FEATURES
特集:2024年初春のクィア・アート展
2024年1月〜2月に開催されるLGBTQ(クィア)関連のアート展の情報をまとめてご紹介します。オランダの「PRIDE PHOTO AWARD 2023」の入賞作品を展示する「十人十色」、ゲイの作家によるグループ展「Behind the Closet:The Things I Question Myself Every Day」などです
(「Behind the Closet:The Things I Question Myself Every Day」より)
寒い日が続きますが、みなさん、風邪などひいていませんでしょうか? 年始から大変な出来事が起こり、世界を見渡しても胸が苦しくなるような出来事がたくさん…そんな2024年ですが、アート界には(キース・ヘリングやダムタイプの「S/N」がそうであったように)アートには世の中を変えていく力があるとの信念を持って作品制作に取り組んでいる方もいますし、きっとクィア・アートに関心を持つことは少しだけ世界を良くすることにつながるのでは…という気もしますので、外出がおっくうになる季節ではありますが、LGBTQ(クィア)関連のアート展にお出かけしてみては?ということで、アート展の情報をまとめてご紹介します。キース・ヘリング展もまだまだ開催中ですし、オランダの「PRIDE PHOTO AWARD 2023」の入賞作品を展示する「十人十色」、ゲイの作家によるグループ展「Behind the Closet:The Things I Question Myself Every Day」なども開催されます。
(新たな情報が入り次第、順次追加していきます)
(最終更新日 2024.1.29)
1月6日〜2月4日 平戸(長崎県)
LGBTQ+写真展 十人十色 vol.2
平戸オランダ商館は、写真展を通してLGBTQがより自分らしく誇りを持って生きることができる社会づくりに貢献したいと考えています。このたび「十人十色展」(2014)、「OUT IN JAPAN展」(2016)に続き、LGBTQ+をテーマとした写真展を開催します。
オランダは世界に先駆けて同性婚を法制化し、国を挙げてLGBTQ+権利回復に取り組む先駆的な存在です。平戸オランダ商館はオランダの価値観やアイデンティティに学び、日本のLGBTQ+に対する世間の認知向上を目指してきました。本展ではオランダにおいて開催されている性の多様性をテーマにした国際写真コンテスト「PRIDE PHOTO AWARD 2023」の入賞作品を展示し、世界のLGBTQ+の〈いま〉を紹介します。企画展会場ではオランダと日本全国のプライドパレードの様子を映像で紹介します。日本の映像は全国のプライドパレードを撮影している秋山理央さんが提供しています。
LGBTQ+写真展 十人十色 vol.2
会期:1月6日(土)~2月4日(日) ※会期中無休
会場:平戸オランダ商館2階 (長崎県平戸市大久保町2477)
入館料:大人310円、小中高生210円
主催:平戸オランダ商館
共催:平戸ナイトミュージアム実行委員会
助成:駐日オランダ王国大使館
協力:Pride Photo Foundation、NPO法人Rainbow Soup、秋山理央
1月18日〜21日 大阪
シルエットファミリー展
性的マイノリティの出産・子育てを支援し、当事者同士の交流する機会とネットワーク形成を行う活動を行ってきた一般社団法人こどまっぷがアーティストの澄毅さんとコラボし、日本で出産・子育てを行っている性的マイノリティを可視化させ、その様子を社会に広く伝えるために、写真展を開催します。
「日本で子育てをするLGBTQファミリーは年々増えていますが、社会情勢から顔を出せないファミリーはまだまだ多くいます。今回の写真展ではそんなファミリーの家族写真をアート作品として、顔が見えない形でかぞくの想いとともに展示します」とのことです。
大阪公立大学大学院都市経営研究科との共催で、「EJ 芸術祭」の中で展示されます。
シルエットファミリー展
会期:1月18日(木)〜21日(日)
会場:大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco] room1(4F)
開場時間:11:00-19:00 ※最終日21日のみ14:00まで
シンポジウム:2024年1月20(土) 13:00-16:00(シンポジウム中は一部の作品が見れない可能性があります)
〜2月3日
長谷川サダオ 「冬」
これまでに数々のレジェンダリーなゲイアーティストの展覧会を開催してきた成山画廊で、11月9日から5月18日まで半年間2期に分けて、近年多方面から注目されている画家、長谷川サダオ(1945-1999)の展覧会が開催されます。11月9日〜2024年2月3日の「冬」は初期作品を中心に展示するそうです。
展示に合わせて、画集「SADAO.HASEGAWA 1945-1999」も刊行。サイケデリックに誘発されて描いた初期のロマンティックな作品、アフリカなど異国への憧憬を織り交ぜた作品から、雑誌の挿絵としてのエロティックな男性像、漫画。晩年、自身の浄化を試みたかのような崇高な男性像まで網羅されています。長谷川サダオ展会場と特設サイトでご購入いただけます。スペシャルエディションとして作品証明書付きオリジナル作品が挟み込まれたバージョン4種類も若干部発売されます。
長谷川サダオ 「冬」
会期:2023年11月9日(木)〜2024年2月3日(土)
会場:成山画廊(東京都千代田区九段南2-2−8)
開館時間:13:00-19:00
定休日:水日祝 ※12月25日〜2024年1月20日冬季休廊
2月2日〜27日 仙台
黒石寺蘇民祭写真展
2024年2月17日に1000年以上の歴史に幕を下ろす岩手県奥州市の「黒石寺蘇民祭」。往年(平成16年〜平成22年)の写真のなかから選りすぐりの20点をコミュニティセンター「ZEL」で展示します。
黒石寺蘇民祭写真展
会期:2月2日(金)〜27日(火)
会場:community center ZEL(仙台市青葉区国分町3-3-5 リスズビル9F)
※写真展期間中のZEL開館時間はこちら
2月6日〜5月6日
国立国際美術館「コレクション2 身体———身体」
国立国際美術館「コレクション2 身体———身体」において、こちらで紹介した鷹野隆大さんの写真や、2022年にオオタファインアーツで行なわれたブブ・ド・ラ・マドレーヌさんの《人魚の領土ー旗と内臓》(レポートはこちら)などが展示されます。
「「身体」は、作者/モデル/鑑賞者の身体、表象される身体、ヌード、肖像画や自画像など、表現およびその行為と切り離せない主題、問題であり続けてきました。また、現代社会においては、他者との関係や権力関係の下で闘争の場となる身体、身体的境界線、身体と規範、身体と性、生と死をめぐる問題も繰り返し浮上しています。2023年度のコレクション2は「身体———身体」と題し、20、21世紀を代表する美術家であるルイーズ・ブルジョワの作品《カップル》(1996年)を国内初公開するとともに、ブブ・ド・ラ・マドレーヌのインスタレーション、石川真生の写真、鷹野隆大の写真、加藤泉の絵画など近年の新収蔵品を含む所蔵品をご紹介します」(国立国際美術館公式サイトより)
コレクション2 身体———身体
会期:2月6日(火)〜5月6日(月祝)
会場:国立国際美術館 B2階展示室
出品作家(変更となる場合があります):
ルイーズ・ブルジョワ、ポール・セザンヌ、パブロ・ピカソ、マルセル・デュシャン、マン・レイ、マックス・エルンスト、ジャン・フォートリエ、ジャン・デュビュッフェ、ジャン(ハンス)・アルプ、オシップ・ザッキン、アルベルト・ジャコメッティ、アンディ・ウォーホル、ヴィレム・デ・クーニング、ジョージ・シーガル、草間彌生、ニキ・ド・サンファール、三島喜美代、リンダ・ベングリス、イケムラレイコ、シェリー・レヴィ―ン、レイチェル・ホワイトリード、キキ・スミス、塩田千春、藤田嗣治、鷹野隆大、オルラン、馬六明(マ・リューミン)、加藤泉、アドリエナ・シモトヴァー、ミリアム・カーン、石川真生、やなぎみわ、フェリックス・ゴンザレス=トレス、ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、高松次郎
2月9日~14日
Behind the Closet:The Things I Question Myself Every Day
「男のフェチズム展」をはじめ、以前からたびたびクィア・アーティストの作品展を開催してくださっている新宿眼科画廊で、「Behind the Closet:The Things I Question Myself Every Day」と題したゲイの作家さんたちのグループ展が開催されます。
「昨今、LGBTQやジェンダーの多様性など様々な性の在り方が浸透してきた中で、アートの世界でもLGBTQやジェンダーをテーマにしたアート、クィアアートが注目を集めています。そこで、現在、東京で活躍する若手のクィアアーティスト達をピックアップし、多様な価値観が集まる街、新宿で展覧会を開催するという運びとなりました。今回2回目となるクィアアート展では、前回好評だった4人のアーティスト達が再び集結し展示を行ないます。今回も油彩、日本画、版画、立体、インスタレーション、パフォーマンスとバラエティに富んだ作品を展示いたします。一年半ぶりの彼らの成長をご覧ください。多様化するジェンダー×多種多様なアート×多様性の街。新宿。この3つの多様が交差する時、あなたの中に新たな価値観が生まれるかも知れません。皆様、是非足を運んでいただければ幸いです」(新宿眼科画廊からのご挨拶文)
「今回、この場所に作品を展示する私たちは幼少期より自分たちが属するコミュニティにおいて 同性愛者という立場から時に無自覚に時に自覚させられながらクイアな存在として育ってきました。異性愛者というマジョリティの立場にある人々と同じように社会が自らの身体やセクシュリティをどのように描いているのかについて多くの疑問を抱えています。しかしほとんどの場合、その様式や表現は大衆の前に登場することはなく、わたしたちが 自らの身体やセクシャリティに関する説明書を手にする機会は少ないのです。マイノリティを排除するような雰囲気を纏ったコミュニティで自らの身体、セクシャリティについて話題にすることさえ勇気が必要なのです。隠された情報を手に入れるために私たちは常に心理的にも肉体的にも多くの痛みや苦痛と向き合いながら自己認識をしていきます。今回の展示会で作品群を通してこれらの隠されがちな疑問や存在を表面化させ、4人4様のクィアな視点から文化、社会、物語を考え、鑑賞者の皆様にも共有させていただきたいと思います」(出展アーティストからのステートメント)
Behind the Closet:The Things I Question Myself Every Day
会期:2月9日(金)~14日(水)
会場:新宿眼科画廊 スペースO
開館時間:12:00-20:00(水曜日は17:00まで)
木曜休廊
出展作家:HEY2、ネルソン・ホー、武内雄大、長嶋一孝
~2月25日 東京
キース・へリング展 アートをストリートへ
80年代ニューヨークのレジェンドであり、ポップカルチャーとファインアートの世界に革命をもたらしながら、1990年にエイズによって早逝したキース・ヘリング。明るく、ポップなイメージで世界中から愛され、今なおその人気は衰えを知りません。そんなキース・ヘリングの大規模な展覧会「キース・へリング展 アートをストリートへ」が、森アーツセンターギャラリーでの開催を皮切りに、神戸、福岡、名古屋、静岡、水戸と約1年にわたって巡回されます。(レポートはこちら)
「アートはみんなのために」という信念のもと、1980年代のニューヨークを中心に地下鉄駅構内やストリートにアートを拡散させることで、混沌とする社会への強いメッセージを発信し、人類の未来と希望を後世に託したキース。彼が駆け抜けた31年間の生涯のうちアーティストとしての活動期間は10年程ですが、残された作品に込められたメッセージは、今なお人々の心に響き続けています。今回の展覧会では6メートルに及ぶ大型作品を含む約150点の作品が展示され、キース・ヘリングのアートを体感していただける貴重な機会になりそうです。社会に潜む暴力や不平等、HIV・エイズに対する偏見と支援不足に対して最後までアートで闘い続けた彼のアートは、時空を超えて現代社会に生きる人々の心を揺さぶることでしょう。(公式サイトより)
キース・へリング展 アートをストリートへ
会期:2023年12月9日(土)~2024年2月25日(日)
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
主催:朝日新聞社、フジテレビジョン、東映
特別協力:中村キース・ヘリング美術館
後援:J-WAVE
問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
※この展覧会は、東京の後、神戸、福岡、名古屋、静岡、水戸と約1年にわたって巡回される予定です
2月22日〜5月18日
長谷川サダオ 「春」
これまでに数々のレジェンダリーなゲイアーティストの展覧会を開催してきた成山画廊で、11月9日から5月18日まで半年間2期に分けて、近年多方面から注目されている画家、長谷川サダオ(1945-1999)の展覧会が開催されます。2024年2月22日〜は「春」は鉛筆を多用した作品を中心に展示するそうです。途中、展示替えもあります。
展示に合わせて、画集「SADAO.HASEGAWA 1945-1999」も刊行。サイケデリックに誘発されて描いた初期のロマンティックな作品、アフリカなど異国への憧憬を織り交ぜた作品から、雑誌の挿絵としてのエロティックな男性像、漫画。晩年、自身の浄化を試みたかのような崇高な男性像まで網羅されています。長谷川サダオ展会場と特設サイトでご購入いただけます。スペシャルエディションとして作品証明書付きオリジナル作品が挟み込まれたバージョン4種類も若干部発売されます。
長谷川サダオ 「春」
会期:2024年2月22日〜5月18日
会場:成山画廊(東京都千代田区九段南2-2−8)
開館時間:13:00-19:00
定休日:水日祝 ※4月30日、5月2日はアポイントメントオンリー
〜5月6日 小渕沢
キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス展
中村キース・ヘリング美術館収蔵のキース・へリングコレクションを、彼が活動した1980年代ニューヨークを舞台に、「アンダーグラウンド・カルチャー」「ホモエロティシズムとHIV・エイズ」「社会に生きるアート」「ニューヨークから世界へ」という4つの視点でキュレーションし、彼の社会との関わりやその活動の今日的な意義をひもときます。1970年〜1980年代にヘリングが生きたニューヨークは、パンク・ロックやヒップホップファッションなど新しいカルチャーが注目され、成功を目指す人々が世界中から集まる可能性に満ちた街である一方、ドラッグや犯罪が蔓延する危険な状態でもあり、それらが危ういバランスで成り立っているスリリングな街でした。そのような社会状況の中で生まれたヘリングの作品は、命に関わる感染症との共生、児童福祉教育や人権問題をはじめとする持続可能な社会実現に向けた課題など、今日を生きる私たちにも強烈なインパクトを与えます。ヘリングが残したメッセージを、同時代を生きた写真家たちの記録写真など多くの資料が並ぶ展覧会を通して発信します。
なお、同じ期間で「プラダを着た悪魔」や「セックス・アンド・ザ・シティ」の衣装も手がけたスタイリスト、衣装デザイナーであり、エミー賞受賞やアカデミー賞ノミネートなど華々しいキャリアを誇るパトリシア・フィールドが、半世紀の歳月をかけて蒐集したアートコレクションを紹介する「ハウス・オブ・フィールド展」も開催されています。
キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス展
会期:2023年6月3日(土)〜2024年5月6日(月)
会場:中村キース・ヘリング美術館
開館時間:9:00-17:00(最終入館16:30)
休館日:定期休館日なし ※展示替え等のため臨時休館する場合があります
観覧料:大人1,500円、16歳以上の学生800円、障がい者手帳をお持ちの方600円、15歳以下無料
INDEX
- 特集:TRP2024を祝うクラブパーティ
- 特集:東京レインボープライド2024
- レポート:第5回ふくしまレインボーマーチ
- レポート:レインボーフェスタ和歌山2024
- 特集:2024年10月の映画・ドラマ
- レポート:六尺ケツ割れ大祭
- レポート:愛の新世界「JUICY!」&オナン・スペルマーメイド展覧会「受粉」
- レポート:メディア向けセミナー「PrEP承認がもたらすHIV/AIDSの新展開 ~HIV/AIDS流行終結に向けた複合的予防の重要性と課題について関連団体が語る~」
- レポート:最高!に楽しかった「Rainbow Bear Pool 2024」
- レポート:岐阜プライドウォーク
- レポート:特盛「褌男児!和漢祭」vol.3
- レポート:「Love Positive 30 - 1994年の国際エイズ会議とアート」
- 特集:2024年秋のクィア・アート展
- 特集:2024年9月の映画・ドラマ
- 2024年秋のオススメ舞台作品
- 特集:横浜エイズ国際会議30周年
- 特集:2024年8月の映画・ドラマ
- レポート:青森レインボーパレード2024
- レポート:山口レインボープライド2024
- レポート:036 Bear's Beach Party in Okinawa Vol.10 公認アフターイベント「CHOICE」
SCHEDULE
記事はありません。