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結婚後ゲイと自覚したお父さんと、そんなお父さんを受け容れ、今はゲイバー飲みにもつきあってくれるという息子さんのお話が東京新聞に掲載されています

2020年09月25日

 小吹文貴さんは、20歳の誕生日をゲイバーで迎えました。文貴さん自身がゲイなのではなく、父親の小吹文紀さん(49歳)が「自分がお世話になった店で息子を祝いたくて」と言って、二丁目や上野のゲイバーを10軒もハシゴしたんだそうです。東京新聞に掲載されて、Twitterなどでも「素敵な親子!」と反響が上がっているストーリーをご紹介します。

 小吹文紀さんは結婚前、男女ともに交際経験がありました。女性と結婚し、文貴さんが生まれましたが、結婚生活は長くは続かず、文貴さんが3歳の時、父子家庭になりました。文紀さんのセクシュアリティは当時、「L、G、B、Tのどの枠にも当てはまらない感じ」だったそうですが、今はゲイと自認しているそうです。
 物心ついた文貴さんは「うちは周りとは違うな」と気づきつつも、「それがなんだ」と思っていたそうです。思春期になり、父親の文紀さんがLGBTQ支援の活動を始めた後も、ゲイだと直接聞いたことはなく、「父は父。セクシュアリティは単なる事実。もし友達や周りの人がそれで離れていったら、それまで」と思っていたそうです(本当によくできた息子さん…感涙)
 文紀さんは江戸川区で、両親と同居しながら文貴さんを育てました。父子家庭であることを理由に息子が嫌な思いをすることがないよう、学校行事には必ず参加したそうです。「息子の同級生の人気者になろうって頑張りました」
 「イクメン」という言葉もなかった時代、子育てで早めに帰宅すると、職場で「使えないやつ」と言われたりしたそうです。一方、ゲイコミュニティでは、子どもがいることで疎外感も味わったそうです。
 4年前、保険業界に転職しましたが、勤務先の損害保険会社が配偶者の規定に同性パートナーを含める施策を実施し、喜んでくれる当事者のお客さんを間近で見て、「仕組みを変えることで楽になる人がいる」と実感、自分自身も「ふっと体が軽くなった」ように感じたそうです。
 そうした経験から、職場があった豊島区でLGBT支援団体「レインボーとしまの会」をつくり、区の男女平等推進センター運営委員としても、性的マイノリティ差別を禁止する条例の制定にこだわったといいます。
 一昨年、保険代理店に移り、レインボー・リール東京でブースを出展したりという形でLGBTQコミュニティ支援に携わってきましたが、今年5月、同性パートナーを受取人にする手続きを簡単にし、HIV陽性者や性同一性障害者も加入できる「パートナー共済」の募集を始めました。
 このようなお父さんの仕事や活動を見て、文貴さんは「性別やゲイかどうかなんて概念が邪魔しない社会になってほしい」と語っています。
 コロナ禍で以前より頻繁には行けないものの、文貴さんは毎月、ゲイの父に付き合い、ゲイバーに飲みに行っているそうです。「育ててくれた感謝を返すのは、当たり前だから」


 世の中には子どもがいるゲイ(やバイセクシュアル男性)の方もたくさんいらっしゃいますが、このように、お子さんが、父親がゲイであるということを(グレたりせず)まっすぐに受け止め、全面的に受け容れ、さらにはゲイバー飲みにまでつきあってくれるなんて…本当に素晴らしいです。ちょっとうまく言えないですが、とても感動しました…(お二人とも実名・顔出しで登場していることの勇気にも敬意を表します)。飲みに行くのもちょっと気がひけるご時世ではありますし、行く店も違うでしょうが、いつか、もしゲイバーでこの素敵なお父さん&息子さんにお会いしたら、一杯ご馳走してさしあげたい気持ちです。


 
参考記事:
一人親で育ててくれたゲイの父に感謝<かぞくのカタチ㊦>(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/57536

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