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【同性パートナーシップ証明制度】東京都が「都パートナーシップ宣誓制度」の素案を発表しました。みなさんからの意見も募集中です

2022年02月14日

 東京都は2月14日、「東京都パートナーシップ宣誓制度」の素案を公表しました。3月31日まで意見公募(パブリックコメント)を実施したうえ、6月の都議会第2回定例会に同制度を盛り込んだ人権尊重条例改正案を提出し、今秋の制度開始を予定しています。
 
 「東京都パートナーシップ宣誓制度」の素案の内容をお伝えします。

 要綱ではなく、都の人権尊重条例を改正し、本制度の根拠とします。
 対象となるのは、「双方またはいずれかが性的マイノリティであり、互いを人生のパートナーとして、相互の人権を尊重し、継続的に協力し合うことを約した二者」で、双方が成年に達しており、配偶者やパートナーシップ関係がないこと、直系血族、三親等内の傍系血族または直系姻族の関係にないこと(パートナーどうしで養子縁組している場合を除く)、双方またはいずれか一方が都内在住か在勤・在学であることが条件です。
 二人がパートナー関係にあることを宣誓し、必要書類を届け出ると、都は受理証明書を発行します。希望に応じて「通称名」を補記できるほか、子どもがいる場合、「当事者の子」として受理証明書に「子の名前」を補記することができます。
 手続きは、原則オンラインで実施し、都は、提出内容に不備がないことを確認したうえで受理証明書をオンライン発行します。また、制度利用者からの申し出により、最新の日付の受理証明書をオンラインで再発行します。
 都は、受理証明書を保有する方に対し、年一回程度定期的にメール連絡し、都の施策等についての情報提供や困りごとの把握を行なうとともに、変更等の届出漏れがないように促します。
 制度に法的拘束力はありませんが、都が提供する都民向けサービス事業について、受理証明書を保有する方が活用できるよう検討します。
 また、都内の区市町村との証明書の相互活用等に関して調整を図ります。
 民間の各種サービスや従業員の福利厚生での活用を働きかけます。

 
 東京新聞によると、都の素案発表に合わせ、同様の制度を導入済みの都内の区市は連名で(東京都パートナーシップ制度導入自治体ネットワークのことかと思われます)、すでに制度を利用している人に混乱や不利益が生じないよう、情報共有や配慮を求める要望書を小池知事に提出したそうです。渋谷区や港区のような、パートナーシップ宣誓ではなく公正証書(に類する書類)を提出する方式の自治体もあるため、すでに登録した方もそうですし、そうした区にお住まいの方が今後新たに登録する際、どちらの制度も選べるのかどうかなど、調整が必須になると思われます。
 
 素案を読んで、LGBTQコミュニティの方々からSNS上で様々なコメントが上がっていますが、そうした声も汲みながら、以下に、素案について言えそうなことを整理してみます。
・要綱ではなく条例で定めることについて。安定性がある一方(条例は地方議会の議決によって制定する法規。要綱は自治体の内規に過ぎません)、修正するのが難しいというデメリットもあります。また、「なぜ"東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例"を改正する形なのか。単独で条例を制定すべきでは?」という声も上がっています(確かにそうですよね…)
・通称名を書ける、子どもの名前を書ける(事実上のファミリーシップ制度と言えそうです)という点で、トランスジェンダーの方や子どもを持つカップルへの配慮がなされているのは評価に値します。(通称名は「補記」されるそうですが、証明書の名前の欄には通称名が表記されるのか、そうではなく、本名が表記されるのか?というのは確認が必要でしょうね) 
・カップルのいずれかが都内在住ではない(同居しているわけではない)カップルも対象であること、カップルのいずれかが都内在勤・在学の方も対象である(千葉県や埼玉県、神奈川県などにお住まいの方も都内に通っていれば利用できる)ことは、利用できる方の範囲がものすごく広がり(首都圏在住のかなり多くの方が利用可能になると思われます)、とてもよいのではないでしょうか。
・原則オンライン申請というのは全国初です。シンプルに便利ですし、役所に行くのが難しい方も届け出ができるようになると見込まれます(島嶼部などにお住まいだったり、役所に友人・知人が勤めているなど、様々な事情で役所に行きづらい方もいらっしゃると思います)。その反面、同性パートナーシップ証明制度は「公的に承認される」ことにこそ意義があるので、婚姻届のように、役所で手続きをして「おめでとうございます」と言っていただける(祝福を受ける)ことに意味があるのでは…とも思います(もちろん、役所で手続きしたい方はそうできると思います。選べるのはよいことです)。オンライン申請であることに対して「結局、婚姻届とは違うんだなって如実に感じてしまうね…」「他人の目線を気にする人もいるということが理由なら、当事者への理解の後退だと感じる。二人が堂々と一緒に居られて幸せに暮らせることを目指す制度ではないのか?」といった声も上がっていました。
・証明書の再発行ができるのはよいですよね。
・証明書についてですが、他の自治体のようにカード型の証明書も発行するのかどうかということは書かれていませんでした。電子証明のような形になるのでしょうか?
・「都が提供する都民向けサービス事業」の内容が明らかでないため、証明を受けたカップルが果たして病院で家族として扱ってもらえるのか、都営住宅に入居できるのか、といった点は不透明です。が、TBSやFNNのニュースでは、パートナーが手術を受ける際の同意を認めるほか、家族世帯向けの公営住宅に入居することが(RABによると、都立霊園の承継も)可能になると報じられています。(ちなみに東京都北区は区営住宅に入居できるよう、条例も改正します。東京都もそのように条例を改正してもよいのでは?)
 
 このように、疑問点や改善点はいろいろありそうです。
 
 ともあれ、東京都という、日本の首都として影響力の大きい自治体で同性カップルが公的に承認されることの意義は大きいですよね。東京都が動いたことで、国も同性カップルの権利保障へと動く可能性もあるのではないでしょうか。「だんだんといい方向に動いている」と感じられる方も多いと思います。いよいよ秋にはパートナーシップ証明が受けられる!とワクワクしている方々もいらっしゃることでしょう。
 「東京都にパートナーシップ制度を求める会」のみなさんの尽力に感謝!です。
 
 3月いっぱいパブリックコメント(意見公募)を受け付けるそうですので、よりよい制度になるよう、みなさんもぜひ、素案をお読みのうえ、忌憚のないご意見を東京都へ!
 
「東京都パートナーシップ宣誓制度」素案へのパブリックコメント(意見募集)フォーム
https://1faa0661.form.kintoneapp.com/public/00077d0517bfffafc8f8c3722bc0b7327bd9c3953b4ae76314122ea1c82e7985

 

参考記事:
東京都「同性パートナーシップ制度」案公表 在勤在学も対象に(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220214/k10013484051000.html?utm_int=news-new_contents_latest_001
「東京都パートナーシップ宣誓制度」今年秋ごろ開始予定(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye6002835.html
東京都が「同性パートナーシップ制度」案を公表 全国初 全ての手続きオンラインで(FNN)
https://www.fnn.jp/articles/-/315597
都 同性カップルなどを公的に認めるパートナーシップ制度の方向性明らかに(RAB)
http://mobile.rab.co.jp/news/news91zfowdjnuriv9vyci.html
東京都、パートナー制度今秋導入(共同通信)
https://nordot.app/865905180620619776?c=39546741839462401
同性パートナー、通勤者も対象 都、人権条例を改正へ(時事通信)
https://sp.m.jiji.com/article/show/2705288
東京都が「パートナーシップ制度」の素案公表 秋から開始へ 性的マイノリティーのカップルを公的に認める(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/160188
東京都パートナーシップ制度、秋に開始予定 パブリックコメントも実施(ハフィントンポスト)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_620a091be4b083bd1cc12425

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