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レポート:ピンクドット沖縄2020(オンライン)
11月28日(土)、ピンクドット沖縄が初めてオンライン開催。多彩なゲストが登場しつつ、「沖縄のLGBTQ制度 いまとこれから」について議論する有意義な場ともなりました。

11月28日(土)15:00〜18:00、ピンクドット沖縄2020が「沖縄のLGBTQ制度 いまとこれから」をテーマにオンラインで開催されました。石嶺聡子さん、高良結香さんのスペシャルライブのほか、ブルボンヌさん、ドリアン・ロロブリジーダさんのメッセージ、LGBTQへの理解を広げる団体を紹介するコーナー、「結婚の自由をすべての人に」のレポートなどのほか、メインイベントとして自治体のLGBTQ政策提言に取り組む方々のパネルディスカッションが行なわれ、人権をより広く認める社会の実現を訴えました。
昨年のピンクドット沖縄は、JALの「LGBTチャーター便」も運航され、3000人超が参加して盛り上がりを見せましたが、今年は新型コロナウイルス感染予防のため、北中城村(きたなかぐすくそん。沖縄市、北谷町、宜野湾市などに隣接する村です)のイオンモール沖縄ライカム内のスタジオキタナカで初のオンライン開催となりました。
今年もアナウンサーの狩俣倫太郎さんが司会をつとめ、主催の高倉直久さんが同席し、ゲストを迎えながらトークを繰り広げるかたちで進行しました。
最初に、今年はコロナ禍の影響で、他のプライドイベントと同様、開催するのかどうかギリギリまで悩み、オンライン開催を決めたというお話が語られました。高倉さんは「Webなど新しい発信の仕方もある。活動を継続し、誰もが生きやすい社会を目指したい」と語りました。
それから、後援している沖縄県の玉城デニー知事からの「ピンクドット沖縄の、性の多様性に関する理解促進において先導する活動に敬意を表します。県としては、調査や職員研修を実施し、当事者が尊厳をもってあつかわれる共生社会へ向けて「性の多様性宣言」への取組みを行なってまいります」とのメッセージが読み上げられました。
続いて、レインボーハートプロジェクトokinawaの竹内清文さんからのメッセージ、そして、ピンクドットの実行委員会から誕生したという団体「てぃーだあみ」の方たちからのメッセージが届けられました。
それから、いつも司会を務めていたブルボンヌさんが、ボード+声のメッセージで出演しました。
スタジオに、ゲストとして(二丁目のクラブでも何度かワンマンライブを開催し、レインボー祭りに出演したこともあるアライの)石嶺聡子さんが来られ、代表曲「花(すべての人の心に花を)」など素晴らしい歌を何曲も披露し、感動を誘いました。
パネルディスカッション「政策決定の場におけるLGBTQ」では、ピンクドット沖縄・名誉顧問の砂川秀樹さんと琉球大法科大学院の矢野恵美教授、南定四郎さんが登壇し、沖縄での行政の取組みや、議会の実情などについて、かなり突っ込んだ議論が交わされました。
まず、先日玉城知事から発表された「性の多様性宣言(仮称)」について、ピンクドット沖縄や矢野先生も検討員会に入っていて、まず、議会承認が要らない宣言を出してほしいと要望したことなどが明かされました。沖縄県では国勢調査の沖縄バージョン的な調査が行われていますが、そこに性の多様性についての項目があり、県民の76%がLGBTQに寛容であるという結果が出ているそうです。課題解決として、大半の方が学校教育での啓発を挙げている、若い方だけでなく30代以上も寛容になっているというお話もありました。
それから、浦添市で性の多様性についての条例の制定の話が進んでいたにもかかわらず頓挫した件について矢野先生が「琉球大学法科大学院は那覇市と浦添市と、性の多様性に特化した連携協定を結んでいたので、浦添市の条例案を作りまして、昨年2月に提出しました。そのあと、男女参画委員会で話し合われ、昨年10月パブコメが募集され、前向きなコメントがほとんどで、無事に議会で承認されるかと思っていたのですが、年末に反対意見がたくさんあり、今年2月に市長が議会提出を見送りました」と語りました。砂川さんが補足して「反対意見は、市民団体からの5500人の反対署名でした。沖縄の中で、ある種の揺り戻しの動きが強くなってるのは、懸念が必要。反対の中心は、ある新興宗教団体です。反対の声が上がった時にどう動くかが大切だと思います」と語りました。また、南さんは「議会は、議会内の駆け引きがあって、制度設計が難しい場合があります。性の多様性について議員自身を教育していくことが必要なのではないか」と語りました。また、宜野湾市議会で性の多様性への理解を盛り込んだ条例案が否決された件にも触れられました。狩俣さんが「なかには理解不足というより、信念をもって反対している方もいて、そういう方を変えるのはなかなか難しい」と指摘、高倉さんが「県が宣言を出し、企業がLGBTQを支援し、県全体としてムーブメントになっていくと、議員さんも無下にはできないのではないか」「沖縄県も腰が重かったが、ある県議が、支持者の票を失うかもしれないがそれでも構わないという強い決意で、県議会でLGBTQのことを質問し、やっと県も動き始めた。観光コンベンションビューローの元専務が部長をつとめる文化観光スポーツ部に掛け合って企業向けのマナーセミナーもやることになった。一人の議員の力で動くこともあるんです」と語りました。締めとして、矢野先生は「性の多様性は人権。子どもの命に関わること。多数決で決められるのはおかしい。あきらめずに、負けずにやらないといけない」と、高倉さんは「負けないように強くならないといけない。多方面からアライを集めて、いい意味での影響力を持っていきたい」と語りました。
それから、那覇市の城間市長からのメッセージ、浦添市の松本市長からのメッセージ、沖縄観光コンベンションビューローからのメッセージ、そして、ドリアン・ロロブリジーダさんからのビデオ通話(イベント中にピンクに着替えて出演してくれました)、「結婚の自由をすべての人に」の寺原真希子共同代表からのレポート、最後に、高良結香さんの素晴らしいライブが届けられ、ピンクドット沖縄2020は幕を閉じました。
ピンクドット沖縄は今年で8回目を数えましたが(今年から一般社団法人にもなりました)、今やプライドイベントという枠を超えて、企業への啓発・アライ化も推進し(今年も、ブース出展などできないにもかかわらず多数の企業が協賛しました)、有識者として県のLGBTQ施策への提言も行ない、高いレベルで(声を上げづらい当事者に代わって)沖縄のLGBTQムーブメントを牽引する主体として活躍しているということがよくわかり、感銘を受けました(どうしてそこまで応援してくれるの…と思うほどの本気さです。これが真のアライというものでしょう)
YouTubeで配信されていますので、お時間あるときにぜひご覧ください。
ピンクドット沖縄2020
https://www.youtube.com/watch?v=6ffKk8-R_8w
参考記事:
「性の多様性宣言」全県で実現を ピンクドット沖縄、オンラインで討論(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1233055.html
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