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【同性パートナーシップ証明制度】栃木県、苫小牧市、神奈川県清川村、愛知県一宮市、愛媛県大洲市、熊本県菊池市などの動きをお伝えします

2022年07月30日

 今年2月、導入を前向きに検討すると発表していた北海道苫小牧市が「パートナーシップ制度」を来年1月から導入する意向を示しました。
 7月14日に開かれた市男女平等参画審議会で「パートナーシップ制度」の概要が公表されました。一方または双方が性的マイノリティであるカップルが、市に互いをパートナーと認め、宣誓すると、宣誓受領証や宣誓書受領カードが交付されます。婚姻していない18歳以上で、一方または双方が市内に居住している人が対象で、宣誓は事前予約制とし、プライバシーに配慮して個室での対応を想定しています。法的効力はありませんが、市は今後、公営住宅にカップルで入居できるようにするなど、庁内の検討会議などで受けられる行政サービスを検討します。また、転出入の際の行政手続き軽減に向け、すでに制度を導入している自治体と協定を結べないか調整しているそうです。
 道内では札幌市、北見市、江別市、函館市が導入済みで、帯広市でも導入予定です。苫小牧市協働・男女平等参画室によると、同市で導入されれば東胆振・日高地方で初となります。
 
 函館市では、「パートナーシップ制度」の認定を受けたカップルが公営住宅で同居できるようになりました。
 市は条例の一部を改正し、公営住宅で同居できる対象がこれまで三親等以内の親族に限られていたのを、パートナーシップ認定を受けたカップルも同居できるようにしました。
 同居できるのは市営住宅と市特定公共賃貸住宅で、今年8月の募集分から申込みができるようになります。
 市は「パートナーシップ制度の周知や啓発活動を続けるとともに性的マイノリティの人たちが生き生きと暮らせるよう今後も取り組んでいきたい」と話しています。

 それから、同じ北海道内でも、旭川市をはじめとする上川管内で制度導入が進んでいないことに対して当事者の方などが声を上げているというニュースがありました。
 道内の人口10万人以上の自治体で検討が進んでいないのは旭川と釧路だけだそうで、旭川市はセミナーなどでLGBTQへの理解を深めるような啓発を行ないながら、制度を導入した自治体の状況を見ている段階だと説明、「制度整備の際は、宣誓が形だけでなくしっかりと活用できるものになるようにしたい」としているそうです。同じ上川管内の富良野市、名寄市、士別市でも導入に向けた具体的な準備は進んでおらず、ポスターの掲示などによる啓発にとどまっているそうです。
 当事者を中心とした市民団体「あさひかわRainbow Friends」代表の東村吉峰さんは、「旭川にも制度を必要としている人がいる。制度の整備と同時に、市民や民間企業に性的少数者理解に関する啓発活動をもっと積極的に行なってほしい」と語っています。また、LGBTQ支援団体「にじいろスマイル」代表の田中純さんは、「旭川がモデルケースとなって、道内各地に同様の取組みが広がるような実りある制度づくりをしてほしい」と語っています。

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 それから、青森県八戸市で7月20日から、県の「パートナーシップ宣誓制度」の利用者が市営住宅への入居を申し込めるようになりました。熊谷雄一市長が20日の定例記者会見で発表し、同日から適用されました。県によると、同制度を活用した行政サービスを提供する県内市町村は八戸市が初めてです。
 市営住宅の入居申込だけでなく、市営霊園の申込、市営霊園の承継、り災証明書(火災)の交付、救急搬送証明書の交付についても、受領証を提示することで従来よりも円滑に利用できるようになるそうです(詳細はこちら
 青森県は今年2月、東北で初めて県として「パートナーシップ宣誓制度」を導入しましたが、ただ宣誓受領証(パートナーシップ証明書)を交付するだけで公営住宅への入居などの具体的な行政サービスが整備されていない(要望書を提出したにもかかわらず検討されていない)と当事者団体が声を上げていましたが、こうして八戸市が先陣を切って動いてくれたこと、とても素晴らしいです。県や、他の市町村も動いてくれるといいですね。
(なお、都道府県として初めて、3年前に「パートナーシップ宣誓制度」を導入した茨城県では、県内44の市町村のうち37の市町で、宣誓したカップルが公営住宅への入居を申し込めるようになっているそうです→こちら

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 新潟県では、三条市を拠点に性的マイノリティについての啓発活動を行なっている団体が、三条市に制度導入を求める要望書を提出しました。
 7月27日、「PRIDE LINK」の羽賀風真代表とパートナーの長谷川玲奈さんが市役所を訪れ、滝沢市長に制度の導入を求める要望書と2300筆余りの署名を手渡しました。羽賀さんと長谷川さんは、同性カップルだという理由でアパートへの入居を断られたことがあり、「仮に病気や事故で病院に運ばれても、家族として面会が認められないのはつらい」と述べ、制度の導入によって市営住宅に家族と同じように入居できたり、病院で家族として面会できたりするようになることを要望しました。これに対して滝沢市長は、「みなさんの考えを聞きつつ、いい形で前向きに検討したい」と答えました。
 羽賀さんは「世の中で当たり前でも私たちにとってはとても難しいことがある。多くの人が生きやすい多様性のある社会になってほしい」と、長谷川玲奈さんは「三条市、新潟県全体でみなさんに(制度を)認知してもらうことが大事なことになる。そこから私たちが啓発活動をもっと頑張っていかないといけない」と語りました。

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 栃木県は9月に導入する「パートナーシップ宣誓制度」について、宣誓日の事前予約の受付を8月1日から始めると発表しました。福田富一知事は会見で「一人一人の違いを豊かさとして認め合う社会の実現を目指していく」と述べました。
 同制度は、予約したうえで県庁で宣誓すると、宣誓書の写しと受領カードが交付されるもので、交付を受けたカップルは公営住宅に入居できるほか、医療機関で親族と同等に面会が認められるます。県によると、制度開始時から面会を認める医療機関は13施設で、今後拡大を図るそうです。
 栃木県では鹿沼、栃木、日光、野木の4市町が制度を導入済みで、県は4市町ですでに宣誓したカップルについては、県のサービスの対象にする方針です。

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 神奈川県では7月1日、清川村が「パートナーシップ宣誓制度」を導入し、4月から導入している厚木市や愛川町と7月8日に連携協定を結びました。同制度の自治体間連携は県央地区では初めてです。
 なお、これまで都道府県、市区町での制度導入はありましたが、村での導入は全国初とみられます。
 清川村での導入によって、神奈川県で導入されていないのは6市町を残すのみとなりました。
 今回、3市町村で協定が結ばれたことにより、宣誓した二人が3市町村の間で転居する場合、転入先で新たに宣誓のための書類を提出する負担が軽減されるそうです。
 清川村の岩澤吉美村長は「制度が導入されて数日だが、SDGsの推進、暮らしたくなる村づくりは、性的マイノリティの方などを取り残しては前に進めない。自治体間の連携により、この制度がさらに広がってほしい」と語りました。

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 愛知県一宮市が「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を9月から始めます。互いに協力して暮らすことを宣誓すれば、市が「証明書」を発行します。
 対象は18歳以上の市民や転入予定者で、性的マイノリティだけでなく事実婚のカップルも宣誓できます。生計をともにする親や子を「ファミリー」として届け出ることもできるようになります。
 法的な効力はありませんが、現在は親族らに限られている市営住宅に一緒に入居できるようになるほか、携帯電話の家族割引など民間でサービスを受ける場合の証明としても活用できます。
 愛知県では、西尾市、豊明市、豊橋市、豊田市、蒲郡市、高浜市、岡崎市、新城市、田原市で制度が導入済みで、一宮市は県内10例目となりそうです。(名古屋市も今年度中に導入する意向です)

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 大阪市は2018年から「パートナーシップ宣誓証明制度」を導入していますが、8月から「ファミリーシップ制度」として拡充し、同性カップルなどと一緒に暮らしている子どもなどを含めた家族関係も認めることになりました。これまで427組が制度を利用してきましたが、なかには子どもを育てているカップルもいて、子どもも含めて家族として認めてほしいという声が寄せられてきたためです。
 「ファミリーシップ制度」の申請をすると、たとえパートナーが亡くなっても残された人が希望すれば引き続き関係を維持できるということ、子どもが成人を迎えたときにファミリーシップの関係を維持するかどうかを、子ども自らが選択できるということです。
 大阪市の西原昇市民局長は、「パートナーシップ制度に登録した人たちの意見を聞くなかで、『病院に行っても自分の子どもとして対応してもらえなかった』とか『もう少し深めた制度にしてほしい』といった声が上がっていたため、今回の制度に向けて準備を進めてきた」と話しています。
 松井市長は28日の会見で、「この制度を推進することで、性的マイノリティの方に対する社会的な理解が深まることを期待している」としたうえで、国に対しては、「法的な壁があって認められないものがあるならば法律改正は必要なことだと思っている」と述べました。
 
 同じ大阪府の富田林市も、7月から「パートナーシップ宣誓証明制度」を拡充し、「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」としました(府内の自治体では初だったそうです)
 市は2020年7月に「パートナーシップ宣誓証明制度」を導入。原則として夫婦や親子しか入居できなかった市営住宅も、パートナーシップ宣誓証明を受けたカップルは夫婦と同様に入居できるようになりました。が、その子どもや親は入居の対象になっていませんでした。今回の制度で、家族と同じ運用に改善されました。
 一方で、市は、民間企業に協力を求めてきたものの、市担当者によると、「(LGBTQについて)企業関係者に説明をしても関心が低いと感じる」と話しており、制度の広がりは一筋縄ではいかない状況だそうです。吉村善美市長は「当事者の方々は『自分らしく生きたい』という思いが強く、その声にしっかりと応えたいと考えている。民間住宅の入居で不動産業者に理解をお願いするなど、積極的に取り組んでいきたい」と語っています。
 
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 愛媛県では、どの自治体でも制度導入の検討が進んでいませんでしたが、大洲市がこのたび初めて導入の意向を示しました。
 6月の大洲市議会で弓達秀樹議員が「知り合いのお子さんは自らの性自認の違いをある時、友人たちの前でカミングアウトされたそうです。性的マイノリティの存在は都会だけのお話ではないということを思い知りました。大洲市として率先してパートナーシップ制度導入に取り組む姿勢をお見せいただきたい」と質問し、二宮隆久市長が「私自身必要だと捉えておりますので、可能であれば来春の導入に向けて努力をしてまいりたいと考えております」と答弁しました。
 4月にトランスジェンダーの渡邉啓之さんが松山市議に上位当選したことが、質問するきっかけとなったと弓達議員は語っています。

 なお、松山市は四国の4県都で唯一、同性パートナーシップ証明制度を導入していません。カラフル松山が署名活動を行ない、今年1月に要望書と署名を市に提出したものの、田中教夫市民部長(当時)は、民法上の婚姻関係を結べないことで不利益を受けているという当事者の訴えに理解を示しながらも「直ちに制度を立ち上げる状況ではない」と返答するにとどまったといいます。なぜ市は導入に慎重なのか…ということについて、毎日新聞「「パートナーシップ制度」未導入の愛媛 問われる自治体の本気度」という記事に詳しく書かれています。ぜひご覧ください。
 
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 熊本県では7月30日、菊池市が「パートナーシップ宣誓制度」を導入しました。県内では熊本市、大津町に次いで3例目です。市は同日、差別のないまちづくりを目指す「人権未来都市」も宣言しました。
 パートナーシップ宣誓書等を提出すれば、宣誓書受領証・受領カードが交付されます。交付を受けたカップルは、市営住宅への入居や移住支援が受けられるようになるそうです。
 
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 同性パートナーシップ証明制度だけでなく、育てている子も家族として認めてもらうファミリーシップ制度も着実に広がりを見せています。
 性的マイノリティの社会的課題に詳しい早稲田大学法学学術院の棚村政行教授(家族法)は、「カップルという横の関係を認めるだけでなく、子どもも認めるというのは、親子という縦の関係に、保護や証明ができるという意味がある」と話しています。
 大阪市のファミリーシップ制度の、子どもが成人を迎えたあと、関係の維持や解消などを自らの意志で選択できる今回の制度のしくみについては、「子どもの側も選べるというのは非常に進歩的だ。子の自己決定権を尊重できている」と評価しています。
 しかし、一方で、「行政に認めてもらえることに最初は喜ぶ当事者が多いが、それほど大きいメリットがないことにその後、気付いていく。相続や年金などさまざまな面で家族として扱ってほしいという声が根強く聞かれる。国は法的な関係を認める制度を議論し、検討していく必要がある」と指摘しています。
「制度は第一歩にすぎない。社会による理解の増進と、差別の解消、法的権利の付与の3つを同時に進めていかなければ性的マイノリティの人たちが本当に自分らしく生きられる社会にはならず、多様性を認める社会にもならない」

 婚姻平等・同性カップルの法的権利保障の必要性をしっかり説くとともに、「制度は第一歩にすぎない。社会による理解の増進と、差別の解消、法的権利の付与の3つを同時に進めていかなければ性的マイノリティの人たちが本当に自分らしく生きられる社会にはならず、多様性を認める社会にもならない」という名言もいただきました。早稲田の棚村教授もこのように述べておられますと、事あるごとに引用していきたいお言葉です。
 


参考記事:
宣誓日の予約、8月1日から 栃木県の「パートナーシップ制度」(下野新聞)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/609244

苫小牧市パートナー制度、来年1月開始へ 市が概要公表、意見公募予定(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/705873
性的マイノリティーのカップル 函館市で公営住宅同居可能に(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220720/7000048782.html
パートナー制度、検討進まぬ上川管内 当事者「誰もが幸せになる権利ある」(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/705869

パートナー制度利用者 市営住宅の入居可能に/八戸市(東奥日報)
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1217767

同性カップルなどのパートナーシップ制度導入求め三条市に要望(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20220727/1030021909.html
“性的マイノリティー”公的に認めて 「パートナーシップ制度」導入を求め三条市に要望書(TeNYテレビ新潟)
https://www.teny.co.jp/news/news114p8s8beyerhl1pvoe

パートナー制度で厚木市など協定 転居後も手続き簡単に(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/government/article-923472.html
パートナーシップ宣誓制度 清川村も導入 厚木市や愛川町と協定(タウンニュース)
https://www.townnews.co.jp/0404/2022/07/15/634055.html

パートナー・ファミリー制度、一宮市が9月から導入(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQ7W7373Q7POBJB00B.html

大阪市 同性カップルの“子ども含め家族と認定”の新制度(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20220728/2000064315.html
「多様な家族」ありのままで 公認制度、富田林市で府内初導入 企業への普及が課題(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220718/ddl/k27/010/217000c

「10人いたら10人違う」LGBTQ公表で上位当選の松山市議が始動 議席から見えたものは…(テレビ愛媛)
https://www.fnn.jp/articles/-/390114

パートナーシップ宣誓制度 熊本県菊池市が導入、県内3例目(西日本新聞)
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/965231/
LGBT「パートナー制度」菊池市導入 県内3例目(熊本日日新聞)
https://kumanichi.com/articles/738979

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