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特集:2022年秋のアート展

松濤美術館という高級感あふれる会場でドラァグクイーン関連の作品も展示される「装いの力ー異性装の日本史」をはじめ、2022年秋(9月〜11月)に開催予定のLGBTQ関連のアート展をいろいろご紹介いたします。

特集:2022年秋のアート展

(『装いの力ー異性装の日本史』より)
 

(まだまだ暑いですが)もうすぐ芸術の秋、到来!ということで、この9月〜11月に開催予定のLGBTQ(性的マイノリティ、クィア)に関するアート展の情報をまとめてご紹介いたします。今年の秋は美術史的にもLGBTQ的にもたいへん意義のある「装いの力ー異性装の日本史」が松濤美術館という高級感あふれる会場で開催されるのをはじめ、様々な展覧会が予定されています。今後もおそらく、新たな展覧会の情報が入ってくると思いますので、わかり次第、順次追加していきます。
なお、8月までのアート展の情報はこちらの特集にまとめてありますので、ぜひご覧ください。
(最終更新日 2022.9.19)



開催中 小淵沢
中村キース・ヘリング美術館開館15周年記念展:混沌と希望

 中村キース・ヘリング美術館が開館15周年を迎えます。2007年4月、キース・ヘリングを紹介する世界で唯一の美術館として八ヶ岳の麓に位置する小淵沢に開館しました。コレクターであり館長を務める中村和男さんは、1987年にニューヨークでキースの作品に出会ったことをきっかけに、その作品の蒐集を始めました。現在およそ300点の作品のほか、記録写真や映像、生前に制作されたグッズなど500点以上の資料を収蔵しています。今回の「中村キース・ヘリング美術館開館15周年記念展:混沌と希望」では、新たに収蔵する作品を中心に、コレクションの核となる作品約150点を一挙に展示する15周年にふさわしい見応えのある展示となっています。

中村キース・ヘリング美術館開館15周年記念展:混沌と希望
会期:2022年5月14日(土)〜2023年5月7日(日)
会場:中村キース・ヘリング美術館(山梨県北杜市小淵沢町10249-7)
開館時間:9:00-17:00(最終入館16:30)
料金やアクセス等についての詳細はこちら



 
8月10日~9月4日 大阪
イクなび展 

 MASH大阪が3ヵ月に一度刊行している大阪3大ゲイタウンのお店などのMAP「イクなび」。そんなイクなびを華やかに彩ってくれている、ゲイタウンのお店の人の魅力あふれるYAMATO氏による表紙写真と、裏表紙の飯塚モスオ氏によるゲイライフをユーモラスに描いた漫画「平成アプリコットくん」の作品の数々が、distaで展示されます。お二人の作品の魅力と街の息吹を感じていただければ幸いです。

イクなび展 
会期:8月10日(水)~9月4日(日)
会場:コミュニティセンターdista
開館時間:水~日曜 17:00-22:00




8月24日〜9月8日 東京
LGBTQ+ME

 2021年の一般社団法人日本アートテック協会主催のアートコンペティション「100人10(読み:てん)」において「between the arts賞」を授与された7名の作家、その個展の第2弾としてBANBUさんによる個展「LGBTQ+ME」が元麻布にあるアートギャラリー「between the arts gallery」にて開催されます。
「「LGBTQ+ME」と題した本展では、BANBUが描く丸いフォルムに、三つの目を持つ一見奇妙でもあるキャラクターが、どこからか「愛」や「優しさ」、そして「懐かしさ」と「悲しさ」を訴えかけ、鑑賞者の心情を揺さぶる体験を提供します。愛は形を変え、国籍、政治、年代、そして性別の境界線を超えながら人々の心にあり続けます。そして、百人の顔が曇っていても、一人の信念があればそこに愛は生まれます。「LGBTQ+ME」では、鑑賞者一人一人に、この“+ME”の部分を作品を通して想像してほしいという、作家の強く勇気のある想いを感じ取っていただけると幸いです」(プレスリリースより)
「本展は、私が普段、性的マイノリティーとして生活していく中で目に触れる恋愛映画や絵画などから生まれた疑問と、異性愛者間ではされることのない愛のカテゴライズやラベル付けのような”LGBTQ”という言葉に違和感を抱いたことがきっかけになっています。そこに+ME を付け加えることで、愛というのはもっと“自由な形”であって、個人個人で変化していく物、さらには誰にもカテゴライズされることのない普遍的な愛の形になることをテーマにしました。展示作品は全て花をモチーフにしたシェイプドボードにペインティングしており、キャラクターが悩み、葛藤しながら愛を育んでいく様子を1枚1枚題材を変えて描きました。そして、花という繊細で短命な美しさを無垢な愛とし、それらに愛の記憶を絵描き、並べることで愛のお花畑のような展示ができるのではないかと考えました。また“キャラクター”というのは本来断定するはずの詳細的主観を取り除き、人間でも動物でもない生物を描くことにより、性別や種族、宗教などに囚われることのない普遍的な愛を表現できる手助けになると思っています。このキャラクターが、見る人によって、その主観を変化させ、愛を普遍的なままに、自由に美しい形のままココロの何処かに置いておける余白を作り出せていればとても嬉しいです」(作家からのメッセージ)

BANBU個展「LGBTQ+ME」
会期:2022年8月24日(水)〜9月8日(木)  ※会期中は休館日なし
会場:between the arts gallery(東京都港区元麻布2-2-10)
営業時間:12:00-18:00






8月25日〜9月12日 東京
SIN5 EXHIBITION 2022 SUMMER

 先日の「BUFF」でその絵がTシャツのデザインに選ばれるなど、活躍の幅を広げているSIN5さんが、二丁目のゲイバー「ポプラ」で個展を開きます。若い方から年配の方まで幅広くいらっしゃるお店です。カラオケは無く、ジャズの音色が響く、落ち着いた雰囲気です。

SIN5 EXHIBITION 2022 SUMMER 
会期:2022年8月25日(金)〜9月12日(月)
会場:BAR POPLAR(新宿区新宿2-12-16 セントフォービルB103)
営業時間:
平日16時〜25時
土曜15時〜26時
日曜15時〜24時
(火曜定休)




9月3日〜10月30日 東京
装いの力ー異性装の日本史

「人間を「男性」「女性」のふたつの性別で区別する考え方は、私たちの中に深く根付いています。一方で、この性の境界を、身にまとう衣服によって越える試みも世の東西で古くから行われてきました。社会的・文化的に性別を区別するための記号である衣服をもって、生物学的に与えられた性とは異なる性になるという営みのことです。もちろん、異性装を実践した人物の性自認や性的指向は非常に多様なもので、それらが異性装とともに必ずしも自動的に変化するものではない、という認識は重要です。
 日本でもヤマトタケルが少女の姿に変装し、敵の宴に忍び込むエピソードなど、異性装の人物が登場する物語や、能や歌舞伎など異性装の風俗・趣向を反映した芸能が古くから存在しています。本展では絵画、衣裳、写真、映像、マンガなど様々な作品を通じて、各時代の異性装の様相を見ていき、性の越境を可能とする「装いの力」について考察する内容です」(公式サイトより)
 展覧会は時代順に8章から成っており、8章「現代から未来へと続く異性装」では、「森村泰昌の「女優シリーズ」やダムタイプ『S/N』記録映像などを紹介。異性装と密接に結びつくジェンダーやセクシュアリティに関する諸問題について考えていきます。さらに日本におけるドラァグクイーンの黎明期にグロリアス(古橋悌二)、DJ Lala(山中透)、シモーヌ深雪らによって始められたダンスパーティ『DIAMONDS ARE FOREVER』メンバーによる本展のためのスペシャルなインスタレーションも展開」とのことで、『DIAMONDS ARE FOREVER』のロイヤルウィッグも展示されます。 
 会期中、講演会やトークセッション、メイク講座のワークショップなど様々なリアルイベントも展開されます。9月17日(土)にはダムタイプ『S/N』記録映像の特別上映が(たいへん貴重です)、10月9日(日)17時〜にはシモーヌ深雪氏×ブブ・ド・ラ・マドレーヌ氏×三橋順子氏によるスペシャル・トークセッション「Drag Queen in Japan ~異性を装うとは何か?  ジェンダーとセクシュアリティの見地から~」が行なわれます。
 渋谷区の松濤といえば、大物歌手の豪邸があったり、日本でも指折りの高級住宅街として知られ、その中にある松濤美術館は極めて格調高い、高尚な展覧会が開催されてきたところです。そんな松濤美術館で『DIAMONDS ARE FOREVER』の歴史が染み込んだ(『ダイヤモンドアワー』でも使われた)ロイヤルウィッグや、ミス・グロリアス(古橋悌二)さんがドラァグクイーンとしてリップシンクする『S/N』や、たくさんの女装や男装に関する資料が展示されるというのは、ちょっとした事件ではないでしょうか。みなさんぜひ、お出かけください。

装いの力ー異性装の日本史
会期:2022年9月3日(土)〜10月30日(日) ※会期中、一部展示替えあり
会場:渋谷区立松濤美術館
料金:一般1000円(800円)、大学生800円(640円)、高校生・60歳以上500円(400円)、小中学生100円(80円)
※リピーター割引:観覧日翌日以降の本展期間中、有料の入館券の半券と引き換えに、通常料金から2割引きで入館できます
※()内は渋谷区民の入館料
※土・日・祝は小中学生無料
※毎週金曜日は渋谷区民無料
※障がい者及び付添の方1名は無料
休館日:月曜日(ただし、9/19及び10/10は開館)、9/20(火)、10/11(火)
開館時間:10:00-18:00 (毎週金曜日は20時まで) ※入館は閉館の30分前まで





9月5日〜11日 鹿児島
山乃モトキ個展「Liberal arts」

 山乃モトキさんの個展が鹿児島で開催されます。
「アート鑑賞はその人の育った環境、周りの友人たちの価値観、積み重ねた教養で感じ方や受け取る心の位置が変わってくると思う。Liberal artsという言葉にARTが入っているのは本当に意味深いと思う。女性ポートレートをとっているうちは評価は被写体であった。メンズヌードを撮りだすと「あなたはゲイなんですか?」「どうしてこんなものを撮ろうと思ったんですか?」と評価は作者に移った。私はアート鑑賞において評価されるべき人がいるのなら、それは見る人そのものなのではないかと最近感じている。メンズヌードを見ることは自分の内部を見ること。あなたが今日思ったことはあなたのどこからつながってきているのでしょうか」(ステートメントより)
 「ステートメントは難しく書いていますが、結局は美しいヌード展示ができればと思っています」とのことです。鹿児島という、まだ東京ほど性の多様性についての理解が進んでいない地方でメンズヌード展を開催することに意味を見いだせたら、との思いもあるそうです。また、東京でも来年あたりカムバック展示会をしたいと考えているそう(楽しみですね)。南九州地方の方、ぜひお出かけください。

山乃モトキ個展「Liberal arts」
会期:2022年9月5日(月)〜11(日)
会場:鹿児島市名山町8-8 ギャラリーポランカ4階
開場時間:12:00-19:00
入場無料、年齢制限なし



9月17日~2023年2月12日 京都
アンディ・ウォーホル・キョウト

 ポップ・アートの旗手として、アメリカの大量消費社会の光と影を描いたアンディ・ウォーホル(1928〜1987)。ゲイであり、ドラァグクイーンやトランスジェンダーの人々をモデルにしたポートレートを発表したり、ルー・リードやトルーマン・カポーティなどのクィア・アーティストが集うファクトリーというスタジオを構えたり、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコをプロデュースしたり、というところでも有名です。そのウォーホルのポップ・アートの代表作に加えて、商業イラストレーター時代や東方カトリックの生い立ちに触れる晩年の作品群までを網羅する大回顧展「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」が京セラ美術館で開催されます。キャンベル・スープ缶やマリリン・モンローなどの有名な作品も観ることができますし、展示を最後を飾る幅約10メートル×高さ約3メートルの《最後の晩餐》はウォーホルの最晩年、エイズが猛威を振るうなか制作された作品で、当時、ニューヨークで同性愛者を批判する文脈で使われた「The Big C」という言葉が中央に大きく描かれ、ウォーホルのゲイとしてのメッセージがうかがえます。展覧会全体として彼のセクシュアリティのことがどこまで語られているかはわかりませんが、ウォーホルの生い立ち、内面、精神に触れることができる展示構成になっているそうです。
 
アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO
会期:2022年9月17日(土)~2023年2月12日(日)
会場:京都市京セラ美術館 新館「東山キューブ」
開館時間:10:00-18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館)、12月28日~1月2日
観覧料:土日祝一般2,200円、平日一般2,000円、高大生1,400円 





9月18日〜25日 東京
ハッケヨイ両国・緑壱場所

 相撲絵をテーマに5人の作家によるグループ展「ハッケヨイ両国・緑壱場所」に奥津直道さんが出品しています。9月場所に合わせたイキな展覧会。お相撲さんを愛する皆様、ぜひご覧くださいませ。

ハッケヨイ両国・緑壱場所
会期:2022年9月18日(日)~25日(日)
会場:緑壱
開館時間:13:00~-19:00
会期中無休
出品作家:おおらいえみこ、奥津直道、木村浩之、福家聡子、邱桂蘭
企画:御子柴大三、木村浩之






9月30日〜10月15日
NUDE礼賛!「おとこのからだ」

「本展は男性ヌードをテーマに、ジェンダー、セクシュアリティ、表現方法も異なる現代アーティストによる、多種多様な男性像を一堂に展示し、男性表現の受容、可能性を探る試みです。アートシーンでヌードといえば未だ女性ヌードというイメージが圧倒的多数を占める一方で、性的な表現が「性差別、性の消費」と批判の対象となり続けてもいます。度々起こる過激な論争は、ヌードや性の表現の規制や縮小を危惧されるほどですが、男性ヌードに関しては、特に国内のアーティストの作品をまとめ、比較して観れる展覧会も、議論の対象になる機会も、まだまだ数少ない現状です。本展では、男性ヌードならではの身体や、エロティズムの表現はもちろん、様々なジェンダーの価値観の変遷からも考察を試み、男性ヌード表現をめぐる議論が活性化する機会になればと考えています。13名のアーティストが表現する「おとこのからだ」。人間を表現することの素晴らしさ、豊かさを、多くの方々に感じていただけることを願います」(公式サイトより)
 会場は秋葉原のギャラリー「Dub Gallery Akihabara」。参加アーティストはエセム万、大山菜々子、上路市剛、亀井徹、木村了子、田亀源五郎、小川クロ、TORAJIRO、成瀬ノンノウ、野村佐紀子、松蔭浩之、ユゥキユキという豪華な方々(敬称略、五十音順)、そして三島剛作品の特別展示もあります。

NUDE 礼賛ーおとこのからだ
Praise of NUDE - About Male Body
会期:2022年9月30日(金)〜10月15日(土)
会場:Dub Gallery Akihabara(千代田区神田佐久間町1‒14 第2AZUMAビル216号室)
開館時間:平日15:00-20:00、土12:00-20:00
定休:日祝
入場料:500円(税込)特典あり




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