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特集:30周年を迎える札幌のパレード
1996年という早い時期に地方都市として初のプライドパレードを開催した札幌のコミュニティ。いろいろあって主催団体も変わりましたが、パレードは今年でめでたく30周年を迎えます。この30年を簡単に振り返りつつ、9月26日(土)・27日(日)に開催されるさっぽろレインボープライドの情報をお届けします

こちらのニュースでもお伝えしたように、札幌で1996年6月に地方都市としては初めてのプライドパレードが開催されて以来、今年で30周年を迎えます。さっぽろレインボープライドの今年の開催日程は9月26日(土)・27日(日)です。さっぽろレインボープライドがシルバーウィーク以外の週に開催されるのはひさしぶりです(2018年の第1回が10月7日、2020年が9月12日でした)。この特集では、札幌のパレードの素晴らしい30年を簡振り返りつつ、さっぽろレインボープライドの情報をお届けします。
(後藤純一)
札幌のプライドパレードの30年史
札幌での第1回のパレードは、1996年6月30日に大通公園西6丁目広場→すすきの→中島公園というコースで開催され、約200名が参加しました。主催したのは札幌ミーティングという団体です。(東京で南定四郎さんがやると言ったときと同様)初めは内部でも後ろ向きな反応があったものの、若手の高松尚志さんの強い意志で開催が実現したそうです。なお、初回は警察官とぶつかる場面もあったそうです。
第2回のパレードは、1997年6月29日に開催され、約280名が参加しました。東京からUPPER CAMP(ブルボンヌさん率いるお笑い系貧乏女装集団)のドラァグクイーンたちが参加し、前夜祭でショーを披露するなどしましたが(なお、その際、札幌のルチアーノさんが「スリラー」に乗ってフロアに納豆を撒くという本気で恐ろしいショーをやり、最前列にいた観客が蜘蛛の子を散らすように逃げたという伝説があります)、パレード当日は小雨模様で肌寒く、終点の中島公園で薄着のクイーンたちはブルブル震え、ルチアーノさんの巨大なスカートの中にコタツのように入って暖をとりました。このエピソードは関根信一さんの作品『わたしとわたし、ぼくとぼく』にも採用されました。
というように、札幌のパレードは初期の頃からいろいろとスゴい、先進的だったり“常識”破りなところもあり、魅力的でした。
1998年の第3回は8月23日に、1999年の第4回は9月19日に開催され、この時から9月開催が恒例になりました(なお、この時から名称が「レインボーマーチ」となりました)
1999年は歴史的な回で、ARATAさんとM☆Naruseさんによって日本初の本格的な(海外のような)DJフロートが出走し、東京では使えない4tの巨大なトラックに大勢のクイーンやGOGOが乗って派手に楽しく行進し、日本のパレード史を塗り替えるとともに、それまでパレードに懐疑的だった地元の当事者の意識を変えたとも言われています(ゲイバーの方たちがその次の回からフロートを出すようになりました)。また、アフター集会のステージで砂川秀樹さんが2000年の東京でのパレード開催を発表し、参加者を驚かせました。また、私の記憶では、当時としてはスゴいことだったと思うのですが、HIV陽性であることを公にしてスピーチする方もいらっしゃいました。(さらに、同じステージで、パレードを全身全霊で盛り上げた肉乃小路ニクヨさんがUPPER CAMPのスローガンとして「場末、貧乏、ブス」の「3B政策」を発表し、会場を爆笑の渦に巻き込みました)
2000年は東京で4年ぶりに本格的なパレードが開催されるということで、札幌は一回お休みし、第5回は2001年9月16日に開催されました。このときは、クイーンやGOGOが乗った大きなフロートが何台も出てド派手になっただけでなく、日本で初めてレインボー風船のバルーンリリースが行なわれました(市内中心部、PARCOや4丁目プラザの辺りで)。クラブパーティもたいへんな盛り上がりを見せました。地方都市としては珍しく、札幌では早くからたくさんのドラァグクイーンが現れ、パレードやパーティを盛り上げました(2004年か05年に札幌で『バディ』主催の座談会をやった際、クラブイベントをオーガナイズしているケンタさんが、ドラァグクイーンにプライドやパレードの意味を教育しているという話を聞いて、スゴい!と思いました)
2003年、日本のLGBTQ史に残る、記念碑的な出来事が起こりました。テレビ塔下広場で開催されたパレード集会に現職の首長でありしかも札幌という政令指定都市の市長である上田文雄市長が登場し、「札幌市民を代表して皆様を歓迎します」から始まる素晴らしいスピーチを行なったのです。話し終えると、自然と参加者たちが立ち上がり、スタンディングオベーションが起こりました。涙している方もいらっしゃいました。本当に感動的な瞬間でした。その後も上田市長は毎年、パレードに足を運んでくださいました(来られない時もメッセージを送り、市の方が代読していました)
2006年には(実はビューティフル・ジュエリーズというドラァグ・ユニットの一人であった)ゲイの息子さんを自死で亡くしたお母様である西沢和子さんが、パレードの当日、親の会のブースで参加者のためにおにぎりを握ってくれて、パレード後の集会で「みんな私のかわいい息子です」と語り、参加者を号泣させました。西沢さんはその後もずっと、「レインボーファミリーカフェ」など親の会のイベントでパレード参加者のためにおにぎりを握ってくれています。
2009年には石川大我さんの働きかけで札幌のシンボル・さっぽろテレビ塔がレインボーカラーにライトアップされました(街のシンボルがレインボーカラーにライトアップというのも札幌が初でした)





2000年代、札幌のレインボーマーチは、東京でパレードが行われなかった年にも開催され、日本のパレードの灯が消えないよう守ってくれました。それだけでなく、数々の「日本初」を実現し、数々の感動を呼び、奇跡的な出来事を成し遂げ、輝かしい歴史を刻んできました。
まだパレードが東京と札幌でしか開催されていなかった2000年代前半、交通事情であまり大きなフロートが出せない東京と違って4tトラックに大勢のクイーンやGOGOが乗って盛り上げ、のびのび自由に歩ける札幌のパレードは(六尺で歩いてる方とかもいました)、クラブパーティの圧倒的な盛り上がりや、札幌ならではの楽しさがある多彩なゲイバー、9月の旅行に最適な札幌の街の魅力なども相まって、全国から毎年何百人ものゲイたちが訪れる人気イベントになっていました。近ツーなどのツアーも組まれましたし、『バディ』も(社長の平井さんの熱意で)社をあげて応援していました(この時代、一般企業の協賛は皆無で、パレードは『バディ』などのゲイ雑誌や『ルミエール』などのショップ、地元のゲイバーやショーパブなどの協賛によって支えられていました)
「DUNGAREE」や「MAD」などのゲイバーが合同でフロートを出して盛り上げていたのも、札幌のパレードの魅力の一つでした。そうしたゲイバーが独自にBEAR系イベントを開催したりもしていました(台北のパレードも2000年代は「Funky」のようなゲイバーや「Aniky」サウナなどのフロートがメインで、札幌に近いものがありました)
私は参加できなかったのですが、パレードの翌日、実行委員会主催で温泉ツアーなども開催され、人気イベントになっていたと思います。
振り返ってみると、リブ的なものとクラブ的なものと二丁目的なものが理想的なかたちで協働し、他地域からも大勢集まるような(それこそ台北のような)楽しさも感動も味わえる素晴らしいパレードが実現していたのは、札幌のコミュニティが生んだ奇跡だったと思います。(『バディ』時代は朝早く起きてフロートの準備をするのがつらかった部分もありましたが)本当にいい思い出です。
レインボーマーチ札幌は(それまで札幌ミーティングの古株の方たちが交代で実行委員を務めていましたが、10回目を機に)世代交代して新しい風を取り入れたりもしつつ、頑張って続けられましたが、残念ながら2013年にファイナルを迎えました。
その後、札幌のコミュニテイは同性パートナーシップ証明制度の実現を目指す団体を立ち上げ、反対にあったりしながらも無事に認められることになり、2017年6月に制度がスタートしました。そして同年秋、全く新しい実行委員の方々が「さっぽろレインボーマーチ+」を開催し、2018年、LGBTQや多くのアライの方々による参加型の活動として実行委員会が結成され、10月7日(日)に「さっぽろレインボープライド」が開催され、今へと至っています。
30周年を迎える今年のパレード
札幌のプライドパレードを振り返ってみると、レインボーマーチ札幌時代から(最初の数回は6月開催でしたが)9月のシルバーウィークに関連されるのが恒例となってきました。もともと台風が来ることもめったになく、過ごしやすい気候で美味しい食べ物も味わえるシルバーウィークは北海道旅行に最適で、旅行も兼ねて各地から人々が札幌を訪れ、3日間をフルに楽しむのが恒例となっていました。札幌はシルバーウィークを過ぎると急に気温が下がることが多いとも言われていて、そういう意味でもシルバーウィークの開催がベストだったように思われます。しかし、ただでさえ旅行客が多い連休で、市内のホテルも飛行機代も値上がりが激しく、近年は費用面で札幌行きをあきらめる方も目立っていました(一昨年から岐阜市では、シルバーウィークの札幌は航空券もホテル代も軒並み高く、行くのは厳しい…でも、行けないなら岐阜から札幌へ連帯することにしよう!という趣旨でプライドウォークが開催されています)
30周年を迎える今年は、5連休の(例年以上に旅行客が殺到しそうな)シルバーウィークではなく、その翌週の26日(土)・27日(日)に開催されます。比較的旅費が安くなるため、全国から30周年のお祝いに駆けつける方が増えそうです(g-lad xxでもひさしぶりに取材を予定しています)。地球温暖化の影響もあり、9月末でもさほど寒くならないのではないかと予想されます。
かつてレインボーマーチ札幌を楽しんだみなさんも、今年は札幌のパレードの30周年を祝いにお出かけしてみてはいかがでしょうか?
というわけで、さっぽろレインボープライドの概要をお伝えします。
今年も歩行者天国の南1条通りが「レインボーストリート」となり、2日間にわたって開催されます。
ブースがたくさん出展され、道内のさまざまな団体やお店、自治体、Marriage For All Japanなどの団体のほか、レインボーアクセサリーの「niji-depot」、ドラァグクイーンの「ハウスオブ外食」、資生堂、JAL、ANA新千歳空港、指輪を作れるショップなど、楽しそうなブースがいろいろありますし、キッチンカーもたくさん出ます(個人的には「鮭まぶしおむすび」とか「札幌たこ焼き」が気になります)
ステージでは、満島てる子さんやGOGOのGABUさんがMCを務め、ドリアンさんや札幌のクイーンさん、新宿エイサー新虹、虹組ファイツ、Pride Choir Tokyo、さつきぽん with ねこねこダンサーズなどのみなさんがパフォーマンスを披露します。
パレードは大通公園から時計台、赤れんがテラスを回る約3kmのコースで、6つのフロートに分かれて行進します。レインボーなグッズを身につけたりして、札幌の街をカラフルに歩きましょう。レインボーストリートに戻ったら最後のステージパフォーマンス(ドラァグショー)があり、バルーンリリースならぬバブルリリースでフィナーレを迎えます。
さっぽろレインボープライド2026
日程:9月26日(土)・27日(日)12:30-16:30
会場:レインボーストリート(札幌市中央区南1条通り西2丁目、3丁目 南1条通歩行者天国)

関連イベント
◼︎街路灯レインボーフラッグ
今年も駅前通りの街路灯にさっぽろレインボープライドのレインボーフラッグが設置されています。
⠀期間中ずっと(10/1まで)ありますので、駅前通りを通った際は、ぜひ見てみてくださいね!
⠀
◼︎さっぽろテレビ塔レインボーイルミネーション
さっぽろレインボープライド当日の夜、さっぽろテレビ塔がレインボーカラーにライトアップされます。札幌市が主催です!(素晴らしい)
日時:9月26日(土)、27日(日)18:00-20:00
◼︎公式アフターパーティ「CHANGE!」
プライド終了後、2日目(日曜)の夜に公式アフターパーティ「CHANGE!」が開催されます。
日時:9月27日(日)19:00-25:00
会場:スーパースナック(札幌市中央区南5条西2丁目サイバーシティビル13階)
料金:パレード割(パレード参加時のリストバンド着用)4,000円/1d、レインボー割(レインボーアイテム着用)4,500円/1d、当日(Door)5,000円/1d
◼︎レインボーファミリーカフェinさっぽろレインボープライド 2026スペシャルカフェ
2009年から始まり、LGBTQのお子さんを持つ親御さんとのコミュニケーションスペースとしてたくさんの笑顔に寄り添ってきたレインボーファミリーカフェも今年で17回目を迎えます。今年は30回目の札幌のパレードを記念して多様性をテーマに新たな形式で開催します!
日時:9月27日(日)16:00-21:00
会場:Cafe & Barおぱぁる
対象:LGBTQ(かもしれない)ご家族様、さっぽろレインボープライドに参加される方、アライの方
主催:レインボーファミリー札幌
◼︎LGBTのためのエイズ検査会
ゲイ・バイセクシュアル男性を中心としたLGBTQの方を対象に、無料・匿名(予約制)のHIV即日検査を行ないます。ご希望であれば梅毒検査も無料で受けられます。
日時:9月27日(日)9:30-11:30 13:30-15:30
会場:札幌市白石保健センター
対象:ゲイ・バイセクシュアル男性を中心としたLGBTQの方
定員:午前40名 午後40名 合計80名
無料
主催:札幌市保健所
協力:NPO法人レッドリボンさっぽろ
◼︎お休み処あっぷでいと
会場では飲み物やお菓子、わたあめ等を提供するほか、来場者どうしの交流、HIV/AIDSに関する展示などを行ないます。スタッフと気軽に話せる雰囲気で、ゆったり過ごせますよ。参加無料! お気軽にお越しください。
日時:9月26日(土)13:00-19:00
会場:あいあい会議室
定員:15名
無料
対象:どなたでも
主催:一般社団法人にじいろほっかいどう、NPO法人レッドリボンさっぽろ 
INDEX
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- レポート:「OPULENCE」vol.5@Zepp Namba
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- レポート:レインボーフェスタ!2024(1)
- レポート:金沢プライドウィーク(2)金沢プライドパレード
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