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【同性パートナーシップ証明制度】青森県が早期導入を目指す意向、実現すれば北日本初

 東奥日報によると、青森県の柏木司副知事が18日、県として同性パートナーシップ証明制度の早期導入を目指す意向を示しました。県庁で青森レインボーパレード実行委員会からの要望に答えたものです。導入時期については明言を避けましたが、県側は「少しでも早く導入したい」との考えを見せているといいます。青森県での導入が実現すれば、都道府県としては北日本初の快挙です。

 青森県での同性パートナーシップ証明制度の実現は、たびたびお伝えしてきたように、青森市のレズビアンカップルを中心とするコミュニティの悲願でした。その物語は、東京で共生ネットの副代表をつとめ、LGBTQのための電話相談などの支援活動をしていた宇佐美翔子さんが、実家のお母様が亡くなったことをきっかけに2014年4月にパートナーの岡田実穂さんといっしょに青森に帰り、駅前で「Osora ni Niji wo Kake Mashita(通称そらにじ)」というコミュニティカフェをオープンしたところから始まります。
 翔子さんたちは性的指向や性自認、性別、人種などにかかわらず誰もが安心して過ごせるお店をオープンするとともに、青森レインボーパレードと銘打って地元の商店街を3人で歩きました。同年6月には、青森市役所に婚姻届を提出し、青森の地域社会に一石を投じました(地元の新聞に大きく掲載されました)。まだ渋谷区が同性パートナーシップ証明制度を発表する前の時代です。日本の同性婚史における、偉大な一歩です。
 最初は恐る恐るだったという3人のパレードは、翌年には24人に、その次の年は45人になりました。2017年は東京などからも応援に駆けつけ、ついに100人を超えました。2018年には173人になり、2019年にはとうとう200人を超えました。
 オンライン開催となった青森レインボーパレード2020では、青森県知事をはじめ県内14の自治体から応援のメッセージが寄せられました(東北で毎年パレードを続けてきただけでもスゴいことですが、県知事からメッセージをいただけるというのも本当にスゴいことです)
 翔子さんは2018年、がんを患い、闘病生活に入っていることを公表しました。青森のパレードのときには「病院で同性のパートナーがいるということをなかなか理解してもらえませんでした。同性のパートナーにも手術や治療の方針を聞く権利を。同性のパートナーにも緊急連絡先として連絡がいくような仕組みを」と訴え、参加者の目頭を熱くさせていました。
 2019年の国会議員の方々に同性婚実現を訴える院内集会で、翔子さんは「がんの治療のために病院に行くとき、青森では同性パートナーシップ証明がまだ認められていませんので、自分たちで公正証書のような書類を作り、見せたのですが、それでも『緊急時に連絡が行かないかもよ』『それがイヤなら違う病院に行けば?』と言われました。誰もが等しく受けられるはずの治療に、専念することができませんでした。パートナーシップが認められているような自治体なら大丈夫かもしれませんが、青森はまだ…私たちは生きる場所を制限されているのです。これは、命の問題です。早く同性婚を決めてください。私の命が尽きる前に」と訴え、涙を誘いました(私も泣きました)
 そして今年9月、青森レインボーパレード実行委員会は、10月のパレード開催に際し、県知事に同性パートナーシップ証明制度導入の要望書を提出するということで、賛同のお手紙を募集しました。長年の悲願であった青森での制度実現に向けて、全国から届いたたくさんの応援の手紙を携えて、彼女たちは動こうとしていたのです。今度こそ、という願いを込めて。
 しかし、9月30日、長きにわたる闘病の末、翔子さんが他界しました。同性婚の実現も、青森での同性パートナーシップ証明制度の実現も目にすることなく…。

 2015年の渋谷区の発表以来、全国の150を超える自治体の同性パートナーシップ証明制度を導入した、あるいは導入を検討しているというニュースをお届けしてきましたが、ついに青森県が動いたというニュースほど泣けるニュースはありませんでした。
 東北という、男尊女卑が根強く、LGBTQへの風当たりも強い地域で、鉄のように硬い岩盤を少しずつ切り崩していって、たくさんの応援も得て、7年の歳月をかけ、とうとうその硬い岩盤に風穴を開けたのです。
 しかし、長年の悲願が叶い、ついに山が動いたというこの喜ばしい報せを、当の本人は、聞くことができなかったのです…。

 
 青森レインボーパレードは、翔子さんの急逝によって延期されていましたが、この12月11日(土)に開催されることになりました。翔子さんがいつも掲げていた「故郷を帰れる街にしたい」という言葉を、テーマとしてみんなで掲げるそうです。
 青森はすっかり冬になってしまいましたが(雪が降らないか心配…)、翔子さんたちの長年の努力が実って県が制度導入に動きはじめたことをお祝いする意味でも、参加してみてはいかがでしょうか。
 
青森レインボーパレード2021
日時:12月11日(土)13時〜
集合場所:青森駅前公園
YouTube配信もあります)
(パレード開催の応援と、翔子さんお別れ会の協賛のクラウドファンディングも実施中です)


※文中、東北はLGBTQへの風当たりが強いと書きましたが、東北を貶めようとするつもりはなく、私自身、青森で生まれ育ったなかで経験したこと、また、東北で活動してきた方たちのお話などから、事実としてこのように書いています。ご了承ください。
 
(文・後藤純一)

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