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リナ・サワヤマさんが「news zero」に出演、「日本はG7で唯一LGBTQ差別禁止法がなく、同性婚も認められていません」「音楽は私の政治的・個人的なメッセージを発信する手段」といったコメントを届けてくれました

2022年08月27日

 こちらでお伝えしたように、8月26日(金)深夜、リナ・サワヤマさんが「news zero」にVTR出演し、「日本はG7で唯一、LGBTQ差別禁止法がなく、同性婚も認められていません」「音楽は私の政治的・個人的なメッセージを発信する手段」「音楽は民主主義であるべきだと思います」といったメッセージを発しました。サマソニでのMCや会場の様子なども伝えられました。
  

 リナ・サワヤマさんのコーナーは24時15分頃でした。
 最初にVで、ファーストアルバム『SAWAYAMA』が大ヒットし、今や世界的な成功を収めたスターであること、そしてアジア人差別を描いた「STFU!」のMVや、「同性愛者は地獄行き」と罵る宗教右派への皮肉である「This Hell」のMV(「地獄に堕ちろ」などと書かれたプラカードを掲げて抗議するヘイターたちを写したシーンが使われていました)も流れ、偏見と闘うアーティストであり、それをエルトン・ジョンやレディ・ガガも彼女を応援していることなどが紹介されました。
 それから、リナ・サワヤマさんが日テレのスタジオに登場し、女性キャスターの方の質問に答えるかたちで、インタビューが行なわれました。 
 「不満や不平等を世界に発信することは怖くないですか?」という質問に対し、リナ・サワヤマさんは「怖くないです。使う言葉をポジティブに。強いメッセージだけど、ポジティブに。もっと簡単に吸収されるように、どうやって伝えようかなと(歌詞を)集中して考えています」と日本語で答えました。
 リナ・サワヤマさんは名門ケンブリッジ大学に進学しましたが、アジア人女性として壮絶な差別を経験したそうです。「3年のとき、大学の寮を変えなければならないほどのいじめに遭いました」。支援の手を差し伸べてくれたのは、LGBTQコミュニティの方たちだったといいます。
 そんな彼女は、「自分のことをアーティスト、クリティティブと思ったことはありません。音楽は私の政治的・個人的なメッセージを発信する手段(vehicle)でしかないです。この世の中には本当に間違ったことが起きていて、音楽だけでは政治は変えられず、音楽だけでは戦争も止められません。でも、音楽で発信できるメッセージ、そのプラットフォームでできることは巨大で、無限だと思います」と英語で語りました。
 そして、LGBTQコミュニティへの愛を綴った曲として「chosen family」が紹介されました。リナ・サワヤマさんは、この曲が東京五輪閉会式で使われたことについて「感動したのですが、少し複雑な気落ちでした。日本はG7で唯一、差別禁止法がなく、同性婚も認められていません」と語りました。
 先日のサマソニでの、「私はバイセクシュアルであることを誇りに思っています。でも私が日本で同性婚をしようとしてもできません」「I’m proud to be a Japaneseだけど、これはすごい恥ずかしいということです」「一緒に闘ってください。よろしくお願いします」というMCと、それを聞いたオーディエンスの歓声のシーンが映し出されました。
 最後にリナ・サワヤマさんは、「音楽は民主主義であるべきだと思います」と語りました。「いろんな人を一つの場所に集められます。違う人の人生経験を一緒に感じられます。今の時代、とても大切なことです」
 

 5分弱のコーナーでしたが、アジア人女性としての差別、クィアとしての経験から、とても力強く、素敵なメッセージを日本のお茶の間に届けてくれました。もしかしたら海外の(特に白人の)アーティストがLGBTQの権利について語ったとしても、どこか他人事で遠い国の出来事であるかのように受け取ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、同じ日本人であるリナ・サワヤマさんが、多くの日本人が海外で直面しうるアジア人差別という決して他人事ではない問題から、LGBTQ差別の話に広げて語ったことで、腑に落ちた方もいらしたのではないかと感じました。
 また、政治的なメッセージをほとんど発しない日本のアーティストとは異なり、「音楽は私の政治的な個人的なメッセージを伝える手段」と言い切る潔さ・カッコよさや、「音楽は民主主義であるべきだと思います」という言葉にもシビれました。世界的な成功を収めている憧れの日本人アーティストがそのように語ってくれることは、少なからず日本社会に良い影響を与えることと思います。拍手!

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