/イギリス/監督:ルパート・グールド/出演:レニー・ゼルウィガーほか
2020年3月6日(土)全国公開

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