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米女子プロバスケットボール選手でレズビアンのブリトニー・グライナー選手がロシアから解放されました

2022年12月12日

 東京五輪などで金メダルを獲得している米女子プロバスケットボール選手でレズビアンのブリトニー・グライナー選手が今年2月、ロシアに入国した際、大麻入りのオイルを所持していたことから逮捕され、身柄を拘束されていましたが、バイデン政権の外交努力によってこのたび無事に解放され、帰国の途につきました。
 
 
 206センチの長身を誇るブリトニー・グライナー選手はWNBA(米女子プロバスケットボールリーグ)で得点王2回とオールスター選出8回を誇り、2014年には所属チームであるフェニックス・マーキュリーの優勝に貢献し、リオ五輪と東京五輪では米女子代表として金メダルを獲得したスター選手です。オープンリー・レズビアンで、2019年にシェレル・ワトソンさんと結婚しています。
 グライナー選手は2月、ロシアリーグでプレーするべく入国した際、同国では違法となる(グライナー選手の住むテキサス州では合法の)大麻成分入りの電子たばこ用カートリッジを所持していた疑いで逮捕されました。8月にモスクワ郊外の裁判所で懲役9年の実刑判決を言い渡され、11月から刑務所に服役していました。公判では、グライナーさんは罪を認めたものの「ロシアの法律に違反する意図はなかった」と述べていました。
 バイデン米大統領は8日、ブリトニー・グライナーさんがロシア当局から解放されたと発表しました。バイデン政権は不当な身柄拘束として釈放を要求し、ロシアと交渉を重ね、米国内で服役していたロシア人元武器密売商との「囚人交換」が成立しました。バイデン氏は同日、ホワイトハウスで記者団に対し「彼女の身柄は安全で、現在飛行機で帰国の途にある。不当に拘束され、耐え難い状況下で何カ月も勾留された。ブリトニーはまもなく愛する人の腕の中に戻るだろう。彼女は本来そこにいるはずだった」「難しい決断を下し、世界のあらゆる場所でアメリカ国民を守ることが、大統領としての私の職務だ」と語りました。また、Twitterにも「さっきブリトニー・グライナーと話した。彼女は安全だ。飛行機で帰路の途上にある」と投稿し、シェレルさんと喜び合う画像を添えました。
 シェレル・ワトソンさんも会見に出席し、「今日、私の家族は一つになりました。しかしご存じのとおり、そうではない多くの家族がいます」「今は微笑むことにします」と釈放を喜びました。


 WNBAのコミッショナー、キャシー・エンゲルバート氏は「この10ヵ月間、私たちがブリトニー・グライナーのことを思わなかった日はありません。彼女がまもなく家族やWNBAのコミュニティ、彼女の友人たちと再会できることを知り、その思いは喜びと安堵の気持ちへと変わりました。彼女は逆境に置かれながらも、勇気と威厳を持ち続けてきました。WNBAはバイデン政権や彼女の帰還に貢献してくれたすべての人々に最大限の感謝を捧げます。私たちは、ポール・ウィーラン氏をはじめとする不当に拘束されているすべてのアメリカ人が一刻も早く無事に帰国することを望んでいます」と声明を発表しました。
 NBAのコミッショナー、アダム・シルバー氏も「ブリトニーは想像を絶する状況に耐えねばなりませんでしたが、彼女が家族や友人のもとへ向かっていることを非常にうれしく思っています。私たちはブリトニーの不当な状況に対する注意喚起の努力を惜しまなかったNBAとWNBAのコミュニティのメンバーに感謝します」との声明を発表しました。
 そのほかにも、ビリー・ジーン・キングTwitterで「ブリトニー・グライナーは自由になった。バイデン大統領、そして彼女の解放に向けて尽力した全ての関係者に感謝する」と投稿し、米代表としてチームメートだった(東京五輪では開会式の旗手を務めた6人のOUTアスリートのうちの1人となった)スー・バード選手も「BG is Free」と発信、米代表を金メダルに導いたドーン・ステーリーコーチは「これまで、本当にジェットコースターに乗っているようにめまぐるしく変化してきた。でも、信じ続けた。正直、泣いてしまった。私たちはこの瞬間をずっと祈っていた」と語り、フェニックス・マーキュリーの同僚であるブリアナ・ターナー選手も「これまでで最高のニュース。BGがクリスマスの休暇に間に合って本当にうれしい」とツイート、NBAのカーメロ・アンソニー選手が「BGが帰ってくる!素晴らしいニュースです」と、カイリー・アービング選手は「本物の戦士の姿はいかなるものかを実証してくれてありがとう。君は永遠に無条件で大勢から愛されている」と投稿、するなど、選手や著名人ら多くの人々が祝福の声を寄せています。


 ロシアでは12月5日、2013年成立の「同性愛プロパガンダ禁止法」をさらに厳しくした、LGBTQに関する情報の発信や集会・デモなどを一切禁じる反LGBT法が成立し、国内のLGBTQが非常に厳しい状況に置かれることになりました。LGBTQへのヘイトクライムも横行し(当局も厳しく取り締まらない)、2019年にはエレーナ・グリゴリエワさんというLGBTQ活動家が殺害されているロシアで、同性愛者であることをオープンにしているグライナー選手が果たして無事でいられるのか、拘束が長引くと、命に危険が及ぶような事件に巻き込まれるのでは…という懸念もありました。
 そういう意味でも今回、バイデン政権の努力によって、グライナー選手が無事に解放され、帰国できたのは、本当に喜ばしいことでした。
 

参考記事:
ロシアで逮捕されたグライナーが294日ぶりに釈放…WNBAなどが祝福の声を発信(バスケットボールキング)
https://basketballking.jp/news/world/wnba/20221209/406403.html
ロシアで収監の米バスケットボール選手、釈放 米露が囚人交換で合意(日テレ)
https://news.ntv.co.jp/category/international/1993aa61d320411a85be92cdfa75577e
米大統領「厳しい交渉」 ロシア、女子バスケ選手釈放(AP=共同)
https://www.47news.jp/8669580.html
米スポーツ界、ロシアで拘束の女子バスケ選手釈放に喜びの声(AFP=時事)
https://sp.m.jiji.com/article/show/2864224
ロシアが米女子バスケ選手を解放 米露対話の機運生まれるか注目(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221209/k00/00m/030/229000c
バスケット=グライナー選手釈放でスポーツ界から喜びの声(ロイター)
https://nordot.app/974150886003277824?c=768367547562557440

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