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マニラ市がLGBTQ差別禁止条例の施行を記念してレインボーカラーの横断歩道を設置しました

2020年12月11日

 フィリピンの首都・マニラ市が、LGBTQ差別禁止条例の施行を記念してレインボーカーラの横断歩道を設置しました。市長はLGBTQコミュニティのメンバーと一緒にレインボーフラッグを持って横断歩道を歩き、「マニラ市は全ての人を歓迎します」とコメントしました。

 
 マニラ市のイスコ・モレノ・ドマゴソ市長は12月9日、「マニラ市は全ての人を歓迎します」「みなさん、反差別条例が施行されました #LoveWins」とのコメントとともに、ロハス大通りのレインボーカラーの横断歩道の画像をTwitterに投稿しました。続けて、マニラのLGBTQコミュニティのメンバーと一緒に市長が大きなレインボーフラッグを持って横断歩道を歩いている画像も投稿されました。
 
 BuzzFeedの記事によると、この反差別条例は、職場や学校、医療機関、地域においてLGBTQに対する差別的な言動や暴力、ハラスメントなどを禁じるもので、違反者には罰金や禁固の刑が科せられます。アパートや寮の契約、ホテルへの宿泊、職場での採用活動や昇進、学校への受験、進学などにおいて、ジェンダーやセクシュアリティを理由にその人を拒否したり差別することは許されないと定められています。
 市長は条例の施行に際し、「小さな一歩かもしれませんが、この条例によって、マニラ市では差別は許されないのだということを知ってほしい」と語っています。

 今回マニラ市で施行された条例は、フィリピン国内でも画期的なものだとして話題になっているそうです。その背景には、LGBTQが置かれている状況のシビアさがあります。
 LGBTQに寛容なイメージがあるフィリピンですが、国民の8割以上がカトリック教徒ということもあり、ホモフォビアやトランスフォビアは根強いものがあります。トランスジェンダー女性などを標的にしたヘイトクライム(殺人事件や暴力事件)も頻発しているそうです(映画『ダイ・ビューティフル』でも、主人公が高校で暴行を受けるシーンが描かれています)
 
 一方で、フィリピンでは1990年代からゲイ解放運動が盛んになり、マニラでは1994年からプライドパレードが開催されるようになり、昨年は7万人が参加して東南アジア最大規模になっています。2016年の下院選挙ではフィリピン初のトランスジェンダーの国会議員も誕生しました。昨年は国会に同性パートナーシップ法案も提出されるというニュースもありました。
 フィリピンの国会では現在、(20年前から何度も国会に提出され、そのたびに却下されてきた)SOGIESCに基づく差別(LGBTQ差別)を禁止する法案が審議されています。マニラのプライドにも毎年のように参加しているリサ・ホンティベロス上院議員がこの法案を提出し、成立を目指して働きかけていますが、カトリック教会や保守派議員たちの反対に阻まれています。つい先日、上院のジェンダー平等委員会では採択されましたが、上院議長は「国会での採択はありえない」と述べているそうです(詳細はこちら
 
 日本でもなかなかLGBTQ差別禁止法ができない現状がありますが(先日、LGBTQ平等法の制定を求めるキャンペーンが始まりました)、1994年にパレードが始まったことといい、ドラァグクイーンがTVで活躍しているところといい、どこかフィリピンと似たところがあるかもしれません。今は台湾や韓国やタイほどには交流はないかもしれませんが、いつかフィリピンのLGBTQコミュニティともつながりを深める機会があるといいですね。


参考記事:
大通りに現れたのは…レインボーの横断歩道!「全ての人を歓迎します」市長が虹色の旗を手に歩いた理由(BuzzFeed)
https://www.buzzfeed.com/jp/sumirekotomita/rainbow-street-manila

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