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1990年代のパリでエイズと闘いながら、愛しあい、力強く生きたゲイの若者たちの輝きを描いた映画『BPM』が、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞

2017年06月06日

 先月開催された第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で、1990年代のエイズとの闘いやゲイの若者たちの恋と人生の輝きを描いたフランス映画『BPM(Beats Per Minute)』が、グランプリ※と国際批評家連盟賞をダブル受賞し、また、クィアパルム賞にも輝きました。

※カンヌ国際映画祭では、大賞がパルムドール、次点がグランプリと呼ばれています。ちなみに昨年のカンヌ国際映画祭のグランプリは、グザヴィエ・ドランの『たかが世界の終わり』でしたので、2年連続でゲイ映画がグランプリを獲得したことになります。なお、クィアパルムは、ベルリン国際映画祭のテディ賞のように、セクシュアルマイノリティ作品に対して贈られる賞です。
 
 『BPM』は、1990年代初頭のパリで、HIV陽性者への差別や不当な扱いに抗議し、政府や製薬会社などの変革に挑んだ実在の団体「ACT UP(the AIDS Coalition to Unleash Power)」の活動を通して、若者たちの恋と人生の輝きを描いた作品です。「ACT UP」の元メンバーで、今作のメガホンをとったロバン・カンピヨ監督が、自身の実体験に基づき、当時のゲイコミュニティを描きだしています。明日も知れぬ命を抱える主人公の葛藤、感染者を1人でも減らしたい、友人の命を助けたいという情熱、限られた時間の中で愛しあう恋人たち…。生と死、理想と現実の狭間で揺れ動きながらも、強く生きる若者たち。彼らの生き生きとした表情や行動が、力強くエモーショナルな映像と共に綴られます。(「ACT UP」については、映画『UNITED IN ANGER –ACT UPの歴史-』をご覧になり、ご存じの方もいらっしゃると思います)
 
 カンピヨ監督は受賞スピーチで「この作品はエイズで亡くなられた方へのオマージュであるとともに、頑張って生きている方々を勇気づけるものでもあります。勇気を持って闘い続けている人、当時命を懸けて(ACT UPの)活動を行っていた人を思い、この作品を作りました」と語りました。
 その後の会見では、「とてもパーソナルな内容である本作を作るにあたり、感情的にならないように必死だった」と撮影当時を振り返る場面も。監督は当時、エイズ治療薬を提供しないフランスの製薬会社をめぐってミッテラン政権と闘った経験もあるそうです。「この時代を生きるヒーローを描きたかったんだ。10年間もこの感染症に堪えなければならず、世間に被害者として見られ、急に“病んでいるホモセクシュアル”と見なされながらも、何人もの命を救う行動を起こしたことは、英雄的だったと思う」

 カンヌの下馬評では、各誌が軒並み高評価をつけており、パルムドールやグランプリと予想していた媒体も多く、今回のカンヌで最も注目を浴びた作品だったそうです。
 熱心なLGBT活動家でもあるペドロ・アルモドバル審査委員長は、記者会見で「『BPM』がパルム・ドールを受賞しなくて悔しかったか?」と聞かれ、「映画は素晴らしかった。最初から最後まで心を打たれたよ。でも審査は民主的な方法で行われた。いま言えるのはこれだけだ」と答え、涙を流し、「ロバン・カンピヨ監督の作品は、我々(審査員)の大多数が気に入っていた。きっとどの国でも成功を収めるだろう。ストーリーは何年も前に起こったことであり、これはLGBTの人々によって伝えられるべきだ。不公平な世の中について語っていて、何人もの命を救った本物のヒーローたちをカンピヨ監督は描いてくれた。それには私たちも共感している」と語りました。

 映画『BPM』は年内に日本でも公開される予定です。日程の発表を楽しみに待ちましょう。

   なお、今年9月には、『あしたは最高のはじまり』という映画が公開されます。コートダジュールで毎日をバカンスのように楽しんでいたプレイボーイの前に突然、女性が現れ、「あなたの娘よ」と告げて赤ちゃんを預けたまま姿を消してしまい、ゲイの友人(クマ系です)と男手ふたつで育児に大奮闘、しかし8年後、あの女性が再び現れ…という、笑いと感動の作品だそうです。こちらも要注目です!
 
 

P・アルモドバル絶賛のカンヌグランプリ『BPM』年内公開へ(cinemacafe.net)
http://www.cinemacafe.net/article/2017/05/31/49837.html

カンヌ映画祭グランプリ受賞、差別と闘った若者たち描く「BPM」日本公開決定!(映画.com ニュース)
http://eiga.com/news/20170531/7/

第70回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作『BPM (Beats Per Minute)』日本公開決定(シネマトリビューン)
http://cinetri.jp/news/bpm_rls/

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