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国連合同エイズ計画がウクライナのHIV陽性者の治療が中断なく継続することを求める声明を発表しました

2022年02月27日

 ロシアの軍事侵攻で危機にさらされているウクライナの人たちに向けて、国連合同エイズ計画(UNAIDS)が25日、「医療従事者の保護と、HIV陽性者、HIVに影響を受けている人たちを含むすべての人へのHIVと保健のサービスが中断なく継続すること」を求めるプレス声明を発表しました。「UNAIDSスタッフはウクライナにとどまり、HIV予防・検査・治療・ケア・支援を引き続き支える」との意思も表明しています。
 こちらこちらでもご紹介している長年HIV/エイズやLGBTQの支援に携わってこられた宮田一雄さんが、ご自身のblogでその内容を日本語に訳して紹介してくださっています。
 

 UNAIDSによると、ウクライナのHIV陽性者は推定25万人で、このうち抗レトロウイルス治療を受けている人は15万6000人です。東欧・中央アジア地域では2番目に大きなHIV/エイズの流行を抱えている国です(1番はロシアです)
 体内でのHIVの増殖を抑え、症状の進行を抑えるには、抗レトロウイルス薬の服薬を毎日続けなければなりません。数週間単位で処方されるこの薬の提供が大きく途切れることがないようにする必要があります。
 宮田一雄さんは、「HIV/エイズ対策という限定的課題の中での声明ではありますが、こうした動きに呼応して、ロシア国内でもHIV/エイズ対策に取り組む人たちから「いくら何でも、これはだめでしょ」という声が上がること、その声を国際的にも支えることが、限定的な分野における動きではあっても、事態打開の力にささやかながらなるのではないか。そうした期待を込めつつ、声明の日本語仮訳を作成しました」と語っています。
 なお、UNAIDSによると、ロシアではこれまでHIV/エイズ対策に取り組む組織やキーポピュレーション※の支援組織が(控えめに言っても)強権的な制約を受けてきたそうです。
 
※ゲイ・バイセクシュアル男性やトランスジェンダー、セックスワーカーなど、感染リスクが高いと同時に、有効な対策を実現するための鍵を握っている層の人たち

 以下、宮田さんが訳してくださった「ウクライナのHIV陽性者とHIVに影響を受けている人たちに対する保健・HIVサービスの確保と継続を(UNAIDSプレス声明)」の日本語訳をお伝えします。

ジュネーブ 2022年2月25日ーー ウクライナが軍事攻撃を受ける中で、UNAIDSは医療従事者の保護と、HIV陽性者、HIVに影響を受けている人たちを含むすべての人に対するHIVと保健のサービスが中断なく継続することを強く求めます。ウクライナは、東ヨーロッパ・中央アジア地域で2番目に大きなエイズの流行を抱えている国です。ウクライナのHIV陽性者人口は推定25万人で、このうち15万6000人が抗レトロウイルス薬による治療を受けています。HIV陽性者が生きていくには毎日服用する必要がある薬です。

「ウクライナのHIV陽性者には数週間分の抗レトロウイルス薬しか手元にありません。継続的に処方を受けなければ生命が危険にさらされます」とUNAIDSのウィニー・ビヤニマ事務局長は語っています。「ウクライナの何十万というHIV陽性者、HIVに影響を受けている人たちに対するHIV予防・検査・治療など、命にかかわるHIVサービスを途切れさせてはなりません」

ウクライナ政府はこれまで、市民社会や国際機関と協力して東ヨーロッパ・中央アジア地域で最大かつ最も効果的なHIV対策を実施してきました。いま進行している軍事攻撃によって、その努力と成果が台無しになる深刻なリスクにさらされ、さらに多くの命が危険にさらされることになります。

健康への権利とHIVサービスへのアクセスは常に守らなければならず、医療従事者や市民社会の代表、およびそのクライアントが紛争の標的にされてはなりません。進行中の軍事攻撃はウクライナのすべての人に影響を及ぼし、HIV陽性者や薬物使用者、セックスワーカー、ゲイ男性など男性とセックスをする男性、トランスジェンダーの人たちといったキーポピュレーションは大きな苦難を受ける可能性があります。

国連事務総長が強調したように、国連は軍事攻撃で「非常に多くの死、破壊、避難」にすでに苦しんでいるウクライナの人たちに対し、困っているときにこそ必要な支援を行なうことを約束しています。

世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)、米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)、UNAIDSの支援を受け、ウクライナ政府と市民社会のパートナーはHIV陽性者およびキーポピュレーションの人たちにHIVの予防と治療のサービスを多年にわたり提供してきました。ウクライナ全土で進行中の危機にあっても、さらなる支援を提供する用意があります。UNAIDSのスタッフはウクライナにとどまり、HIV陽性者とキーポピュレーションの人たち、とりわけ最も弱い立場に置かれている民間の人たちに焦点を当て、生命を救うために必要なサービスを継続できるように努めています。UNAIDSは危機のさなかにあるウクライナ全土の人たちへのHIV予防・検査・治療・ケア・支援を引き続き支えていきます。



参考記事:
『ウクライナのHIV陽性者とHIVに影響を受けている人たちに対する保健・HIVサービスの確保と継続を』 UNAIDSがプレス声明 エイズと社会ウェブ版601(ビギナーズ鎌倉)
https://miyatak.hatenablog.com/entry/2022/02/27/105511?fbclid=IwAR1LdGT9PSLLBE_eyr4hWhEZDz7KJOEdN3QELCkNmsaOv5_7FVRIKUw_6VQ


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