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特集:2024年11月の映画・ドラマ
2024年11月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマの情報をお伝えします。今月は、トランス男性のリアルを描いた名作短編『息子と呼ぶ日まで』が上映されるほか、1980年の問題作『クルージング』やグレッグ・アラキ作品がリバイバル上映されます
(『ベトとナム』より)
芸術の秋です。11月はさすがに暑さも落ち着き、お出かけもしやすいはずですので(と言いつつ、また台風が…涙)、週末は映画館や劇場、ギャラリーに足を運んでみてはいかがでしょうか? というわけで、毎月恒例の映画・ドラマ紹介特集をお届けします。
今月は、トランス男性のリアルを描いた名作短編『息子と呼ぶ日まで』の上映が始まりますが、OUTCAST映画祭で『チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー』『新宿ボーイズ』『キース・ヘリング ~ストリート・アート・ボーイ~』といった過去の名作が上映されたり、1980年の問題作『クルージング』やグレッグ・アラキの『ドゥーム・ジェネレーション』『ノーウェア』がリバイバル上映され、話題を呼びそうです。きっとほかにも素敵な映画やドラマの情報が出てくると思いますので、新たにわかり次第、追加・更新していきます。
ちなみに11月1日はファーストデー。各館1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『まつりのあとのあとのまつり「まぜこぜ一座殺人事件」』『ジョイランド わたしの願い』などもまだ上映されています。
(最終更新日:2024年11月14日)
公開中
まつりのあとのあとのまつり『まぜこぜ一座殺人事件』
TRP初期の頃からパレードに参加したり、40名超のLGBTQが出演するドキュメンタリー『私はワタシ~over the rainbow~』を製作するなどしてきた「Get in touch」の東ちづるさんが企画・構成・プロデュースした映画です。障がいを持つ方や性的マイノリティなど多様な特性をもつプロパフォーマーが集う「まぜこぜ一座」の舞台『歌雪姫と七人のこびとーず』のアフターストーリーで、座員と関係者が織りなす社会派コメディサスペンスです。エスムラルダさんが脚本を担当していて、東ちづるさんをはじめ、ろうの俳優/ダンサーの大橋弘枝さん、ダンプ松本さん、ドリアン・ロロブリジーダさん、マメ山田さん、三ツ矢雄二さん、芋洗坂係長さんなど多彩な方たちが出演します。東さんは「『こびと』が放送自粛用語なのはナゼ? マイノリティパフォーマーは普段から活躍するチャンスがないのは、ナゼ? 30年以上活動していても、このナゼ?はナゾのままです。ならば、自由な表現ができる映画で、ナゾを面白おかしくエンタメにしよう!と、まぜこぜのスタッフがまぜこぜのキャストと制作しました」とコメントしています。エンディング曲は三ツ矢さんや山寺宏一さん、日高のり子さんら声優11名がボランティアで歌っているそうです。(レビューはこちら)
まつりのあとのあとのまつり『まぜこぜ一座殺人事件』
2024年/日本/92分/監督:齊藤雄基/出演:東ちづる、大橋弘枝、ダンプ松本、ドリアン・ロロブリジーダ、桂福点、野澤健、マメ山田、三ツ矢雄二、峰尾紗季、森田かずよ、矢野デイビット、悠以、石井正則、芋洗坂係長、山野海ほか
10月18日(金)より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開
公開中
ジョイランド わたしの願い
今年のカンヌ国際映画祭でクィア・パルム(最優秀クィア映画賞)に輝いたほか、第95回アカデミー賞国際長編映画賞パキスタン代表&ショートリスト選出を果たした作品です。本国では、保守派団体の「クィアや、クィアとの恋愛を美化して描いた」ことが「品位と道徳に反する」との圧力に屈した政府が公開1週間前に上映禁止を決め、しかし監督や出演者が抗議活動を行ない、ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイやパキスタン系英国人俳優のリズ・アーメッドらが支援を表明し、禁止令を撤回に追い込んで上映を実現させたそうです。(レビューはこちら)
<あらすじ>
パキスタンの古都ラホール。ラナ家の次男であり失業中のハイダルは、家父長制を重んじる厳格な父から「早く仕事を見つけて男児をもうけなさい」とプレッシャーを受けている。妻のムムターズはメイクアップアーティストの仕事にやりがいを見出し、家計を支えていた。そんななかでハイダルは、就職先として紹介されたダンスシアターでトランスジェンダー女性のビバと出会い、そのパワフルな生き方に惹かれていく。すると、穏やかに見えたラナ家に波紋が広がり……。
ジョイランド わたしの願い
英題:JOYLAND
2022年/パキスタン/製作総指揮:マララ・ユスフザイ、リズ・アーメッド/監督・脚本:サーイム・サーディク/出演:アリ・ジュネージョー、ラスティ・ファルーク、アリーナ・ハーンほか
10月18日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開
11月1日〜14日 東京
息子と呼ぶ日まで
『手のひらのパズル』の黒川鮎美監督が、トランス男性を主人公とした短編映画を撮りました。トランス男性が経験しがちな「あるある」がふんだんに盛り込まれている作品で、リアリティが半端なく、誰もが新たな気づきを得たり、共感したりするであろう名作です。主人公を演じるのはパンテーンの広告で話題を呼んだ合田貴将さん。そしていかにも「田舎の親父」的なキャラクターで、この映画のキー(泣かせどころ)となる役柄をベテランの升毅さんが演じています。(レビューはこちら)
<あらすじ>
不動産屋で働くトランスジェンダー男性の翔太は、カミングアウトをきっかけに故郷の父と疎遠になっていた。翔太は、社会で生きていくなかで感じる偏見と違和感に悩み、家族との関係に葛藤を抱えながらも、パートナーの絵美とともに自分らしい生き方を見いだしていく。
息子と呼ぶ日まで
2024年製作/日本/25分/G/監督:黒川鮎美/出演:合田貴将、正木佐和、鮎川桃果、秋吉織栄、黒川鮎美、升毅ほか
11月1日(金)〜11月14日(木)19:00、池袋シネマ・ロサにて上映。11月1日・3日・8日・9日・11日・14日はトークショー付き(登壇者は追って発表)
11月3日 東京
リトル・ミス・サンシャイン
アカデミー賞4部門にノミネートされ、2部門を受賞した『リトル・ミス・サンシャイン』。世間では決して美少女とはみられないであろう容姿の女の子が美少女コンテストの本戦に出場することになり、家族みんなでバン(ワゴン車)で旅をするというドタバタロードムービーなのですが、女の子の叔父・フランクが、失恋して自殺未遂を図ったヒゲクマなゲイなのです(職業はプルーストの研究者)。2006年、まだ日本でリアルなゲイを描いた映画の上映があまりなかったときに上映され、話題になりました。涙あり笑いありでさわやかな感動を呼んだ作品です。そんな『リトル・ミス・サンシャイン』が東京国際映画祭でリバイバル上映されます。もう一度映画館のスクリーンで観たいという方、これを機に観てみたいという方もぜひ、ご覧ください。
<あらすじ>
ニューメキシコ州に住むフーヴァー家には、問題が山積していた。そんなある日、目立たない容姿の9歳の娘に、ひょんなことから美少女コンテスト出場の機会が訪れる。それは、彼女が夢見ていたことだった。そして、各々がわけありでバラバラだった彼女の家族は、ミニバスに乗り込み、カリフォルニアの会場へと旅立つ。
リトル・ミス・サンシャイン
2006年/米国/101分/監督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス/出演:グレッグ・キニア、スティーヴ・カレル、トニ・コレットほか
11月3日(日)10:00- TOHOシネマズ日比谷にて上映(上映後、よしひろまさみちさんによるトークショーが予定されています)
11月2日・3日 東京
チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー
社会の周縁で生きる人々の人生を描いた映画を集めた「OUTCAST映画祭」で、『チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー』が上映されます。チェチェン当局が同性愛者を拉致・拷問・虐殺しているという恐ろしい知らせに対し、被害者の救出に立ち上がった活動家たちの姿に胸が熱くなるとともに、AIを使った最新の技術で被害者たちの匿名性を守りながら生き生きとした表情を見せるという映像的な面も素晴らしい作品です。なんと、トークゲストで監督のデヴィッド・フランスが来日します(2日は李琴峰さん、3日はよしひろまさみちさんと対談)。ご都合のつく方はぜひ!
チェチェンへようこそ ―ゲイの粛清―
原題:Welcome to CHECHNYA
2020年/米国/107分/G/監督:デヴィッド・フランス
11月2日(土)・3日(日)19:00- ユーロスペースにて上映
11月5日 東京
新宿ボーイズ
「OUTCAST映画祭」では、新宿歌舞伎町の“おなべ”バー、「ニュー・マリリン」で男性として生きることを決意した3人のホストを追った、1995年のドキュメンタリー映画『新宿ボーイズ』も上映されます。たくさんのガールフレンドに囲まれモテモテのGAISHは、時に見せる冷たい態度が女性の心をくすぐります。ホルモン注射を打ったTATSUは、どのお客さんにも分け隔てなく優しいと評判を呼ぶ人気者です。ニューハーフのくみと暮らしているKAZUKIは劇中で母親にカミングアウトします。ホストクラブのシーンや個人的なインタビュー、仕事以外の彼らの日常を捉えたシーンが交互に描かれ、ジェンダーアイデンティティやセックスライフについて率直に語る彼らの姿がありのままに映し出されます。
新宿ボーイズ
1995年/英国・日本/53分/監督:キム・ロンジノット、ジャノ・ウィリアムズ
11月5日(火)19:00- ユーロスペースにて上映
11月7日 東京
キース・ヘリング ~ストリート・アート・ボーイ~
80年代ニューヨークのレジェンドであり、ポップカルチャーとファインアートの世界に革命をもたらしたキース・ヘリング。キース自身やご両親、友人などの未公開インタビューや、キース・へリング財団のみが保有する初公開の記録によって、その生涯の真実に迫るドキュメンタリー『キース・ヘリング~ストリート・アート・ボーイ~』が「OUTCAST映画祭」で上映されます。上映後には松中権さんと中村キースヘリング美術館のディレクター・HIKARUさんが対談を行ないます。
キース・ヘリング ~ストリート・アート・ボーイ~
2020年/英国/53分/監督:ベン・アンソニー
11月7日(木)19:00- ユーロスペースにて上映
11月8日より上映
クルージング
アル・パチーノが主演し、NYアンダーグラウンドのゲイカルチャーを背景に犯罪捜査の行方を描いた問題作『クルージング』(1980年)がリバイバル上映されます。ハリウッド映画史上初めて男どうしのBDSMを正面から描いたこの作品は、製作発表時から公開後まで、同性愛差別を助長するとして全米で猛抗議を受け、批評も興行も振るわず、長い間、言及もされずにきました。しかし近年、クエンティン・タランティーノやセリーヌ・シアマなどの名監督がフェイバリットに挙げ、各国のクィア映画祭ではエイズ禍以前のゲイ・カルチャーを記録した貴重な作品として再上映されるなどして、再評価が進んでいるといいます。レザーマンたちがBDSMを愉しむシーンに触れてストレートとしてのアイデンティティが揺らぐ様が描かれたセクシャルな映画でもあります。
監督は『エクソシスト』『恐怖の報酬』のウィリアム・フリードキン。1973年〜79年、NYで実際にSMクラブに出入りするゲイたちを標的とした猟奇連続殺人事件が起こりましたが、フリードキンは、逮捕された容疑者が『エクソシスト』で病院のシーンに出演していた放射線科の看護師だったことに驚き、容疑者に面会し、元NY市警の友人にゲイSMクラブへの潜入捜査の話を聞き、自らもそこに足を運び、この映画を完成させたそうです。
なお、この映画はテンガロンハットをかぶったケツワレ一丁のマッチョな男性がおもむろに取調べの部屋に入ってきてアル・パチーノをビンタするシーンでも有名になりました(実際に映画を観ても、なぜあのようなシーンがあるのか、意味がわかりません…本当に謎です)(2024.11.10【追記】このシーンはリアルだそうです。こういう理由があることがわかりました→https://x.com/Tori_Corleone/status/1855188646527439103)
<あらすじ>
夜のニューヨークでゲイを狙った連続殺人事件が発生。密命を受けた市警のバーンズはゲイを装い、ストレート立入禁止のSMクラブで潜入捜査を開始する。そして男たちの性の深淵を彷徨い、身も心も擦り減らしていくなか、ついに犯人の手がかりを掴むのだが……。
クルージング
原題:WILLIAM FRIEDKIN‘S CRUISING
1980年/米国/102分/脚本・監督:ウィリアム・フリードキン/出演:アル・パチーノ、ポール・ソルヴィーノ、カレン・アレンほか
11月8日からシネマート新宿ほか全国順次公開
11月8日より上映
ドゥーム・ジェネレーション
90年代「ニュー・クィア・シネマ」の旗手、グレッグ・アラキ監督の『ドゥーム・ジェネレーション』(劇場公開1996年)と『ノーウェア』(劇場公開1998年)が、約30年の時を経てデジタルリマスター版でリバイバル公開されることになりました。
2010年の『カブーン!』が東京国際レズビアン&ゲイ映画祭でクロージング作品として上映されたりもしているグレッグ・アラキは、一貫してティーンエイジャーを主人公にゲイのリアルライフを描いてきた監督で、自身の映画を「アウトサイダー、パンクス、クィア、社会やコミュニティに馴染めない人たちのためのもの」と位置づけています。名作との誉れ高いのが、HIV陽性の診断を受けた青年とパンク青年のロマンティックで絶望的な逃避行を描いたロードムービー『リビング・エンド』(1992年)、そして10代の同性愛者たちのリアルを描いた『トータリー・ファックト・アップ』(1994年)です。その『トータリー・ファックト・アップ』と『ドゥーム・ジェネレーション』『ノーウェア』は「ティーン・アポカリプス・トリロジー」と称される三部作です。
今回リバイバル上映される『ドゥーム・ジェネレーション』は、プロデューサーからの「異性愛映画を撮ったら制作予算をあげよう」との提案に対し、反骨精神あふれるパンクなやり方で「表向きは“異性愛映画”ながら“史上最もクィアな異性愛映画”」として製作した作品。グレッグ・アラキは、「ティーンエイジャーの映画を作るのが好きなんだ。彼らの“ホルモンが狂った生活”には、忘れられない高揚感がある。彼らは1日に10回生きては死ぬような興味深い題材であり、私がこの世界について感じていることを体現している」と語っています。
今回、『ドゥーム・ジェネレーション』『ノーウェア』が(『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『リアリティ・バイツ』『セックスと嘘とビデオテープ』など)これまでサンダンス映画祭が生んできた名作が並ぶフィルムアーカイブコレクションに選出され、サンダンス協会の支援を受けてデジタルリマスターの運びになったそうです。2023年のサンダンス映画祭でこのリマスター版が上映されるや「今回の映画祭で見た中で最も大胆で素晴らしい映画は28年前に作られたグレッグ・アラキの『ドゥーム・ジェネレーション』だった。この作品はX世代の不安や焦燥感を描いた暴力的でエロティックな衝撃作だ」(Indiewire誌)と絶賛されました。公開当時にはカットされたシーンも含めた、貴重なディレクターズカットとして上映されます。この機会にぜひご覧ください。
<あらすじ>
エイミー・ブルーとボーイフレンドのジョーダン・ホワイトは、クラブ、スピード、SEXなどで気を紛らわしながらも、満たされない毎日を過ごしていた。そんなある時、クラブの駐車場で数人の男に殴られていたゼイヴィア・レッド《=X》を助けた事がきっかけで彼らは旅に出ることになるが…。
ドゥーム・ジェネレーション
原題:The Doom Generation
1995年/フランス・アメリカ/84分/監督:グレッグ・アラキ
11月10日 京都
Queer Visions 2024
実験映画やドキュメンタリーなどクィア映像作品にふれる1日だけの特別イベント「Queer Visions」が今年も開催。今年は、日系アメリカ人TTタケモトの短編集、アメリカ東海岸のレズビアンたちのストーリーをおさめたジーン・カーロムストのビデオ作品、中東の実験的な映像作品の上映とトークが行われます。
Queer Visions 2024
日時:11月10日(日)14:00-17:15(13:30開場)
会場:同志社大学 寒梅館 - クローバーホール(京都市上京区今出川通り烏丸東入)
資料代500円(現金受付|予約不要|直接会場にお越しください)
主催:Queer Vision Laboratory|Normal Screen
<プログラム>
『ただ通り過ぎるだけではなく』
レズビアンの歴史、コミュニティ、文化の構築についてのインスピレーションを与える4部構成のドキュメンタリーです。
◎ただ通り過ぎるだけではなく(監督:キャサリン・ガンド、ポリー・シスルスウェイト、ドロレス・ペレス、ジーン・カーロムスト|1994年|52分|アメリカ)
『TT タケモト 厳選4作品』
アジア系アメリカ人の歴史、セクシュアリティ、アイデンティティを探求するクィアの日系アメリカ人アーティスト/学者であるTT タケモトの近年の4作品を上映(合計22分)
◎LOOKING FOR JIRO(2011年|5分45秒)
◎ON THE LINE(2018年|6分45秒)
◎EVER WANTING (FOR MARGARET CHUNG)(2021年|6分20秒)
◎AFTER BED(2023年|3分)
『パレスチナ、レバノン、チェックポイント 〜中東クィア連帯の短編集〜』
ユニークな視点でパレスチナやレバノンの現状や歴史を探求し提示する作品を、2000年代、2010年代、2020年代からそれぞれ1作品ずつ上映。イスラエルによる侵攻が続くパレスチナとレバノンのクィアの人たちを想い、そして世界中にいるパレスチナの人、パレスチナを想う人たちと連帯するためのプログラムです(合計37分)。上映後には、イスラエルのピンクウォッシュやヴィーガンウォッシングを中心に、イスラエルの性をめぐる政治や動物をめぐる政治がいかに国家の優位性やナショナリズム、また植民地主義に結びついてきたかに関心をもって研究を進めている保井啓志さんにお話を伺います。
◎シック・ポイント(監督:シャリーフ・ワーキド|2003年|5分|パレスチナ、イスラエル)
架空の空間「占領されたキャットウォーク」でモデルたちはイスラエルの検問所のために特別にデザインされた衣装を着て腹部を露出する。
◎モンディアル 2010 (監督:ロイ・ディーブ|2014年|19分30秒|レバノン)日本初上映
レバノンのゲイカップルがヨルダン川西岸地区中部のラマッラーでカメラを片手にロードトリップに出る。
◎ネオ・ナフダ(監督:メイ・ズィヤーデ|13分|2022年|レバノン、フランス)日本初上映
ロンドンに住む若い女性モナはある日、1920年代のアラブの女性たちが男装しているアーカイブ写真を見つける。
11月15日より上映
ノーウェア
グレッグ・アラキ作品の『ドゥーム・ジェネレーション』に続くリバイバル上映作品。監督自身も「三部作の中で間違いなく最も野心的な作品」と評し、まるでジェットコースターのようなスピード感で若者たちの「終末の日」の一夜を描いたのが『ノーウェア』です。
<あらすじ>
映画学科のダーク。彼は自分の死期を悟り、死の瞬間を捉えるるため、ビデオカメラを手放さない。仲間たちと始めた缶蹴りから不安に駆られた彼は、パーティで恐怖を体験する。
ノーウェア
原題:Nowhere
1997年/アメリカ・フランス/83分/監督:グレッグ・アラキ
11月22日~(詳細な日程は未定) 東京
マダム
世界中の映画祭を席巻し、本国内でもヒットを続ける中国映画の最前線を味わえる「現代中国映画祭2024」が、シネ・リーブル池袋にて11月22日~12月12日、テアトル梅田にて12月13日~12月26日に開催されます。その中で「Director in Deep Focus部門:鬼才 チュウ・ジョンジョン 傑作セレクション」として、チュウ・ジョンジョン監督の『マダム』という作品が上映されます。
服飾デザイナーをする傍ら、派手な女装をし、マダム・ビランダと名乗りステージに立つクラブ歌手、ファン・チーホイ。同性愛者がまだまだ生きづらい中国で、ファンがこのステージに立つようになるまでには様々な苦労がありました。赤裸々に語られるインタビュー映像と、クロスして流れる彼のステージシーンが、ときに笑わせ、ときに涙を誘います。(なお、撮影が終わった後、2010年10月12日にファンは自ら命を絶ったと伝えられています…ご冥福をお祈りします)
マダム
2010年/中国/120分/監督:チュウ・ジョンジョン/出演:ファン・チーホイ
※シネ・リーブル池袋で11月22日~12月12日開催の「現代中国映画祭2024」の中で上映。スケジュールの詳細は今後、シネ・リーブル池袋の公式サイトに掲載されますので、そちらをご覧ください。
11月23日・28日上映 東京
『ベトとナム』
映画を通じて“世界”とつながる映画祭としての意義を発信し続けている「東京フィルメックス」が記念すべき第25回の開催を迎えます。この映画祭の中で上映される『ベトとナム』は、2001年のベトナムを舞台に、恋人同士である2人の炭鉱労働者の姿を通して、戦後のベトナムにおいて、若くクィアであること、そしてさらにはベトナムという国そのものが抱える困難と苦悩を描いた映画です。催眠術のように優しく官能的に撮影されつつ、その表層の下に眠る深く暗い影の部分を炙り出そうとする象徴性に満ちた作品です。デビュー作『樹上の家』で注目を集めた新鋭チューン・ミン・クイの2作目の長編である本作は、カンヌ国際映画祭のある視点部門で初上映されました。
<あらすじ>
ベトとナムは20代の炭鉱労働者の青年。彼らは粉塵まみれの画一的な職業生活を送りながら、地下何百mの暗闇の中で密かな愛を育んでいる。彼らは共に戦争で父を亡くしており、ナムと彼の母は父のベトコン時代の古い同志バと共に、まだ半分埋まった兵器が点在する森に覆われた中央高原へ父の遺骨を探す旅に出る。ベトは彼らに同行しつつ、ベトナムから密航し国外へ脱出することを計画しているナムの身を案じている…。
ベトとナム
原題または英題:Viet and Nam
2024年/ベトナム、フィリピン、シンガポール、フランス、オランダ、イタリア、ドイツ、アメリカ/129分/監督:チューン・ミン・クイ
11月23日(土)21:00- ヒューマントラストシネマ有楽町
11月28日(木)15:15- 丸の内TOEI
チケットはこちらから
11月24日上映 東京
Brazil Queer Short Films Now
Normal Screenがパルコのカルチャーフェスティバル「あいとあいまいcity_logue」の中で開催する上映と対話のイベントです。ブラジルでは同性愛差別発言を繰り返した極右ボルソナーロ政権が2019年から2022年まで続きましたが、それにも屈せず堂々と政権批判や資本主義社会に疑問を投げかけるクィア映画が制作され、南米、北米、欧州の映画祭で上映され、注目を集めました。そうした状況を背景に、長編映画デビュー前の若手作家の短編作品をセレクトし、上映します。全作東京初上映! 12月に横浜で『ゲイ・モノローグ』(構成・演出:y/n)の公演も控えている演出家で俳優の橋本清さんがスペシャルゲストとして登壇し、上映後にみなさんとお話します。
Brazil Queer Short Films Now
日時:2024年11月24日(日) 開場13:30、開演14:00
会場:渋谷PARCO B1F・GALLERY X BY PARCO(東京都渋谷区宇田川町15-1)
上演時間:約120分(予定)
料金:500円
予約はこちらから
協力:Queer Vision Laboratories
<上映作品>
土地なきものたち
(監督:Anderson Bardot | 2020年 | 25分 | Inabitáveis)
年配の振付師、若いダンサー、クィアのこどもが出会い、踊りを通してブラジルにおける奴隷制の傷跡を見つめながら、先住民、ブラック/ブラウンやゲイとトランスの人々の生を鮮やかに描くダンス映画。
本作の監督/脚本/プロデュースを手がけたAnderson Bardotは世界の映画祭で13の賞を獲得。2023年には新たな短編『Procuro teu auxílio para enterrar um homem/I Seek Your Help to Bury a Man』をロッテルダム国際映画祭で発表しています。
プライベート写真
(監督:Marcelo Grabowsky | 2020年 | 20分 | Fotos Privadas)
同棲中のラファとマテウスが刺激を求めて家にもう一人を迎え、新たな興奮と気づきを得る夜。
本作はMix Brazilで初上映され、その後も欧米の多くの映画祭で上映されました。監督のMarcelo Grabowskyは2011年に長編ドキュメンタリー『Witness 4』を発表し、2014年には短編映画『Chlorine/ Cloro』がニューヨーク映画祭、 リオデジャネイロとサンパウロの国際映画祭で上映。次回作『Malibu』には『フトゥーロ・ビーチ』の監督カリン・アイヌーがプロデューサーとして参加しています。
住めない星
(監督:Matheus Farias & Enock Carvalho | 2020年 | 20分 | Inabitável)
行方不明になった娘のロベルタを探す母。隣人やロベルタの友人と手がかりを探そうとするも、刻々と時間だけがすぎていく…。
ブラジルではLGBTQの人々に危険が及ぶことが多く、とりわけトランスジェンダーの人たちが3日に1人の割合で殺害されています。こうした現実を受けて制作された本作は、北米、南米、欧州の70以上の映画祭で上映されました。
我慢と辛抱のかいあって
(監督:Érica Sarmet | 2021年 | 26分 | A WILD PATIENCE HAS TAKEN ME HERE)
年を重ねて一人で暮らすVangeが若いレズビアンの集まるパーティへやってきた。コミュニティのこれまでの道のりに強い関心をもつ若者たちと触れ合うことによって、彼女は少しずつ自分自身を取り戻していく。
監督のÉrica Sarmetはサンパウロでライター、リサーチャーとして活躍するかたわら、サンパウロ大学の博士課程に在籍し、フェミニスト映画クラブ「Quase Catálogo」のキュレーションを行なっています。現在は短編ドキュメンタリーと、長編デビュー作となるエコ・ホラー映画『Heaven Beneath Entrails』を準備中です。
INDEX
- 2024-2025 冬〜新春のオススメ舞台作品
- 特集:2024年12月の映画・ドラマ
- 2024-2025 冬〜初春のアート展
- レポート:「トランスジェンダーを含むLGBTQ+差別に反対する映画監督有志の声明」掲出プロジェクトに関する会見
- 特集:新宿の街へ出よう
- レポート:東京トランスマーチ2024
- レポート:みやぎにじいろパレード2024
- レポート:「work with Pride 2024」カンファレンス
- レポート:やまがたカラフルパレード
- 「結婚の自由をすべての人に」東京一次訴訟高裁判決の意義と喜びの声
- レポート:レインボーフェスタ!2024(2)
- レポート:レインボーフェスタ!2024(1)
- レポート:金沢プライドウィーク(2)金沢プライドパレード
- 特集:2024年11月の映画・ドラマ
- レポート:金沢プライドウィーク(1)石川でも「結婚の平等にYES!」
- レポート:三重レインボーパレードin津まつり2024
- 特集:衆院選2024 〜愛する人を守り、次世代に希望をつなぐための一票を〜
- レポート:PON☆STAR AUTUMN LIVE TOUR 2024『栗と芋』&映画『髭桜』上映会
- レポート:岡山レインボーフェスタ2024
- レポート:岡山レインボーフェスタ2024前夜祭「レインボーキャッスル」
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