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世界初の同性婚スタートから20周年を迎えた4月1日、同性パートナーシップ証明制度承認自治体が100に達しました

2021年04月01日


 オランダでは2000年12月21日に同性婚が承認され、2001年4月1日、世界で初めて同性婚がスタートしました。
 20年前の4月1日、1組の女性カップルと3組の男性カップルが、大勢の人に見守られながら首都アムステルダムの市役所で結婚しました。アムステルダムのヨプ・コーヘン市長は、「今日皆さんには祝うことが2つあります。1つ目は結婚したこと、そして2つ目は結婚する権利を手にしたことです」と述べ、4組のカップルを祝福したそうです。
 その日から数えて今日でちょうど20周年です。
(なお、日本人で初めてオランダで同性婚した龍児さんの記事がこちらに掲載されています。オランダでは20周年を記念して各地で記念式典が行われたそうですが、ほとんどはオンライン開催で、その代わり大きなピンクのウエディングケーキがボートに乗せられ、運河をパレードしたそうです。ロウソクの先端がレインボーカラーです)


 そんなおめでたい日である2021年4月1日、同性パートナーシップ証明制度を承認する自治体がついに100に到達しました。「自治体にパートナーシップ制度を求める会」によると、導入自治体の人口割合は約37%になりました(全人口の1/3を超えました)
 4月1日に制度を導入したのは群馬県安中市、埼玉県越谷市、本庄市、行田市、三芳町、東京都国立市、足立区、神奈川県大和市、藤沢市、茅ケ崎市、長野県松本市、静岡県富士市、兵庫県西宮市、猪名川町、奈良県生駒市、香川県小豆島町、土庄町、多度津町、大分県臼杵市、宮崎県日南市、鹿児島県指宿市です。


 このなかで、特に注目を集めているのは、あの区議会での差別発言の後、たった2ヶ月で「パートナーシップ制度」導入を決めた、さらに今年1月には、カップルの子どもも含む家族関係を認証する「ファミリーシップ制度」も盛り込むことを発表した足立区です。都内では「ファミリーシップ制度」の導入は初めてで、この前進ぶりにはLGBTQコミュニティからも驚きと歓迎の声が上がっています。白石区議の「足立区が滅ぶ」発言から一転してスピーディな制度導入を達成した足立区の近藤やよい区長へのインタビューがこちらに掲載されています。
 近藤区長は、あの発言は「一線を越えてしまった」と、「普通に結婚して、普通に子どもを産んで、普通に子どもを育てる」という女性蔑視の部分については「私も差別された方の一員だ」と感じたそうです。ご自身はあの時までは、区内の当事者からの要望がほとんどなかったことから「まだ足立区では(性的マイノリティについての施策を進める)機が熟していないのかな」と思っていたそうですが、差別発言事件を機に、「足立区は性的マイノリティを排除する地域なのか」ということが問われている状況だったと思い、すぐに性的マイノリティとの意見交換会を3度実施し、施策を進めました。当事者の一人に「足立区ではとても怖くてカミングアウトできない」と言われて衝撃を受け、区長としてとても申し訳ないと感じたそうです。
 そうして足立区では、近藤区長のリーダーシップのもと、晴れて「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」が実現しました。
 第1号となったのは、二丁目で「足湯カフェどん浴」「どろぶね」を経営しつつ、一般社団法人こどまっぷの共同代表も務める長村さと子さんと会社員の茂田まみこさんのカップルでした。お二人は数年前に結婚式を挙げているそうです(おめでとうございます)。申請を終えた長村さんと茂田さんは「足立区はカミングアウトがしにくい雰囲気があったが、関係が認められてうれしい」「自治体が応援してくれるのは、お守りになる」と笑顔を見せたといいます。
 足立区多様性社会推進課の松本令子課長は「当事者の方が安心して暮らしていけるように制度を進めていきたい」と語りました。


 それから、長野県松本市では4月1日、中核市(政令指定都市に次ぐ事務権限を持つ都市で、全国に62あります)に移行したのと同時に「松本市パートナーシップ宣誓制度」が導入されました。
 臥雲義尚市長は、「自分たちの存在が社会に公認されているとこの制度で感じてもらうことが出発点ですし、その先にそうしたパートナーのあり方が社会、松本市民に広く受け入れ理解してもらう(ことが目的)」と語りました。
 市議会に請願を行なった「レインボーフェローズナガノ」の代表、みやさんは「男女のカップルが当たり前に享受しているものが、なぜ私たちは受け取れないんだろうと。(パートナーが)もし亡くなっちゃったらとかそういうことを考えたときに、このままだったら下手したら私はパートナーの死に目にも会えない可能性もあるし、逆もまたしかり。お葬式とかもそう。そんなことがあったらすごく悲しい、耐えがたいつらさだし…」と語りました。
「パートナーシップ制度を導入してほしいというところにたどり着けたのはうれしい気持ちはある。ただそこで思考停止してはいけないと思っていて、他の市町村に住んでいるマイノリティはどうしたらいいのか、そこは心苦しくも思う。これで、もろ手を挙げて喜べと言われてもそれはちょっと難しい」
「差別的な空気や偏見をもった空気にさらされていると自尊心をやられていく。パートナーシップ制度は足がかり。国がやってくれないことを市政、自治体が補っている状態がパートナーシップ制度だと思っているので、それすらもないところがまだまだこれから」
 なお、松本市では、宣誓受領証とカードのデザインを公募していましたが、伝統工芸品の松本てまりや市花のレンゲツツジのイラストをあしらった2種類が用意されたそうです。
 
 
 
参考記事:
【画像】世界初の同性婚から20年。結婚の平等を喜んだ4組のカップルたち(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/first-same-sex-marriage-netherlands_jp_6062b6fec5b65d1c2818923e
足立区でパートナーシップ制度が開始…同性愛差別発言から半年、驚愕のスピード感のワケ(文春オンライン)
https://bunshun.jp/articles/-/44456
「滅びる」といわれた東京都足立区でパートナーシップ制度開始 ファミリーシップは都内初(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/95246
理解広がるか… LGBTQのカップル公認 松本市が県内初のパートナーシップ宣誓制度(NBS長野放送)
https://www.fnn.jp/articles/-/163581
松本市が中核市に パートナーシップ宣誓制度も県内初導入(松本経済新聞)
https://matsumoto.keizai.biz/headline/3302/

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