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特集:2026年1月の映画・ドラマ
2026年1月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマの情報をお伝えします。今月は『クイーンダム/誕生』『SEBASTIAN セバスチャン』『CROSSING 心の交差点』『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』『水の中で息をする ―彼女でも彼でもなく―』といった新作クィア作品がたくさん公開されるほか、伝説のディヴァインが出演する『ヘアスプレー』がリバイバル上映されます

(『クイーンダム/誕生』より)
2025年はお世話になりました。2026年もどうぞよろしくお願いいたします。毎月恒例の映画・ドラマ特集をお届けします。
今月は、ロシアに突如現れた孤高のドラァグクイーンの姿を追った『クイーンダム/誕生』をはじめ、ロンドンでセックスワークになる青年を主人公にした『SEBASTIAN セバスチャン』、イスタンブールのトランスジェンダーコミュニティを描いた『CROSSING 心の交差点』、『ダイ・ビューティフル』のジュン・ロブレス・ラナ監督が手がけた話題作『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』、性別が固定していない牡蠣の生態からジェンダー問題を提起する『水の中で息をする ―彼女でも彼でもなく―』など、多彩な新作クィア映画が公開されます。
週末は劇場やギャラリー・美術館とともに映画館にも足を運んでみましょう。
新たに情報がわかり次第、追加・更新していきます。
ちなみに1月1日は「ファーストデー」。多くの映画館で1100円〜1300円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『これからの私たち ALL Shall Be Well』『ジョージ・マイケル 栄光の輝きと心の闇』なども上映中です。
(最終更新日:2025年1月15日)
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Topic
Yahoo!ニュースで在スペイン・ジャーナリストの木村浩嗣さんという方が「恋愛弱者に優しい男同士の世界」と題して映画『マスパロマス』のレビューを寄稿していました。ビセンテという76歳のゲイの方が主人公で、「皮膚が少々たるんでいようが、しわくちゃだろうが」恋愛を楽しみ、30代か40代に見えるマッチョ男性との(おそらく)一夜限りの肉体関係を結んでいる様が描かれているそうで、「そんな70代がとんでもなく若い人たちの間にいてもあぶれない、音楽もダンスもアルコールもセックスを楽しむことにおいても仲間外れにされることがない――そんなことは、男女の自由恋愛においては聞いたことがない」と称賛されています。なるほど、僕らにとってはフツーなことが、ノンケさんの目にはとても新鮮に映るのだな、と思い、面白かったです。
ちなみに世界でもトップクラスにゲイの観光客をたくさん集めているスペインでは、マドリッドやバルセロナなどプライドイベントや大型クラブイベントで盛り上がる街や、シッチェスやトレモリノスなどのゲイリゾートが人気ですが、その中でもトップクラスにゲイゲイしいリゾート地となっているのが、モロッコ沖に浮かぶスペイン領カナリア諸島のグラン・カナリア島にあるマスパロマスという街です。もちろんビーチなどもあるのですが、Yumbo Centerというショッピングセンターがゲイバーやハッテン場が集まっているスゴイ施設になっています。そんなゲイの楽園・マスパロマスを舞台に、シニアなゲイがハッテンしたり自由に老後を楽しむ様を描いた映画なのかと思いきや、予告編を見ると(あと、こちらのサイトに書かれたプロットを読むと)、マスパロマスで自由を謳歌していたビセンテは、ある日突然、昏睡状態に陥り、意識が戻った時には故郷のサン・セバスチャンの施設にいた、彼の娘がそうしたのだ、ビセンテは娘にはカムアウトしていなかったので、今さらのようにノンケのフリを始めなければいけなかった…というお話のようです(木村さんが書いていた「地獄」とは、このことでしょうね…)
ぜひ観てみたいですね。日本での公開が待たれます。
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上映中
これからの私たち ALL Shall Be Well
長年連れ添ったレズビアンカップルが、パートナーの急死によってさまざまな問題に直面する姿を描いたドラマ。『叔・叔(スク・スク)』でゲイカップルの老後問題を描いたレイ・ヨン監督が、同性愛に対する偏見が根強く残る香港の現状を見つめるとともに、深刻な住宅不足や就職難、経済格差といった社会問題も浮かび上がらせます。(レビューはこちら)
<あらすじ>
60代のレズビアンカップルのアンジーとパットは、長年支え合って生きてきた。しかしパットが急死したことで、葬儀や遺産を巡って、それまで良好な関係だったパットの親族とアンジーの間に溝が生まれてしまい…
これからの私たち ALL Shall Be Well
原題または英題:従今以後 All Shall Be Well
2024年/93分/G/香港/監督:レイ・ヨン/出演:パトラ・アウ、マギー・リー、タイ・ポー、ホイ・ソウイン、フィッシュ・リュウほか
上映中
ジョージ・マイケル 栄光の輝きと心の闇
ポップミュージック界の伝説ジョージ・マイケルの栄光と苦悩に満ちた人生をたどるドキュメンタリー映画。ワム!のマネジャーだったサイモン・ネイピア=ベルが監督を務め、ジョージ・マイケルの栄光と苦悩に満ちた人生を時系列でたどります。
<あらすじ>
1981年、18歳のジョージ・マイケルは、12歳の時からの友人であるアンドリュー・リッジリーとボップデュオ・ワム!を結成。当初契約したインナーヴィジョン・レコーズとの契約の問題でシングルが出せない状況となるが、賢く乗り切る。しかし、人気絶頂でも、ジョージ自身は幸せを感じず、1986年にはソロシングル「ディファレント・コーナー」でセクシャリティの葛藤を歌い、直後にワム!は解散を発表。1987年に発表したソロ・デビューアルバム『フェイス』はグラミー賞を受賞するが、1990年発表の「フリーダム!‘90」のMVでは、『フェイス』のキーアイテムだった革ジャンを燃やし、ポップスターのイメージから脱却。望んでいたはずの名声と引き換えに葛藤とジレンマを抱えていたジョージは、1988年のテレビのインタビューで不意打ちで同性愛者か聞かれた際は、「違うけど、誰にも関係ない」と答えていたが、1991年、ブラジル人衣装デザイナーのアンセルモ・フェレッパと運命的な出会いを果たす。幸せな日々を過ごしていたのもつかの間、治療法のない時代にアンセルモがHIV陽性になり急逝してしまった…。1993年、所属レコード会社の幹部の一人がジョージに対してゲイ差別用語を使ったといううわさを聞いて怒ったジョージは、自分のためでなく、業界全体のためにと他の業界では改善されているアーティスト個人の権利の確保のために裁判で闘う。2002年、「シュート・ザ・ドッグ」でブレア首相とブッシュ大統領を批判すると、今度はメディア王マードックとの闘いに…。そして2011年、オーストリアで肺炎にかかって危篤状態となったジョージは…。
ジョージ・マイケル 栄光の輝きと心の闇
原題または英題:The Real George Michael: Portrait of an Artist
2023年/UK/94分/監督:サイモン・ネイピア=ベル/出演:ジョージ・マイケル、アンドリュー・リッジリー、スティービー・ワンダー、スティーブン・フライ、ルーファス・ウェインライトほか
1月1日より配信
パレードへようこそ
あの名作『パレードへようこそ』がアマプラで配信開始!です。2015年の公開からもう10年も経つわけですが、いまだに『パレードへようこそ』は心の名画トップ10の上位に燦然と輝く作品です。舞台は1980年代のイギリス(まだゲイが「ヘンタイ」と罵られるような時代です)。ロンドンの都会っ子ゲイ&レズビアンと、ホモフォビアまるだしな荒くれ炭鉱夫たちとの間にまさかの「友情」が成立!という、奇跡のような、これが実話なの?とビックリするような物語。そして、セクシュアリティのこと、カミングアウトのこと、HIVのことなど、ゲイにとって大切なあらゆることが盛り込まれている、名作中の名作です。ゲラゲラ笑えてオイオイ泣けるエンタメ作品です(レビューはこちら)。まだご覧になってない方も、ひさしぶりに観てみたいと思う方もぜひ、ご覧ください。
パレードへようこそ
2014年/イギリス/監督:マシュー・ウォーカス/出演:ビル・ナイ、イメルダ・スタウントン、ドミニク・ウェスト、パディ・コンシダイン、ジョージ・マッケイ、ジョセフ・ギルガン、アンドリュー・スコット、ベン・シュネッツァーほか
Amazon prime videoにて1月1日配信開始
1月9日公開
SEBASTIAN セバスチャン
『SEBASTIAN セバスチャン』はロンドンに暮らし、小説家とセックスワークの狭間で揺れる青年の姿を描いたヒューマンドラマ作品です。監督を務めたのはフィンランド出身の新人監督ミッコ・マケラ(ゲイの監督です)。この映画を撮った動機についてミッコ・マケラは「2010年頃からロンドンではセックスワークに従事する若者たちが、主体的にその職業についていることを知った。生活苦や能力の問題で仕事を選んでいるわけではない。そこが同じカテゴリーの他の作品と違う新しい視点なんだ」と語っているように、セックスワーカーたちの新しい価値観にフォーカスした映画です。主人公のマックスを演じるのは、英国映画界期待の新星ルーアリ・モリカ。「美しい容姿と繊細な感受性を併せ持つ彼は、マックスという複雑な人物をリアルかつ誠実に演じ切り、観客を圧倒的な没入感へと導く」そうです(otocotoより)
<あらすじ>
ロンドンに住み、将来を嘱望されている若い作家志望のマックス。彼はデビュー作となる長編小説をリアルなものとするために「セバスチャン」という名前で男性相手のセックスワークの世界に足を踏み入れる。職業を通して体験する未知の世界。様々なクライアントと接していくうちに、マックスとセバスチャンの境界線を次第に見失っていく。
SEBASTIAN セバスチャン
原題または英題:Sebastian
2024年/英国/110分/R18+/監督:ミッコ・マケラ/出演:ルーアリ・モリカ、ヒフトゥ・カセム、イングバル・シーグルズソン、ジョナサン・ハイド、ララ・ロッシほか
1月9日よりシネマート新宿ほかで公開
1月9日公開
CROSSING 心の交差点
第74回ベルリン国際映画祭テディ賞審査員特別賞受賞作品(※テディ賞はベルリン国際映画祭で最優秀クィア映画に贈られる賞です)。ジョージアのトランスジェンダーの少女と、彼女を支え続けた祖父との実話に着想を得、綿密なリサーチを重ねて、イスタンブールのトランスコミュニティを描き出したヒューマンドラマ作品。『ダンサー そして私たちは踊った』のレヴァン・アキンが監督を務めています。エヴリム役を実際にトランス女性であるデニズ・ドゥマンリが務め、現地のクィアコミュニティからスタッフを迎え入れて製作されました。(レビューはこちら)
<あらすじ>
ジョージアに暮らす元教師のリアは、行方不明になったトランスジェンダーの姪、テクラを探すため、テクラを知るという青年アチとともに、トルコ・イスタンブールへと旅立つ。しかし行方をくらませたテクラを見つけ出すのは想像以上に困難だった。やがてリアは、トランスジェンダーの権利のために闘う弁護士、エヴリムと出会い、彼女の助けを借りることに。なぜテクラはジョージアを離れたのか。東西の文化が溶け合うイスタンブールを舞台に、テクラを探す旅を通して、リア、アチ、エヴリム、3人の心の距離が、少しずつ近づいていく。
CROSSING 心の交差点
原題または英題:Crossing
2024年/スウェーデン・デンマーク・フランス・トルコ・ジョージア合作/106分/監督:レヴァン・アキン/出演:ムジア・アラブリ、ルーカス・カンカバ、デニズ・ドゥマンリほか
1月9日よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、アップリンク吉祥寺ほかで全国公開
1月10日〜16日 東京
『SEX』『DREAMS』『LOVE』
ロードショーの終了した映画や過去の名作を厳選して二本立てで上映する早稲田松竹で「オスロ、3つの愛の風景」が再上映されます(上映スケジュールはこちら)
ノルウェーのダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督の三部作『SEX』『DREAMS』『LOVE』。三作とも同性間の性や愛が描かれたりゲイが登場したりする作品であり、国際映画祭で高い評価を受けています。
『SEX』
『SEX』は煙突掃除を営む妻子持ちの男性2人が、とある出来事をきっかけに自分自身の「男性らしさ」について悩む異色のコメディ作で、ベルリン国際映画祭のパノラマ部門でエキュメニカル審査員賞など3部門を受賞しています。煙突掃除人の1人は、ゲイではないと言いながら「男性と初めてセックスをした」と淡々と報告し、友人が戸惑ったり、また、妻にそのことを告げたうえで「それでも好きなのは君だ」と言ったり、といったシーンが描かれているそうです。監督は「人の性の経験というのは、思っている以上に幅広くて、多様なものだと思うのです。そして、自分が属すると感じているカテゴリーが、その多様さを必ずしもすべて受け止めてくれるとは限らない。セクシュアリティというのはもっと曖昧で流動的なもので、世の中で一般的に描かれるものよりずっと多面的です」と語っています(スクリーンオンライン「第75回ベルリン国際映画祭にて最高賞<金熊賞>を受賞したダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督独占インタビュー!」より)
<あらすじ>
煙突掃除を営む妻子持ちの2人の男。1人は男性との衝動的なセックスを通じて新しい刺激を覚えるが、悪びれることなく妻にこの話をしたことで夫婦間がこじれる。もうひとりはデヴィッド・ボウイに女として意識される夢を見て、自分の人格が他人の視線によってどう形成されているのか気になり始める。良き父、良き夫として過ごしてきた2人は、この奇妙な出来事がきっかけで自らの“男らしさ”を見つめ直すようになる。
SEX
原題:Sex
2024年/ノルウェー/118分/G/監督:ダーグ・ヨハン・ハウゲルード/出演:ヤン・グンナー・ロイゼ、トルビョルン・ハール、シリ・フォルバーグ、ビルギッテ・ラーセンほか
『DREAMS』
今年の第75回ベルリン国際映画祭でノルウェー映画初となる金熊賞を受賞するという快挙を成し遂げた作品。女子高校生ヨハンネが女性教師に初恋をして、誰にも相談できない葛藤を描いた手記を綴り、その内容を見た祖母と母が衝撃を受けながらも、ヨハンネの作家としての才能に気づく…という物語です。女性どうしの恋愛がスキャンダラスではなく自然に描かれていること、三世代の女性たちの家族の会話の中に当たり前のように「父親」という男性が不在であるという点、教師と高校生との関係をめぐる倫理性が、もし男女の関係だったらもっと問われていたであろうところが、女性どうしであったために薄れているとしたら、それはそれで現代社会のある種の危険性をはらむかもしれない、といった点が興味深いと、鐙麻樹氏(北欧・国際比較文化ジャーナリスト、ノルウェー国際報道協会会員)は語っています(Yahoo!「この感情は「おかしい」のか?ノルウェー発・3つの愛が心をざわつかせる」より)
<あらすじ>
女性教師のヨハンナに初めての恋をした17歳のヨハンネは、この恋焦がれる想いや高揚を忘れないようにと自らの体験を手記にする。そしてこの気持ちを誰かに共有するため、詩人の祖母に手記を見せたことから、物語は思いもよらない展開へと進み始める。
DREAMS
原題:Drømmer
2024年/ノルウェー/110分/G/監督:ダーグ・ヨハン・ハウゲルード/出演:エラ・オーバービー、セロメ・エムネトゥ、クリスティンアネ・ダール・トルプ、アンネ・マリット・ヤコブセンほか
『LOVE』
ヴェネチア国際映画祭に出品された『LOVE』は、2人の医療従事者の物語。異性愛女性の医師・マリアンヌと、ゲイの看護師・トール。結婚を拒むマリアンヌは自由な恋愛をし、トールはマッチングアプリで一夜限りの関係を繰り返しています。恋愛に不器用な大人たちが、それぞれの本音をさらけ出しながら、さまざまな愛の形を模索し、肯定していく姿を映し出した作品です。
<あらすじ>
泌尿器科に勤める女性医師のマリアンヌとゲイの看護師のトール。共に独身でありステレオタイプな恋愛を避けている。マリアンヌはある時トールから、マッチングアプリから始まるカジュアルな恋愛の親密性を教えてもらう。興味を持ったマリアンヌは自らの恋愛の方法の可能性を探る。一方トールはフェリーで出会った男性を偶然勤務先の病院で見かけ――。
LOVE
原題:Kjærlighet
2024年製作/ノルウェー/120分/G/監督:ダーグ・ヨハン・ハウゲルード/出演:アンドレア・ブライン・フービグ、タヨ・チッタデッラ・ヤコブセン、マルテ・エンゲブリクセン、トーマス・グレスタッドほか
「オスロ、3つの愛の風景」
1月10日〜16日に早稲田松竹にて上映
1月17日公開
アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス
10年前の東京国際映画祭で拍手をもって迎えられ、観客賞と最優秀男優賞に輝いた『ダイ・ビューティフル』を憶えている方もいらっしゃることでしょう。フィリピンの「ミスコンの女王」として名を馳せたトランスジェンダーの突然の死とあまりにも美しく感動的な葬儀を描いた作品でした。その『ダイ・ビューティフル』のジュン・ロブレス・ラナが監督・脚本を手がけ、発表するやいなや国内外の映画祭で20冠近くに輝き、フィリピンでは舞台化も決定している話題作が『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』です。「死」をトリガーに「生」と「性」に鋭くメスを入れた「都会派・新感覚・会話劇」。愛する人との別れ、LGBTQ+、性加害、SNS世代の危うさなど、さまざまなテーマを盛り込みながら現代フィリピンのリアリティを描き出した作品です。(レビューはこちら)
<あらすじ>
先生、本当の僕を知りたいですか? コロナ禍。大都会マニラの老舗レストラン。著名な小説家である恋人マルコスを亡くしたばかりのフィリピノ語文学教授エリックは、教え子のランスと再会の約束をしていた。喪失感を抱えつつも、自分を慕うランスとの時間を楽しみにしていたエリック。アップルパイとダフトパンクの話題で距離を縮めてゆく二人だったが、マルコスの話をきっかけに空気は一変する。まるで“別人”のように。自分を見つめるランスの瞳の奥から、エリックはマルコスの驚くべき真実を知ることになる――
アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス
原題または英題:About Us But Not About Us
2022年/フィリピン/91分/監督・脚本:ジュン・ロブレス・ラナ/出演:ロムニック・サルメンタ、イライジャ・カンラス
2026年1月17日(土)シアター・イメージフォーラム他にて全国順次公開
1月19日〜31日上映
『エゴイスト』『同級生』『横道世之介』
2026年1月31日の営業をもって閉館する東京・池袋の映画館「シネ・リーブル池袋」が、1月16日から31日にかけて閉館興行「シネ・リーブル池袋 さよなら上映会」を開催します。これまでの感謝を込めて、洋画、邦画、アニメから幅広い作品がセレクト上映されます。「“最後までシネ・リーブル池袋らしく”をモットーに多様な作品をセレクトし、記憶に残るような鑑賞体験をお届けする上映会といたしました。当館の歩みを振り返りながら、最後のひとときを一緒にお楽しみいただければ幸いです。皆さまと笑顔でさよならを迎えられる上映会となることを願っております」とのこと。その上映作品の中に『エゴイスト』『同級生』という名作ゲイ映画や、綾野剛さん演じる加藤というゲイのキャラクターが登場する『横道世之介』が選ばれています。
『エゴイスト』
19日(月)1225-、26日(月)1340-、31日(土)1100-
『同級生』
20日(火)1710-、26日(月)1130-、31日(土)1010-
『横道世之介』
20日(火)1225-、24日(土)1240-、30日(金)1845-(監督のトークイベントあり)
1月23日〜上映
ヘアスプレー
長らくさまざまな事情により上映が叶わなかった作品を集めた特集「コケティッシュゾーン Vol.3」が1月23日からシネマート新宿で開催されます。ラインナップされたのは3作品で、その中の1作が、伝説のドラァグクイーン、ディヴァインが出演した(遺作となった)オリジナル版の『ヘアスプレー』です。
巨体と巨悪(他に類を見ない凶々しさ)でその名を永遠のものにしている伝説のドラァグクイーン、ディヴァインは、ゲイの映画監督ジョン・ウォーターズと意気投合し、1968年からジョン・ウォーターズ作品に出演してきました。至上最低の悪趣味映画として名高い1972年の『ピンク・フラミンゴ』では「世界で一番下品な人間」の座を争い、犬のウンコを食べるという強烈な演技を見せ、世紀のカルト・スターとなりました。そして1988年、ジョン・ウォーターズ初のメジャー作品『ヘアスプレー』に出演した後、心肥大で亡くなりました。ニッキー・ブロンスキーが主演し、ザック・エフロンが相手役をつとめ、ジョン・トラボルタがエドナ(巨体のママ)を演じた2007年の『ヘアスプレー』はきっと多くの方がご覧になったと思いますが、このオリジナルの『ヘアスプレー』はほとんど「幻」に近かったと思います。1989年に日本でも公開されたようですが、その後、「長らくさまざまな事情により上映が叶わなかった作品」となっていたのです。今こそ、この伝説の映画を映画館で観るチャンスです。ようやくこの時が訪れたか…と感慨を覚える方もいらっしゃるかもしれません。ぜひみんなで伝説のディヴァインの素晴らしさを堪能しにシネマート新宿に出かけましょう!
<あらすじ>
1962年、ボルチモア。ダンスとファッションが大好きな明るい少女トレイシー・ターバラッドは、地元の人気テレビ番組「コーニー・コリンズ・ショー」に出演することを夢見ている。ひょんなことから番組のオーディションに合格し、一躍注目の的に。しかし、その華やかな舞台裏には人種差別と偏見の壁が立ちはだかっていた。トレイシーは黒人ダンサーたちと手を取り合い、番組の統合を訴えるために立ち上がる。
ヘアスプレー
1988年/米国/92分/監督・脚本:ジョン・ウォーターズ/出演:リッキー・レイク、ディヴァイン、ソニー・ボノ、ルース・ブラウンほか
1月28日より配信
52ヘルツのクジラたち
2021年に本屋大賞を受賞した町田そのこさんのベストセラー小説「52ヘルツのクジラたち」が映画化されました。クジラの鳴き声はそのほとんどが10~39ヘルツなのですが、稀に52ヘルツという高い周波数で鳴くクジラがいて、他のクジラにはその鳴き声が聞こえないため「世界で最も孤独なクジラ」と呼ばれているんだそう。『52ヘルツのクジラたち』は、孤独なクジラのように、心の中で誰にも届かない叫び声を上げ続けている人々を描いた作品です。こちらの記事にもあるように、主人公の貴瑚の声なきSOSを聴き取り、絶望の淵から救い出してくれた“アンさん”こと安吾はトランス男性です。アンさんを演じるのが『女子的生活』でトランス女性役を経験している志尊淳さん。そして当事者の俳優・若林佑麻さんが監修に入っています。2024年に劇場公開され、今回、アマプラに入ることになりました。
<あらすじ>
自分の人生を家族に搾取されて生きてきた女性・三島貴瑚。ある痛みを抱えて東京から海辺の街の一軒家へ引っ越してきた彼女は、そこで母親から「ムシ」と呼ばれて虐待される、声を発することのできない少年と出会う。貴瑚は少年との交流を通し、かつて自分の声なきSOSに気づいて救い出してくれたアンさんとの日々を思い起こしていく…。
52ヘルツのクジラたち
2024年/日本/原作:町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社刊)/監督:成島出/出演:杉咲花、志尊淳、宮沢氷魚、小野花梨、桑名桃李、余貴美子、倍賞美津子ほか
Amazon prime videoにて28日より配信
1月30日公開
クイーンダム/誕生
LGBTQ+への弾圧が激しさを増すロシアで、逮捕、嫌がらせ、社会からの排除——全てを背負い、恐怖と絶望に抗う孤高のクイーン、ジェナ・マービンの姿を追ったドキュメンタリー映画『クイーンダム/誕生』。映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で批評家支持率100%という驚異的なスコアを記録し、「息を呑むほど美しい」「途方もない勇気の作品」「痛烈で生々しい」「最高のドキュメンタリー」と圧倒的な称賛を浴びています。監督のアグニア・ガルダノヴァはロシア各地のドラァグクイーンたちを追う映画を撮ろうとして、初めの頃にジェナと出会い、その類まれな芸術性と、ロシアという抑圧的な社会の中で真の自分を貫く勇気に深く心を動かされ、ジェナだけを追ったドキュメンタリーを製作することにしたんだそう。プロデューサーは、『チェチェンへようこそ ―ゲイの粛清―』の共同プロデューサーを務めたイゴール・ミャコチンです。
<概要>
モスクワから約1万キロ離れた極寒の田舎町マガダンで祖父母に育てられた21歳のジェナ・マービンは、幼い頃から自身がクィアであることを認識しており、保守的な町で暴力や差別の標的にされてきた。その痛みやトラウマをアートへと昇華させたジェナの芸術性はSNSで支持を集め、またたく間に脚光を浴びる。ジェナは過激で独特な衣装をまとい、無言のパフォーマンスを通して、ウクライナ侵攻への反対や、LGBTQ+の活動を禁止する法律と政治、社会に対する反抗的な姿勢を示す。現在のロシアでは命を危険にさらす行為だが、それでもジェナは自らの存在をかけて抗議を続け、社会の無関心と差別に一石を投じている。
クイーンダム/誕生
原題または英題:Queendom
2023年/フランス・アメリカ合作/91分/監督:アグニア・ガルダノヴァ/出演:ジェナ・マービン
1月31日公開
水の中で息をする ―彼女でも彼でもなく―
牡蠣の生態を通して環境やジェンダーをめぐる問題を映し出す作品です。牡蠣は実は(クマノミなどもそうですが)繁殖のために性を転換する=性別を固定していないという特質を持つ生物で、そのことがこの映画の重要なテーマの一つになっています。ちなみに監督のエミリー・パッカーはノンバイナリーで、牡蠣の性のあり方に着目し、人類のジェンダーをめぐる問題も提示しているんだそう。フィクショナルなシーンや映像資料も取り入れた、ユニークなドキュメンタリーです。
<概要>
かつてニューヨーク港には世界の牡蠣の半分が⽣息していたが、乱獲によりその数は激減した。しかし今、ニューヨーク市民により牡蠣を港に戻す活動が行われている。牡蠣は呼吸することで⽔を濾過し、牡蠣礁が小魚たちの住処になるとあって、環境再生手段の一つとして評価されているのだ。
水の中で息をする ―彼女でも彼でもなく―
原題:Holding Back the Tide
2023年/米国/77分/監督:エミリー・パッカー
INDEX
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