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レポート:京都レインボープライド・パレードフェス2023

2023年4月15日(土)、第3回を数える京都レインボープライド・パレードフェス2023が京都市で開催されました。第1回のときと同様、雨の中の開催となりましたが、それでも300名くらいの方がパレードを歩き、PRIDEやアライシップ、LGBTQ支援の思いを伝えました。主催者の方々の言葉も感動的でした。レポートをお届けします。

レポート:京都レインボープライド・パレードフェス2023

 京都レインボープライドパレードは一昨年4月に初開催され、あいにくの雨ながら、約200名の方たちが市役所前〜河原町通り〜四条大橋〜南座〜祇園・円山公園という市内随一の目抜き通りを行進しました(レポートはこちら)。昨年は、市役所前広場を出発し、梅小路公園までパレード、そして梅小路公園芝生広場でステージやブースを楽しむフェスを開催というかたちの「京都レインボープライド・パレードフェス」となりました(天気もよく、500人くらいが参加し、盛り上がりを見せました。レポートはこちら)。今年も同様に、市役所前から梅小路公演までパレードしたあと、フェスが開催されました。
 今年初めの1月には開催がアナウンスされ、京都レインボープライドの主催者のみなさんも準備万端、あとは天気がよくなってくれることを祈るばかり…という感じだったと思います。しかし、天気予報はまさかの雨。本当にたくさんの方々が「パレードに雨を降らせないで」と天に祈っていたと思うのですが、願いは聞き入れられず…。
 
 4月15日(土)10時、雨だった2年前の主催者のみなさんの悲しそうな顔を思い出して、ちょっと憂鬱な気持ちで市役所前に着いたのですが、そこに集っていた何百人ものレインボーな参加者の方々の姿に、元気をもらいました。
 雨の中待機していた市長さんが今年もご挨拶し、「京都市のパートナーシップ宣誓は120組となりました。増加率は日本一じゃないかと思います。当事者の方々と話し合う広場も8回開催しました」「昨年6月、大丸さんと一緒にプライド月間のキャンペーンをやりました。今年もやる予定です」「京都には文化庁が来ました。文化の街・京都から、多様性と包摂性を」と語りました。とてもいいお話でした。
 それから、主催のLOYさんがご挨拶し、「我々は特別ではありません。同じ地球上のいのちです。同じ人権を」「みんな生まれてきていいんです。ひとつも間違ってない。我々は意味があって生まれてきたと強く言いたい」と語りました。思わずジーンとくるようなスピーチでした。


 参加者のみなさんが整列し、10時半頃、パレードがスタートしました。
 雨にも負けず、合羽を着たり傘をさしたりなカラフルな参加者のみなさんが、意気揚々と、晴れやかに、河原町通りを行進していました。昨年よりは少なかったかもしれませんが、300名ほどの方たちが参加していたと思います。
 たぶん雨のせいだと思うのですが、フロート(トラック)から音楽が流れず、残念でした…が、スピーカーから音楽を流しながら歩く方がいらして、助かりました。気持ちが明るくなりました。
 パレードの一行は、七条で右に曲がり、さらに真っ直ぐ進み、大宮通りを左に曲がって終点の梅小路公園にゴールしました。ゴールしたときに流れていたのはレディ・ガガの「Born This Way」でした。パレードを歩いたみなさんに、チェリオさんがドリンクを配ってくださいました(レインボーがデザインされた天然水でした)
 これはあとで聞いた話なのですが、元警察官のKOTFEさんがパレードを歩いていたところ、なんと、元同僚の方が歩み寄って「応援してるで」とハグしてくれたんだそう。なんと感動的な…。いつか海外のパレードのように警官や消防官のフロートが出るくらいになるといいですね。
















 雨模様だったこともあり、割とスタスタ歩く感じで、予定より少し早めに公園に着きました。13時のステージ開始までしばらく休憩となり、その間、みなさん公園内のカフェなどでごはんを食べたり休んだりしていました。





 13時にステージイベントが始まりました。昨年は芝生でピクニックする一般客のほうに向けてパフォーマンスしていたのですが、今年は反対側のブースのほうに向かって行なわれました。ちょうど東屋があって、雨を避けながら座ってライブを聴いたり写真を撮ったりすることができて、よかったです。
 ちょっとトイレに行ったりしててフォローできてない部分もありますが(ご容赦ください)、ステージの模様をご紹介します。
 トップバッターはKOTFEさん。応援団の方がたくさんステージ前に集まり、イェイイェイ盛り上がっていました。
 続いて、Japan Pride Networkに参加する各地のパレードのみなさん、立命館大学のLGBTQサークルの方などがスピーチしました。
 それから、映画『ボクらのホームパーティー』の川野邉監督と、『老ナルキソス』の東海林監督による小粋なトークが繰り広げられました(川野邉さん、各地の上映の際、その街のゲイバーをほとんど制覇する勢いで呑み歩くんだそう。意外で面白かったです。なお、後日詳細をお伝えしますが、両作品とも5月に京都で上映があるそうです)
 PLANET KYOTOの方が登壇しました。京都では以前から5月にエイズキャンドルパレードが開催されているということは知っていたのですが、その主催団体の方でした。HIV/エイズへの取組みやパレードへの思いを聞けて、とてもよかったです。
 シンガーソングライターのSHiKiさん。めっちゃ明るく元気でキュートでラブリーな方でした。歌もよかったです。このプライドのために「KISS」という新曲を作ってくださってて、素敵でした。
 シンガーのShimakoさん。ちょっとビックリするくらい歌が上手かったです。発声がふつうじゃない素晴らしさ。ゴスペルの曲とか、鳥肌モノでした(曲が最高潮に達したとき、雨がものすごい勢いで降ってきて、なんだか神がかったものを感じました)
 そして主催者のLOYさん。いろんなところで応援してくださっているアライの方ですと言って、MISIAさんの歌を歌い(たぶんMISIAさんの歌をカバーするのって結構大変だと思うのですが、見事に歌っていらっしゃいました)、数曲のライブを、心を込めて届けてくれました。
 フィナーレは、Shimakoさんとそのゴスペルチームのみなさん、LOYさん、当事者の有志のみなさん。ゴスペルや、軽快なダンス(マカレナ)を披露し、お客さんも一緒に踊ったりして盛り上がりました。












 
 最後にLOYさんが、「トランスジェンダーへのバッシングがひどいです。私たちのところにも相談が来るけど、「明日生きてるかわからない」という深刻な人もいます」「みんな生まれていいんです。生きてていいんです」「私たちは差別がなくなるまでパレードをやめません。雨でもやります」と力強く語り、大きな拍手が贈られました。
 もう一人の主催者の方も「何度も泣きそうになりました」と参加者のみなさんにお礼を述べ、「差別がなくなるまでパレードを続けます」と語っていました。

 雨が止んで虹が出てくれたら最高なのにな…と思いましたが、雨は結局、止みませんでした。でも、みんなの心に虹がかかったはずです。気温的にはめっちゃ寒かったですが、心は本当に温かくなるプライドでした。
 来年は絶対に晴れますように!と神様にお願いしました。

(取材・文:後藤純一)


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