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三重県の同性パートナーシップ証明制度の要綱案が示され、公正証書証明書の交付も盛り込む方針であることが明らかに

 三重県はアウティングの禁止などを盛り込んだLGBTQ差別禁止条例の制定を目指している一方、同性パートナーシップ証明制度については条例ではなく要綱で定めることとしました。3月12日の県議会環境生活農林水産常任委員会で、この要綱案が示され、療養看護や財産管理を相手に委任することなどを明記した「公正証書受領証」を希望者に交付する方針であることが明らかになりました。今年9月の導入を目指しています。
 
 
 県の「パートナーシップ制度」要綱案によると、制度は民法が定める成人年齢に達したLGBTのカップルが対象で、カップルのうち1人が県民であれば制度を利用することができます。県職員の立ち会いで宣誓書に記入して県に提出すると、宣誓書受領証(パートナーシップ証明書)が交付されます。
 また、県は宣誓書に加えて公正証書も受け付け、提出された場合は公正証書受領証を交付するとしています。公正証書は公的に認証権限を持った公証人に二人の契約書を証明してもらうかたちの公文書で、一定の法的な効力を持ちます(こちらに詳しく説明されていますが、婚姻契約の公正証書と遺言の公正証書を作っておけば、パートナーが亡くなった時に遺産を相続することも可能になります)。同性カップルは法的に親族でないことを理由に遺産相続や保険金の受取りで不利な立場に置かれますが、公正証書受領証があれば手続きがスムーズになる、というねらいだそうです。
 同性パートナーシップ証明制度のなかに公正証書の証明書を発行する制度も含まれているのは東京都渋谷区や港区、中野区という一部の自治体だけで、都道府県としては初めてです。
 ちなみに渋谷区では任意後見契約公正証書(将来、本人の判断能力が不十分となった時の療養看護や財産管理をパートナーに託す契約)または合意契約公正証書(共同生活において互いに責任を持って協力しあうことを取り決めるもの)のどちらかの提出を必須としており、当初は、なぜ異性カップルは無料で婚姻届を出せるのに同性カップルは数万円支払って公正証書を作成しなければならないのか、といった批判を受けましたが、現在は公正証書作成にかかる費用を5万円まで助成しています。
 三重県は、補助金の代わりに公正証書のひな型を用意し、取得費用を半分以下に抑えることを目指すそうです。
 県議会常任委では、稲森稔尚委員から「公正証書の申請には費用がかかり、手続きも煩雑。どう支援するのか。性的指向などを秘匿したい人も安心して利用できるのか」との質問が出されました。県当局は、相続や介護などに関する公正証書のひな形を記載したハンドブックを作成して活用してもらうと説明し、「秘匿を望む場合は個室を確保し、限られた職員の前で宣誓してもらうようにする」と述べました。


 同性カップルの権利保障に詳しい早稲田大の棚村政行教授(家族法)は、「公正証書受領証の交付で二人の法的関係性を真摯なものとして保障し、法的効果を認める選択肢を増やした」と評価しています。ただし、公正証書取得までのハードルは高く、「情報提供や作成の補助、公証人による相談会の実施などの支援に努めるべきだ」と指摘しています。
 
 一方、行政書士であり、同性カップルの老後やライフプランについての専門家である永易至文氏は、中野区の制度について語ったこちらの記事で、国の制度である公正証書を自治体が証明するのは変な話である、区が公正証書をすでに確認しているので相手に原本を見せなくてすむと言うが、どのみち相手(例えば住宅ローンの利用を認めるみずほ銀行など)は必ず原本を確認するので、公正証書の証明書の存在意義が薄い、また、それぞれのカップルのニーズや備えておきたいことなど公正証書で取り交わされる契約内容は多種多様で、区が用意した項目に当てはまらない場合もある(中野区でも現場で混乱があった)といった問題点を挙げ、区が公正証書を証明する必要はないと述べています。
 今回の三重県の件を知った永易氏はTwitterで、「シンプルに、同性カップルも「ふうふ」ですよと県が宣言すればよいだけ」「あとは必要なカップルが、必要な書類を自分で考えて作る」「百カップルあれば百様の家庭事情があるのに、自治体が「公正証書の「ひな型」を用意」してカタに嵌めるのはどうか」と批判しています。
 
 

 なお、アウティングの禁止などを盛り込んだことでニュースになった三重県のLGBTQ差別禁止条例は今月23日に採決されます。条例案には同性パートナーシップ証明制度も盛り込まれる予定でしたが、審議の過程で、条例から外され、要綱で定めることになりました。ぜひ条例に盛り込んでほしいと要望してきた伊賀市の「僕らの移住生活」のゲイカップルが、こちらにその経緯や問題点をまとめています。読んでみてください。
 
 
参考記事:
「婚姻相当」証明書を交付、三重 性的少数者カップルに都道府県初(共同通信)
https://this.kiji.is/743005719659626496?c=302675738515047521
性的少数者カップル向けに財産管理委任の受領証交付へ 三重(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20210311/k00/00m/040/363000c
受領証で配偶者と同等に 三重県がLGBTパートナー制度の要綱案(伊勢新聞)
https://www.isenp.co.jp/2021/03/13/57206/

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