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カリフォルニア州が、新たにLGBTQ差別を容認する州法を制定した州への公費での渡航を禁止しました

2021年06月30日

カリフォルニア州は6月28日、LGBTQに対して差別的な法律を成立させた5つの州を、新たに州費での渡航を規制する州のリストに追加したことを発表しました。同州のロブ・ボンタ司法長官は、「ストーンウォールの反乱から52年経ちますが、この国では同じ闘いが今でも残っています」と述べ、LGBTQ支援を訴えました。

 カリフォルニア州は6月28日、LGBTQに対して差別的な法律を成立させた5つの州を新たに州費での渡航を規制する州のリストに追加したことを発表しました。同州のロブ・ボンタ司法長官は、「ストーンウォールの反乱から52年経ちますが、この国では同じ闘いが今でも残っています」と述べ、LGBTQ支援を訴えました。


 映画『最も危険な年』でも描かれていたように、米国で強硬に同性婚に反対していた(福音派などキリスト教原理主義との関係が深い)団体の人々は、2015年に最高裁判決で結婚の平等が実現すると、次の攻撃のターゲットをトランスジェンダーに切り替えました。2016年は各地の州でLGBTQの権利を抑制する動きが活発になりました(信仰を理由にLGBTQ差別を容認する州法など、2016年上半期だけでLGBTQの権利を制限する法案が全国で87件提案されました)。そうしたなか、ノースカロライナ州でトランスジェンダーが自認性に基づくトイレの使用を禁じる州法が制定されたのを皮切りに、サウスダコタ州など10以上の州で同様の差別的な州法が議会にかけられました。これに牽制をかけるようにオバマ大統領が自認性に基づくトイレ使用を認めるよう求める通達を公立学校に出しました(11の州がこれに異議を唱えて提訴しました)が、トランプ氏が大統領に就任し、これを撤回しました(ちなみにオバマ大統領が最後に行なった仕事はトランスジェンダーの移民の支援でした)
 こうしたトランスジェンダーへのバックラッシュのなかで声をあげたヴァージニア州のトランス男子高校生が、6月28日の最高裁による「トランスジェンダーのトイレ使用制限は違憲」判決を勝ち取ったギャビン・グリムでした。
(米国の「トイレ法」をめぐる動きは、こちらの記事に詳しいです)
 その後、トイレだけでなく、トランス女子学生が女子として学校でのスポーツ競技に参加することを禁じる州法も成立するようになりました。コネチカット州で女子生徒が「トランス女子選手の競技参加によって"上位入賞や奨学金獲得の機会を奪われた"」と訴えた裁判(詳細はこちら)をトランプ大統領も後押しし、論争が激化したことが背景にあります。トランス女子のスポーツ参加禁止の州法を提案した州は、2021年だけで20州以上に上り、ミシシッピ州、フロリダ州、アーカンソー州、モンタナ州、ウェストバージニア州などで新たに成立を見ました。
(米女子サッカーの大スターでありレズビアン・カミングアウトしているミーガン・ラピノーはこの動きを批判し、「私たち(大人)は、子どもたちを大事に思っていると胸を張る権利を失う」と語りました)
 ほかにも、ノースダコタ州では、学生団体がLGBTQの学生の参加を禁じたとしても公的資金の援助を受け続けられるようにする法律が成立しました。
 また、アーカンソー州では、米国で初めて、医師が未成年のトランスジェンダーに対して二次性徴抑制剤や性ホルモン剤を処方することを禁じるという、当事者の子どもにとって地獄でしかない法律が成立しました。
 
 カリフォルニア州は2016年(カマラ・ハリスが州司法長官を務めていた時)、「LGBTQへの差別への支援や資金提供を避ける」ため、LGBTQの権利を侵害する法律がある州への公費での不要不急の渡航を禁じる州法を制定しました。これまでにアラバマ州やアイダホ州、テキサス州など12の州が対象となっています。今回この規制リストにフロリダ州、モンタナ州、ウェストバージニア州、アーカンソー州、ノースダコタ州の5州が加わり、17州となりました。
(実はこうした公然とLGBTQを差別する州法を成立させた州への渡航を禁じているのは、カリフォルニア州だけではありません。2016年、ミシシッピ州で信仰を理由にLGBTQ差別を容認する州法が成立すると、ニューヨーク州のクオモ州知事はミシシッピ州への不要の公用出張を禁止しました)
 
 カリフォルニア州のロブ・ボンタ州司法長官は、これらの州で「基本的な市民権に対する、組織的な攻撃が起きています」と述べました。
「ストーンウォールの反乱から52年経ちますが、この国では同じ闘いが今でも残っています。
 解決すべき重要な問題があるにも関わらず、トランスジェンダーの若者を悪者扱いし、生きていくために不可欠な医療を阻むことを最優先にさせている政治家がいます。
 間違いなく、この国ではかつてないほどの偏見や差別の波が押し寄せています。カリフォルニア州はその動きを支持しません」

 

参考記事:
反LGBTQ法を作った5つの州に公費での渡航禁止。カリフォルニアが闘う姿勢を示す(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/california-ban-travel-anti-lgbtq-law_jp_60da79c4e4b04decb353e09e
トランプの研究(8):トランスジェンダーと“トイレ法”-米国の「政治」と「宗教」と「性」の奇妙な関係(Yahoo!)
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakaokanozomu/20170307-00068430/

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