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特集:2024年4月の映画・ドラマ

2024年4月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をお伝えします。今月は何と言ってもアンドニュー・ヘイの新作『異人たち』の公開が大きなトピックです。20年前に映画祭で上映された『Queer Boys and Girls on the SHINKANSEN』の再上映もお見逃しなく!

特集:2024年4月の映画・ドラマ

(『異人たち』より)


ようやく春到来! 桜も一気に咲き誇る季節ですが、お花見のついでに、劇場ギャラリー、映画館にも足を運んでみませんか? 今月はゲイカップルと姪のほほえましいドタバタを描いたスウェーデン映画『リトル・エッラ』、アンドニュー・ヘイが山田太一『異人たちとの夏』をゲイ映画にリメイクした名作『異人たち』、90を過ぎるまで誰にも言わずセックスもせずに生きてきた長谷さんのドキュメンタリー『94歳のゲイ』などが公開されます。そして2004年の映画祭で人気を博した『Queer Boys and Girls on the SHINKANSEN』の1回きりの再上映も行なわれます。
ちなみに4月1日はファーストデー。各館1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。都内では『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』『DOGMAN ドッグマン』『ナチ刑法175条』なども上映中です。
(最終更新日:2024年4月9日)

 
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4月5日より公開
リトル・エッラ


 スウェーデンの絵本作家ピア・リンデンバウムによる「リトルズラタンと大好きなおじさん」を映画化した作品。本作で長編映画デビューを果たしたアグネス・コリアンデルが主人公エッラを愛らしく演じ、「マスター・プラン」のシーモン・J・ベリエル、「長くつ下のピッピ」のインゲル・ニルセンが共演。「ロスバンド」のクリスティアン・ロー監督がメガホンをとりました。とてもほほえましい、かわいらしい、愛すべき作品という予感がします。

<あらすじ>
人と仲良くするのが苦手なエッラが唯一心を許すことができるのは、大好きなおじさんトミーだけ。両親が休暇で出かける間、エッラはトミーと一緒に過ごすのを楽しみにしていた。ところが、オランダからトミーの恋人スティーブがやって来たことで、夢の1週間は悪夢のような日々に一変。トミーとスティーブは英語で話すため、エッラは彼らが何を話しているのか全くわからず、のけ者にされたような気持ちになってしまう。どうにかトミーを取り戻したいエッラは、転校生オットーの力を借りてスティーブを追い出すための作戦を企てるが……。 

リトル・エッラ
原題:Lill-Zlatan och morbror Raring
2022年/スウェーデン・ノルウェー合作/81分/G/監督:クリスティアン・ロー/出演:アグネス・コリアンデル、シーモン・J・ベリエル、ティボール・ルーカス、ダニヤ・ゼイダニオグルほか



4月5日〜10日上映 東京
WEEKEND ウィークエンド

 『異人たち』公開を記念し、アンドリュー・ヘイの『WEEKEND ウィークエンド』が渋谷シネクイントにて6日間限定で上映されます。
 2012年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映され、静かな感動を呼んだ『WEEKEND ウィークエンド』。アンドリュー・ヘイ監督が2011年に自主製作映画として製作した長編デビュー作で、等身大でリアルなゲイの週末の恋を描ききった名作です。ロンドン映画批評家協会賞で新人監督賞、英国インディペンデント映画賞で新人俳優賞(トム・カレン)と製作業績賞を受賞し、ドラマ『Looking/ルッキング』の製作につながりました。例えば『ブロークバック・マウンテン』や『ムーンライト』、『ゴッズ・オウン・カントリー』などのように、ずっと心の中で宝物のように輝き続ける作品であり、「あの映画は本当によかった」としみじみ語り継がれていくような、ゲイ映画の名作ランキングにも挙げられるような素晴らしい作品です。一度劇場公開はされたものの、今後、映画館で観ることができる機会はそれほど多くはないかもしれませんので、まだご覧になっていない方はぜひ。

<あらすじ>
金曜の夜、友人たちとのパーティのあと、ラッセルは一夜限りのパートナーを求めて立ち寄ったゲイバーでグレンと出会い、ともに朝を迎える。ラッセルは仕事(プールの監視員)に出かけるが、グレンは帰りを待っていて、再び二人は、親密な時間を過ごす。ラッセルは孤児院育ちで、その時の仲間と、今も強い絆で結ばれていて、今の生活に満足している。グレンはゲイを侮蔑したり抑圧したりする世のノンケたちに怒りを抱いていて、アートの力でそんな状況を変えていきたいと思っている。そんなことを語りながら、二人は次第に惹かれ合っていくが、グレンは特定のパートナーは持たない主義だと宣言する。しかも、日曜日にはアメリカに留学するために出発するという。二人がつきあうということはありえないのだろうか……

WEEKEND ウィークエンド
2011年/イギリス/97分/監督:アンドリュー・ヘイ/出演:トム・カレン、クリス・ニュー/4月5日〜10日、渋谷シネクイントにて連日19時30分から上映。鑑賞料金は1300円均一で、『異人たち』のムビチケを提示すると1000円でご覧いただけます。




4月19日より公開
異人たち


 1988年に大林宣彦によって映画化もされ、名作と讃えられている山田太一の長編小説「異人たちとの夏」を『WEEKEND ウィークエンド』『Looking/ルッキング』のアンドリュー・ヘイが映画化しました。舞台を現代の英国に移し、主人公と恋人をゲイという設定に変え、アンドリュー・ヘイにしか作れないような情感豊かで親密な、切なくも美しい、深い余情をもたらす作品になっています。フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドやペット・ショップ・ボーイズなど、80年代UKの名曲が実に重要な役割を果たしていたりもします。近日中にレビューをお届けします。ハラハラと涙がこぼれ、一生忘れられないような、ずっと胸の中に宝物としてしまっておきたくなるような素晴らしい作品です。ぜひご覧いただきたいです。

<あらすじ>
12歳の時に交通事故で両親を亡くし、孤独な人生を歩んできた40歳の脚本家アダム。ロンドンのタワーマンションに住む彼は、両親の思い出をもとにした脚本の執筆に取り組んでいる。ある日、幼少期を過ごした郊外の家を訪れると、そこには30年前に他界した父と母が当時のままの姿で暮らしていた。それ以来、アダムは足しげく実家に通っては両親のもとで安らぎの時を過ごし、心が解きほぐされていく。その一方で、彼は同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちるが……。

異人たち
原題:All of Us Strangers
2023年/英国・米国合作/105分/R15+/監督:アンドリュー・ヘイ/出演:アンドリュー・スコット、ポール・メスカル、ジェイミー・ベル、クレア・フォイ

 


4月20日より公開
94歳のゲイ

 男が好きということを「絶対に言われへん」時代を生き、ずっと思いを胸に秘め、セックスすらせず、90近くなるまで誰にもゲイだと知られずに孤独に生きてきた長谷忠さんの人生を追ったドキュメンタリー映画です。2022年にMBSで放送された「93歳のゲイ~厳しい時代を生き抜いて~」が大きな反響を呼び、2023年にはTBSドキュメンタリー映画祭2023にて関西限定上映され、今回は追加撮影の素材も加えた90分の再編集版『94歳のゲイ』として劇場公開されます。
 長谷さん自身も貴重な人生を生きてきて方ですが、西成区で「にじいろケアプランセンター」を経営するケアマネジャーの梅田政宏さん(残念ながら2022年のMBSでの放送の3日後に亡くなりました)をはじめ、長谷さんをサポートする西成のコミュニティの方たちの姿も描かれていて、胸が熱くなります。
 大阪公立大の新ヶ江章友教授が、もともと同性愛に対して大らかだった日本が明治以降、なぜ厳しくなったのか、といった学術的な解説をしてくださる場面もあり、ゲイにとっても一般の方にとっても学びになるような、いろんな意味で興味深く観ることができる映画になっていると思います。

94歳のゲイ 
2023年/日本/90分/PG12/監督:吉川元基
4月20日より東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開



4月23日上映 東京
レバノン*プリズム*ナイト

 パレスチナで歴史的な大量虐殺が6ヶ月以上続き飢餓も広がるなか、LGBTQへの支持をうたいながらパレスチナにおける侵略や殺害を無視したり覆い隠そうとしたりする政府やグローバル企業が存在しています。イスラエル政府は「中東唯一のLGBTフレンドリーな国」であることをアピールし、暴力や国際法に反する入植(開拓地や植民地に入って生活)の継続を正当化してきました。この「中東唯一」という語り口は、パレスチナのみならず、他の中東諸国やアラブ人・イスラム教徒全てを暗に対比し、「野蛮」「後進的」「同性愛嫌悪的」という印象づけを行ない、西洋諸国から中東諸国に対する植民地暴力の正当化に利用しています。このプロパガンダは「ピンクウォッシング」と呼ばれ、批判にさらされていますが、その裏でパレスチナのクィアの人々の生活や語りは常に蔑ろにされ、西洋的な文脈で描かれるものとは異なる中東のクィアの人々の体験を見聞きする機会は日本でも非常に限られてしまっています。「レバノン*プリズム*ナイト」では、中東で起きていることや、そこに住む人の生活をより身近に感じるために、そして一刻も早い停戦を願い求めながら、パレスチナと隣国で歴史的にも繋がりの多いレバノンに焦点を絞り、映画上映とゲストトークを行ないます。映画は全て日本語字幕つきで日本初上映です。

BEIRUT DREAMS IN COLOR
 クィア プリズム フラッグの発案者でアクティビストでもあるハメッド・シンノは、ゲイであることをカムアウトしたおそらくアラブ圏初のロックスターであり、レバノンのベイルートを拠点に活動するバンド「マシュルーウ・レイラ 」のヴォーカルと作詞家としても知られている。彼らは中東で大人気のインディーバンドとなるが、人気が高まるにつれてヘイト攻撃も増えていった。本作はLGBTQに大きな勇気を与えた彼らの活動と葛藤、そして終幕の背景をとらえたドキュメンタリー。彼らの音楽、現地のLGBTQ支援の活動家、そしてファンの声を通し、レバノンやエジプトに住むクィアの様子が活き活きとうつされる。
※本作には自死/自殺への言及がふくまれます。
『ベイルートは今日も鮮やかな夢をみる』
2022年|29分|監督:マイケル・コリンズ|Karaaj Films


HADI MOUSSALLY WORKS
 レバノン出身でパリを拠点に活動するアーティストのハディ・ムサリが近年制作した短編映画をたずさえ来日! ハディがコロナ禍初期に一人で迎えた誕生日に古いVHSテープととともに人生を振り返るMV『ベリーダンス・ヴォーグ』、欧州に生きる自身にのしかかる二重(アラブ系でゲイ)の差別について身支度をしながら冷静に考えるビデオ『帽子』、謎多き魅惑的な“生物”サルマ・サホルがこの世界の創造主に慈悲を求める詩的な8ミリ作品『男の華』という3作品を日本初上映。
『ベリーダンス・ヴォーグ』(2020年|5分)
『帽子』(2022年|3分)
『男の華』(2023年|3分49秒
◎上映後にはハディ・ムサリのゲスト・トークが行われます


レバノン*プリズム*ナイト
日時:2024年4月23日(火)19:30-21:30
会場:GAKU(渋谷PARCO 9階、東京都渋谷区 宇田川町15-1)
入場料:1000円〜2000円(スライド式|会場にて現金支払い)
予約はこちらから
※当日券は空席がある場合のみ販売
※予約受付は満席になり次第、クローズします
※会場内では、いかなるヘイト発言や行動は禁止です
主催:NORMAL SCREEN|WAIFU
協力:GAKU|ABOさん|イスラエルのアパルトヘイトと虐殺に反対するクィア有志一同
連絡先:normalscreen@gmail.com


4月27日上映
Queer Boys and Girls on the SHINKANSEN


 今泉浩一さんと岩佐浩樹さんの呼びかけのもと、クィアをテーマに分野の異なるアーティストたちが自身のセクシュアリティを反映させた5分間の映画を作り、2004年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で世界初公開されたオムニバス映画『Queer Boys and Girls on the SHINKANSEN』。この作品の20周年を祝い、神保町で1回だけの特別上映を行います! 駅やレンタルビデオ屋さんでの甘酸っぱい瞬間、台所だったりクラブだったりの歌や踊りのあるコミュニティ、そして頭のなかだけの出来事などなどキュンとなる作品から笑える作品まで様々です。あの頃が懐かしいあなたもあの頃は赤ちゃんだったあなたも、この機会にぜひ一緒に鑑賞しましょう!
 今回は、発表当時1回のみの上映でお蔵入りになっていた畑智章監督の『The Untitled Slide Show』を20年ぶりに蔵出し、計11本の短編集としてのワールド・プレミア上映となります。
 上映後には本プロジェクトに参加したアーティストのアキラ・ザ・ハスラーさん、マダム ボンジュール・ジャンジさん、そして企画者でもある今泉浩一さん、岩佐浩樹さんが登壇! 飛び入りゲストもあるかも? 聞き手には日本のクィア演劇に関するイベントも行う飛田ニケさんをお迎えします。

Queer Boys and Girls on the SHINKANSEN
開催日時:2024年4月27日(土)16:00-
会場:ネオ書房@ワンダー店(千代田区神田神保町2-5-4開拓社ビル @ワンダー2F)(神保町駅A1出口出て右方向に30秒)
入場料:当日2,500円、予約2,000円 障害者1,500円 ※当日精算(現金のみ) ※全て1ドリンク付き
予約フォーム:こちら
 
作品タイトル + 監督名
#00  オープニングアクト "Let's take a trip." ナレーション:葉月螢(ほたる)
#01 『パラレル・コンタクト』監督:長谷川健治朗
#02 『鼻歌をうたう私と颯爽とあるく彼女』監督:iri
#03 『KEY』監督:康延年
#04 『wrap! rap!-10cs3-』監督:うららさとこ
#05 『The Untitled Slide Show』監督:畑智章
#05’『JUICY!』監督:ジャンジ♥
#06 『199X年の必殺技』監督:タカサキケイイチ
#07 『町27』監督:平井優子
#08 『キスしてほしい』監督:今泉浩一
#09 『かがよひ』監督:田口弘樹
#10 『バイバイ・オーバー・ザ・レインボウ』監督:アキラ・ザ・ハスラー

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