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日本と台湾の同性カップルが台湾での婚姻届の受理を求めて訴えを起こしました

 台湾で同性婚が実現したときに結婚式を挙げ、婚姻届も提出したものの、「日本人との同性婚は受理できない」と突き返された日台のゲイカップルが、婚姻届不受理処分を取り消して結婚を認めるよう求める訴えを起こしました。


 訴えを起こしたのは台湾南部・屏東県に住む有吉英三郎さん(42)と盧盈任さん(34)のカップルです。
 有吉さんは30代半ばまで日本で暮らしていました。しかし、「そもそも日本に同性婚の制度がなく、職場もカミングアウトできる環境ではなかったので、結婚に対して希望を持ったことはなかった」といいます。そんな有吉さんも、36歳で台湾に移住してから、人生が変わりました。台湾で暮らし始めて3ヵ月が経ったころ、現在のパートナーで心理カウンセラーの盧盈任さんと知り合い、おつきあいが始まりました。台湾で勤める日本語学校で、幅広い年代の学生たちに「夫」がいると自己紹介すると、学生たちも自然に受け入れ、「日本語の『旦那』『夫』『主人』は使う際に、それぞれニュアンスが異なるんですか」といった質問をしてくれるそうです。盧さんのご家族も有吉さんのことを迎え入れ、「自分たちの息子にとって大切なパートナーだから、大切にしよう」と思ってくれているのが伝わってくると感じています。「これほど良い関係を築けているのに、結婚していないから法律上は家族と言えない。お互いの家族のつながりを公的に認められることで得られる幸福がある」と感じ、「大好きな夫の家族と法的にも家族になりたい」という思いを強くするようになったそうです。
 一方、盧さんと一緒に日本に戻ったとき、いつものように二人で手をつないで歩いていると、友人から「なぜ手をつないでいるの。すごい見られているよ」と咎められ、台湾ではそんな言葉を言われたことがないので驚き、日台の差を痛感したそうです。
 2017年5月、台湾の最高裁が同性婚を認めないのは憲法違反だとして立法院(国会)に同性婚法の制定を求める、法律が制定されない場合は2年後に自動的に同性婚を認めるという判決が出たとき、国会前に集まった数百人の人々がうれし涙を流しながら抱き合っていたのは、有吉さんにとっても忘れられない光景になりました。「同性愛者の人たち自身が、婚姻制度を求めて公の場で声を上げることを誇りに思い、素晴らしいこととして活動していました。彼らと出会い、同性愛者の自分も結婚を望んでいいんだと感じられるようになりました」
 二人は同性婚法の施行を見越して、2019年の5月に結婚式を開く予定を立て、高雄の会場を予約して日本の家族・友人ら約200人を招いていました。しかし、同性婚法が成立する数日前、外国人との同性婚が認められるのはパートナーの出身国・地域が同性婚を承認している場合に限られる(日本人である有吉さんは台湾でも婚姻届は受理されない)ということがわかりました。結婚式は予定通り行ない、とても幸せな式になりました。しかし、婚姻届は受理されず、有吉さんは「私が日本人だから、パートナーに婚姻関係を結ぶという安心を与えてあげられないことが悲しく、悔しい」と感じたそうです。
 有吉さんの在留資格は就労ビザで、2年ごとに更新が必要です。勤務先の都合やけが、病気など、何らかの事情で仕事を続けられなくなった場合、ビザの更新が認められず台湾からの退去を迫られる可能性があります。「配偶者ビザを持っていれば、この先も一緒に暮らせるという安心感があります。でも現状では、自分にもしものことがあったら夫と離れ離れになるしかなく、その不安は常にあります」
 こうして有吉さんと盧さんは、同性婚が認められていない日本の法律を台湾に適用するべきでないなどとして、処分を取り消し、自治体に婚姻届を受理するよう求める訴えを、23日、台湾の裁判所に起こしました。日本人が台湾でこうした訴えを起こすのは初めてだそうです。有吉さんは「日本にいるときは同性婚が認められず、結婚をあきらめざるをえなかった。台湾ではパートナーと結婚するという夢を実現したい」と語ります。
 
 すでにお伝えしているように、台湾人とマカオ籍のゲイカップルが婚姻届不受理の処分の取消しを求めて裁判を起こし、今年5月、台北高裁が訴えを認め(勝訴し)、8月に結婚の手続きが完了しました(初めて同性婚を認めていない地域の人との国際同性結婚が成立しました)
 同様に、今年11月には、台湾人女性とシンガポール人女性のカップルが、台北高裁で婚姻届不受理の処分取消しが認められ、勝訴しました(これで3組目だそうです)
 有吉と盧さんの訴えもおそらく認められることでしょう。2年後には正式に婚姻届が受理される日が来ると期待されます。
 また、今年1月には、台湾の司法院が渉外民事法律適用法第46条の「結婚の方式は、それぞれの当事者の本国の法律に従う」との規定を「すべて有効」と改正し、母国で同性婚が認められていない国の人とも同性結婚できるようにする案をまとめました(詳細はこちら)。この法改正案が立法院(国会)で承認されれば、母国で同性婚が認められていない国の人との国際同性結婚が実現します(まだ審議が進んでいないようですが、きっとそのうち…)
 
 LGBTQ支援に取り組む専門家は、「(有吉さんと盧さんの)訴えが認められれば、同性婚をした日本人の配偶者が日本に来たとたんに配偶者として認められなくなるといったケースが出てくる」ため、日本での同性婚の議論に影響する可能性もあると述べています。
 お二人の裁判の行方に注目し、応援しましょう。
 


参考記事:
日本と台湾の同性カップル 台湾での婚姻届の受理求め提訴(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211223/k10013400141000.html
日台同性カップルが提訴 台湾で婚姻届の受理求める(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021122300933
オードリー・タンを生んだ社会とは 同性愛者の私が感じた日本との差(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASPBC35SPP9YUHBI03H.html
同性婚ができるはずの台湾で、婚姻届が“不受理”に。日台カップルのもどかしさ。(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5ee7036bc5b63958a6380e6e
台湾とシンガポールの同性カップルが勝訴 婚姻届受理拒否の処分取り消し(フォーカス台湾)
https://japan.focustaiwan.tw/society/202111260001

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