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バイデン大統領が初日に行なったトランスジェンダー・ノンバイナリーのための施策とは?

2021年01月23日

 1月20日、大統領就任式が行われた後、バイデン大統領は早速LGBTQ差別禁止の大統領令に署名し、賞賛を浴びましたが、もう一つ、素晴らしい出来事が初日に起こっていました。ホワイトハウス公式サイトがノンバイナリー(Xジェンダー)の方を尊重するようにアップデートされていたのです。


 ホワイトハウス公式サイトの問い合わせフォームでは、送り主に返信する際、何と敬称をつけたらよいか指定してもらうために敬称欄が設けてあり、これまではMr.やMs.やMrs.という性別を限定する選択肢しかありませんでしたが、Mx.(ミクス)が追加され、ノンバイナリーの方なども選びやすくなりました。同様に、プロナウン(代名詞)※についても、she/her、he/him に加えて、they/them(ノンバイナリーの方はtheyを使うことが多くなっています)が追加されました。
 トランプ前大統領は就任直後にホワイトハウスの公式サイトからLGBTに関する記述を削除しましたが、それとは対照的です。この変化は、トランスジェンダーへの抑圧、攻撃を繰り返してきたトランプ政権の姿勢からの180度の転換を象徴するもので、LGBTQコミュニティに歓迎されています。
 GLAADのサラ・ケイト・エリスCEOは、「バイデン政権は初日に、トランス、ノンバイナリー、ジェンダーノンコンフォーミングな人々の会話におけるインクルージョン(包摂)を実現するための第一歩を直ちに踏み出しました。プロナウンは重要なことです。インクルーシヴなプロナウンを問い合わせ欄に入れることは、アライであることを示す以上の価値があります。私たちのプロナウンを認めて尊重することは、私たちにとって、そしてとくにLGBTQ+の若者にとって、多くの利点があることをこれまでの調査が示しています」と述べています。

※プロナウン(代名詞)
海外のゲイの方のアカウントをフォローしている方は、プロフィール欄に「he/him」と書かれているのを見たことがあったりすると思います。海外ではここ数年、トランスジェンダーやノンバイナリーの方が自分が正しい代名詞で呼んでもらえる/相手が正しい代名詞で呼べるようにするためというだけでなく、代名詞は他人が勝手に推測すべきものではないという考え方が広く浸透するようにという意味合いで、シスジェンダーであってもプロフィールに「he/him」とか「she/her」と書こうという運動が急激に広まっているのです(詳しくはフロントロウ「海外で増えている!SNSやメールに「代名詞/プロナウン」を記載することの社会的インパクト」をご覧ください)

 バイデン大統領が署名したLGBTQ差別禁止の大統領令には、トランプ政権が覆そうとしたオバマケアにおけるLGBTQ差別禁止条項(病院でのLGBTQに対する診療拒否や、保険会社によるトランスジェンダーの加入拒否を禁じる)の確証が含まれていました。トランスジェンダーの人々にとって、ホルモン療法や性別適合手術に保険が適用されるかどうかは重大な問題で、バイデン政権がこれを保証したことは、トランスジェンダーのレイチェル・レヴィン氏を米連邦保健福祉省次官補に任命したこととあわせて、拍手モノの対応です。
 近く、トランプ政権によるトランスジェンダー従軍禁止措置も撤回される見通しです。
(なお、医療におけるトランスジェンダー保護の話については、VOGUE JAPAN「バイデン政権誕生で、医療のジェンダー平等は実現されるのか。【ジェンダー視点で見る、トランプ時代の分断】」にとても詳しく書かれていますので、ぜひご覧ください)

 
 
参考記事:
White House website offers gender-neutral pronouns and title Mx as it gets post-Trump makeover(Mail Online)
https://www.dailymail.co.uk/news/article-9172885/White-House-website-adds-gender-neutral-pronouns-Biden-meets-LGBT-demands.html

ホワイトハウス公式HPに変化、バイデン新大統領の就任後すぐ(フロントロウ)
https://front-row.jp/_ct/17426633

海外で増えている!SNSやメールに「代名詞/プロナウン」を記載することの社会的インパクト(フロントロウ)
https://front-row.jp/_ct/17420185

バイデン政権誕生で、医療のジェンダー平等は実現されるのか。【ジェンダー視点で見る、トランプ時代の分断】(VOGUE JAPAN)
https://www.vogue.co.jp/change/article/a-historic-gender-gap-2

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