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LGBT平等法の早期実現を求め、第5回レインボー国会が開催されました

1日も早くLGBT平等法が整備されることを求めて4月27日、「EqualityActJapan」が第5回レインボー国会を開催しました。

LGBT平等法の早期実現を求め、第5回レインボー国会が開催されました

 「EqualityActJapan - #日本にもLGBT平等法を」が4月27日、1日も早くLGBT平等法が整備されるよう求め、国会内外をつなぐ取組みとして「もう待てません!今国会で超党派のLGBT・SOGI法制定を! ~理解を進め、差別をなくし、平等な社会の実現へ~」と題した院内集会(第5回レインボー国会)を参議院議員会館で開催しました。ロバート・キャンベルさんの素晴らしいスピーチ、オープンリー・ゲイのキニー・クリストファーさん(平昌五輪ボブスレー米国代表)が日本で受けたゲイバッシングのこと、一橋大学アウティング事件のご遺族の方の涙ながらの訴え、ビリー・ジーン・キングさんのメッセージなど、数々の感動的な場面が展開される、本当に熱いイベントとなりました。レポートをお届けします。(後藤純一)


 司会は、LGBT法連合会の五十嵐ゆりさんと、「なくそう!SOGIハラ」実行委員会の松中権さんでした。

 初めに、開会のごあいさつ。
◎林夏生さん(LGBT法連合会代表理事)
「以前は声なき声に近いものがあったが、近年の変化により、多様な声が社会の様々な場所に届きはじめました。自治体の取組みも、目を瞠るものがあります。一部、トランスジェンダーへのバッシングもあったり、法律との兼ね合いを気にする自治体もあったり。だからこそ法整備が必要です。誰も取り残さない社会を。心よりお願い申し上げます」
◎ミンキー・ウォーデンさん(ヒューマン・ライツ・ウォッチ グローバル構想部長)
「世界で人権侵害を監視しており、IOCとも協力し、社会変革、改革の力となるよう取り組んでいます。平等法は世界が注目しています。人々を保護する、スポーツ界の絶対的な基準です。与党のみなさま、インクルージョンがいかに重要かということを認知し、日本が世界に示すことを応援してください」
◎ハドソン・テイラーさん(アスリート・アライ設立者兼エグゼクティブディレクター)
「全てのLGBTQアスリートがインクルーシブに。今、日本に注目が集まっています。日本のLGBTQが差別されることがなくなるようにする最適なタイミングです。今こそ平等法を」
◎マット・ビアードさん(オール・アウト エグゼクティブディレクター)
「自由、安全、尊厳。ソチ五輪のとき、署名を提出し、IOCが初めて性的指向による差別の禁止を認めました。ホスト国はLGBTQを差別してはいけないということになりました。平等法制定のまたとない機会です。お集まりの議員のみなさんに感謝です。世界は日本を見ています」

 続いて、有識者コメントとして、お二方からコメントがありました。
◎平森大規さん(ワシントン大学 大学院社会学研究科博士候補生)
「『SOGIに基づく差別禁止法に対する態度』性的マイノリティについての意識:2019年の全国調査」という調査の結果を報告してくださいました。標本抽出法(くじ引き)によって、日本全体の縮図となるよう設計された調査です。差別禁止法に対して、全体の87.7%が賛成またはやや賛成と回答したそうです。「SOGIに基づく差別をなくすには、実効性のある法律の整備が重要です」
◎三成美保さん(奈良女子大学教授)
 日本学術会議が2017年2020年、LGBTQに関して二度の提言を行なってきましたが、三成先生はその責任者の方です。
 2017年のときは、当事者の困り事が多い婚姻、教育、労働という3つの分野を中心に、理解増進だけでは差別はなくならない(再生産することにもつながる)、理解増進+差別禁止で権利が保障される、と提言しました。LGBT議連やLGBT法連合会とも話し合いながらまとめたそうです。
 2020年のときは、トランスジェンダーの尊厳を保障するために、現行の特例法に変えて、人権モデルの新たな法律の制定を求める提言を出しました。
 
 国会議員の方々からのメッセージも随時、届けられました。

 それから、リレートークが行なわれました。どの方のお言葉も、胸を打つような、感動的なものでした。
◎ロバート・キャンベルさん(早稲田大学特命教授)
「理解増進法では、現実に差別を受けている人を助けることにならない、焦点がずれていると思います」
「社会を寛容にするということはどういうことなのか。寛容という言葉には『目の前の人に過失があっても咎めだてをせず、その人を許す』という意味がありますが、性的マイノリティであることは別に過失ではありません。当たり前に迷惑をかけずに過ごしています。この法案は出発点からずれていると思います。不当な差別を受けている人をどう救うのか、見えてきません」
「LGBTQの人々が生涯にわたって力を発揮できるよう、真に豊かな社会にするためには、差別禁止法、婚姻平等法の制定が必要です。1日も早く実現してください」
◎一橋大学の遺族のお二人
妹さん:「アウティングは人格権、プライバシー権を侵害するものです。裁判から5年が経って、社会は変わりました。しかし、性的マイノリティが差別されている状況は続いています。法曹を目指した兄が「法の下」で被害を受けたこと、誰かの大切な人、尊い命がなくなったこと。実効性のある法で命を守る仕組みづくりを行なってください。安心して学べる、働ける、生きられる社会を見たいです」
お母さん:「今年、七回忌を迎えました。悲しみが癒えることは決してありません。マイノリティ側から声を上げないと社会が変わらないのは悲しいことです。息子は命を賭けたんです。私たちは遺志を継いで、裁判を起こし、一石を投じました。それは無駄ではなかったと痛感しています。こうして皆様とお会いできる機会に感謝しています。お力添えいただけるようよろしくお願いします」
◎野宮亜紀さん(LGBT法連合会顧問)
「性同一性障害特例法のロビー活動に携わってきました。戸籍上の性別変更ができるようになった一方で、現在は、諸外国との開きができています。厳しい条件がまだ課されており、性別変更できない方も多いです。私自身も性別適合手術を受けていないので、戸籍は変えられていません。マイナンバーカードにも不要な性別欄があり、出すことができずにいます。特に苦しい当事者は、自らの努力で周囲と関係を保って生きてきました。にも関わらず、ネット上で攻撃され、公共施設の利用ができず、暴力や迫害を受ける不安に苛まれています。SOGIによる差別がなくなるよう、法整備をお願いしたします」
 
 また、国内外からのメッセージ動画が紹介されました。
◎キニー・クリストファーさん(平昌五輪ボブスレー米国代表)
「日本人のクウォーターです。おばあちゃんが日本人。日本の茨城県に来て、日本語を学び、陸上をやっていました。同僚にカミングアウトしなかった。でも、隠していたことを、チームメイトが攻撃材料にした。激しくいじめられた。いたずら電話が何百も。トイレに噂を書かれたり。精神的に疲弊しました。試合に行く日の朝、車がパンクさせられ、「くそゲイ」「ホモランナー」、そして「Fワード」が書かれていて、途方に暮れました。そのとき、近所のおじいさんが慰めてくれて、自分の車を貸してくれたんです。試合に間に合った。優勝した。いじめは2年くらい続いた。警察に言っても、全然動かなかった。アメリカのおばあちゃんが日本に来たんですが、つくばに着いた瞬間、「警察署に連れて行きなさい」と言われて。おばあちゃんの抗議のおかげで、警察が動くようになったんです。こういう経験をしているLGBTQはいます。法律で守られなければいけない。大好きな日本、頑張ってほしい」
ビリー・ジーン・キングさん(元米国テニス選手)
「私は日本でのLGBT平等法実現を喜んで支持します。世界中のLGBTQは平等に扱われる権利があります。平等法を制定する最適なタイミングです。今です」
◎ビクター・マドリガル・ボルロズさん(国連人権高等弁務官事務所 SOGI独立専門家)
「平等法が最適です。応援します」
◎安渕聖司さん(アクサ生命保険株式会社代表取締役社長兼CEO)
「世界を見渡すと、約80ヵ国で差別禁止法が制定されています。もはや当たり前のことになりつつあります」
「人材獲得競争が激しくなるなか、優秀な外国人の方に日本においでいただくためにも、環境整備が必要です。ぜひ平等法制定にご協力ください」

 最後に、閉会のごあいさつ。
◎藤井ひろみさん(LGBT法連合会代表理事)
「私たち当時者は、決して、平等法をあきらめることはありません。この決意を、ご覧の皆様に改めてお伝えします。さらに声を上げてください。実効性のある法律の制定に向けて、ご協力をお願いします」

 司会の五十嵐さんも「この瞬間にも困っている人が山ほどいます。そうした人たちの生活が改善されるためのルールが必要です」と語り、1日も早い法整備の必要性を強調していました。

 1時間半くらいの短いイベントだったにもかかわらず、こんなにも熱いメッセージにあふれたイベントとなりました。素晴らしいです。
 国会議員のみなさんにこの熱い思いが伝わり、LGBT平等法(差別解消法)が制定されることを望みます。

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